11/21にブードゥーラウンジへ亜無亜危異の「パンクロックの奴隷 TOUR」へ。
この日のラウンジは何時ものキッズの集まる空間でも内輪ノリな空気でもなく形容し難い空気が充満していました。
僕よりもはるかに年上で、しかもアクの強いサングラス、リーゼント、ド派手なスーツ姿のいかついおっさん方、、いかにもなバンギャル、、そして怖いもの見たさで来たようなロック好きなキッズ、、、いろんな客層が入り乱れたフロア。その空気は、今にも目の前で始まるパンクロックへの「飢え」に溢れている、嵐の前の抑えきれていない静けさでした。
僕がなんで亜無亜危異を知ったのかといえば、これはBEAで偶々見つけたというのが発端。
もっと言えばそこに掲載されていたアーティスト写真に衝撃を受けました。
まず、40年もパンクロックを続けているバンドがいたこと。60近くの方々が、今もナッパ服で髪の毛逆立てて、若者以上にギラギラした空気を発している、、その世界に触れたい、と思ったからですね。それでもいざ触れてみたら、予想以上に禁断の危ない空気が充満した世界だったという(笑)
この日のライブは20年近く経って発表された「パンクロックの奴隷」に伴うツアー福岡編。
ワンマンとしては東京とこの福岡のみという特別な夜。開演予定時刻から10分ほど遅れて開演。
01.パンクロックの奴隷
02.心の銃
03.タレント・ロボット
04.ヒーロー
05.団地のオバサン
06.偽善者ワロタ
07.タブーの正体
08.3・3・3
09.缶詰
10.Ready Steady Go
11.改革子供(REVOLUTION KIDS)
12.もうアウト
13.イカサマ伝道師
14."530"
15.バラッド
16.あぶらむし
17.旗をかかげて
18.くるくるパトリオット
19.平和の裏側
20.アナーキー・シティ
21.デラシネ
22.叫んでやるぜ
23.屋根の下の犬
24.ホワイト・ライオット
25.弱者の行進
Encore
26.東京イズバーニング
27.ジョニー・B・グッド
28.ノット・サティスファイド
ステージを覆っていた幕の向こうからつんざくようなギターリフが奏でられれば、捌けた瞬間にステージに定位置でついていたメンバー。のっけから新曲の「パンクロックの奴隷」から開演した公演は、この40年の歴史を総括するように新旧様々な曲がもみくちゃにされ溶け合い、そして今現在の彼らの姿を映し出していました。ボーカルの仲野さんは2曲目位でダイブし、3曲目位でナッパ服を脱ぎ捨て上半身裸になって煽りながらも無政府主義な楽曲を次々を歌いこなしていってました。
ギターの藤沼さんも、ベースの寺岡さんも、ドラムの小林さんも、年齢的なプレイスタイルの低下を感じさせず、純然たるパンクロックを次々に高いテンションのまま、5曲毎にブレイクを設けながらも、アンコールも含めて全28曲、体中で表現するかのように演奏していきました。
そんな熱度の高い演奏の連発に、フロアの最前付近に陣取っていた客は、拳を振り上げ、叫び、同じように体を揺らしながら踊り狂い、酒やたばこを嗜みながら笑顔でライブを見守る方もいれば、後列で椅子に座り込んではゆったりと楽しむようにステージを見つめる方も、、演奏がズレる場面では逆にバンドに対してフロアから「ちゃんとやれ!」と厳しい声が出てたりと、そんなパンクな時間に満ち満ちた約2時間半。
危うい空気はそのままだけれど、終始笑顔で歌う仲野さんの姿に重ねるように、危うさの中に、何かを解放していくような空気がまたあったのも事実。おそらく普段ライブに来ないだろう方々、コアな方々、この40年の間にバンドを愛した方々、その客層の中に、バンドの歴史そのものを鏡のように感じました。
終演後は、この日より発売されたヒストリー本「タブーの正体」を購入。分厚い何百ページという構成のこの本(仲野さん曰く、中身が無いから量で勝負した(笑))は、4人のコメントをメインに進んでいく歴史本。このバンドの生き様は、仲良しこよしではなく、メンバーの急逝、様々な葛藤、衝動のぶつかり合いの上に成り立ち、そして今回「パンクロックの奴隷」という作品を経た事で、また一つになって走り出したのではないか、という気がしています。
パンクロックに魅せられたバンドの生き様、これから先も走り続けていくんだろうと思います。たとえ頻繁にやることが無くても、彼らなりのペースで。だから、次いつ見れるか分からないバンドの雄姿を見ることが出来て、感謝。ありがとう。