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昨今芸能への関心が高まっているのかもしれない。多くの実演家のみなさんが日々精進してやまない芸能の本質について、その対象そのものについて深く追求する情念の高まりは意外と波のように押しては返すものなのかもしれない。沖縄藝能史研究大会は毎年7月の第一土曜日・日曜日に開催してきた。それが今年は38回である。実演家のみなさんの研究成果が次々と一冊の書にまとめられていくのもうれしいニュースだ。実演家が実践の中から得た理論をまとめていく。実演家であり博士の方々が欧米でもインドでもそして、日本でも徐々に増えていく傾向があるのかもしれない。身体表象（芸術）の世界はその創造活動を日々持続するエネルギーの凄さがある。その中で習得したエキスはたとえば『花伝書』など、その筆頭なのだろう。実は実演家が書き残した文献はけっこうたくさんある。かの坂東玉三郎さんもご自分で書かれた図書を何冊か上梓している。
沖縄藝能史研究大会の面白さは毎回企画されているシンポジウムの面白さや長年沖縄藝能の道を歩んでこられた方々の特別講演である。それはどこの研究会にもない特徴だと言えよう。それゆえに今回久しぶりに出席してその熱狂的な参加者の数に驚いた。それだけではなく、時勢の潮流を見据えたシンポジウムの企画の良さもあるかもしれない。今回は若手の伝統芸能継承者として、国立劇場おきなわの芸術監督に抜擢された嘉数道彦さん、韓国の大学での琉球舞踊指導経験をしたばかりの佐辺良和さん、1年間関西でお能や上方舞などの経験を積んだ宮城茂雄さんがパネラーである。司会はおなじみ當間一郎会長。若いながら3人とも話に長けていて、飽きさせなかった。幼少のころから琉球芸能に親しんできた環境なども含め、特に嘉数さんなどはウチナーグチがペラペラである。沖縄芝居をおばぁちゃんと見慣れた体験の現在である。話の中身もまた面白く、もっと掻い摘んでここに紹介したい。が、後程でいつになるだろうか？
昨日の「沖縄文化研究会の公開研究発表」もとても緻密な資料に基づき、主に大学院博士課程の学生たちが丹念な資料作成のもとで挑む舞台である。カメルーンと沖縄の模合の比較研究発表の広がりなど、興味を引いた。公開公演は安里進さんの『墓からみた近世琉球の家族史』は墓からみた近世、近代の琉球・沖縄の家族の歴史構造、がとても興味深かった。17世紀後半から18世紀にかけて作られていく墓の整備と階層制度の仕組みのパラレルさ、墓の成り立ちの歴史、王家の墓、無縁墓の中の実証的データーの分析から知るルーツと親族・家族関係、その中のヒエラルキーなど、なるほどだった。ＸＸＸの妻の位地しかない妻の主体性のなさが目立つように見える一方で按司家の乳母になった出戻り百姓女の成功物語など、んんん、興味深かった。結論として琉球王府の中軸は首里城であり、首里の貴族・士族層が社会の規範の核だったということである。それがあらゆる分野で表象される事例を見たということかもしれない。
厨子そのものから、墓の厨子の配置から見える家族構成などなど、直に書物を読みたい。
「沖縄文化協会」はパネルセッションを企画しないのですね。昨今は国際学会でも日本のPerforming arts系統の学会でもパネルセッションがけっこう面白いです。一つのテーマの総括のような面白さがあったりします。今後1日だけではなく、二日間の研究発表で、パネルセッションも網羅してやったら、もっと活気あふれるかもしれないね。またテーマを設定した研究発表のセクションがあってもいいのかもしれない。現在は雑多に沖縄文化関連のテーマだとオープンにアクセスし、発表の機会を封じることのない温かい配慮がなされています。それも悪くないですね。言語、歴史、琉球文学（歌謡、琉歌も含む）、芸能・演劇、音楽（古典、民謡、ポップなど）、お墓を含めた民俗研究、他地域との比較研究、工芸など様々です。文化とは見えないものと定義された言説もあります。見えないもの、信仰など（ノロ、ユタも含め）も入りますね。
仲嶺先生の特別講演
若手のきらきら☆のみなさん！質疑も闊達でした！
県立博物館・美術館 館長：安里 進さん （講演：「沖縄文化協会」は最後にその研究分野の優れた皆様方の講演が組まれています！）
（墓の数だけ家族史がある、んんん、なるほどです！途絶えた家系も多いのね☆）
