
芭蕉の苗を植える場所をどうするか、急に高くなり繁った樹木を切らざるを得ないと決断したものの、躊躇していた。
いつの間にか高くなった野生の果樹を切りたくはなかった。
しばらく苗を置いたままで、どうしたらいいか、調べてみると、塩と酒を撒いて木にその旨を伝えることを示唆する文章に出合った。
それでもすぐに行動できなかった。前日、斜め向かいのお宅が、業者に委託して庭の樹木やフェンスを覆った蔦などをばっさり切り取った姿を目にした。心を鬼にして、やらざるをえないと踏み切った。
樹木は生きている。雑草も生きている。恐竜の時代からシダも生きている。植物だけではない。無数の生物に囲まれている。土も生きている。
生い繁って邪魔になっているマンジエリコンも引き抜いた。一部は水の入ったボットに入れた。
ごめんねと声をかけてノコギリで切った。その木はシークワーサーの高くなった木の横にあった。今、シークヮーサーの木はない。カミキリムシに攻撃されて枯れてしまった。
その場所に芭蕉の苗を植えた。友達の庭からやってきた苗。他の芭蕉と違ってとても美味しい島バナナだと彼女は強調していた。
しっかり育ってほしい。幼少期に家の庭にあった何本かの芭蕉の繁みが思い出される。
こっそり、たくさん食べた島バナナ!昔日の幻の豊かな集落には七面鳥が、鶏が歩き回り、野菜は豊富でごぼう畑もあった。
田圃さえあったのた。
芭蕉の苗一本を植えた。残った一本はどこに居場所を与えるか、もう少し時間がかかりそうだ。