年は明けましたが約2か月前のライブレポを(笑)宇多田ヒカルの翌日LHSのワンマンでキューブリックに行ってきました。
LHSは3月に一度見ているけれど、その時までがオリジナルメンバー3人でのライブで、その後の4月にドラムの田中さんが脱退という衝撃が舞い込み、小林ブラザーズの2人体制にサポートドラムという布陣で現在は活動しています。もっと早い段階で後任を入れるのかなと思っていたんですが、ここまでずっと兄弟でバンドを運営している彼ら。自主レーベルからの音源、スタッフもいない、ほぼすべての事を自分達で行なわければならない状況下でありながら、彼らはそれでも何のために叫んでいるのか---
このライブは夏に東名阪で行われた彼らのワンマンツアー「破壊力ツアー」で、行けなかった仙台と福岡を追加公演として開催したもの。ツアーファイナルとして東京でこのライブの1週間後に2days開催されたけれど、その前哨戦でもあり地方公演ラストとなったのがこの福岡でした。
実はこの日は元々別のライブに行く予定だったんですけど、ギリギリまで悩んで最終的に彼らの方を見る事を選択しました。
それは、いつ見れるか分からないというのもあったからです。予定時刻から10分ほど遅れて開演。
SE
1.Stand by you
2.bara
3.Phantom
4.トワイライト
5.20000V放電
6.sHELLy
7.Monkey
8.ドッグファイト
9.暗室
10.STAND
11.GLAMAROUS
12.SHINE OR BUST
13.Traffic
14.ラリンジャ―
15.Crazy Crazy
16.ニヤ
17.尖端
18.Power
ENCOLE
19.Bang Bang Bang
20.NO NO NO
......................
攻撃的かつ刺激的、それがこの日のライブの感想であり全てでした。
初っ端は、これまでライブでは主に終盤に演奏されていた「Stand by you」でスタート。この曲の持つ軽快さや爽快さ、そして何かを切り開いていくような印象さえ持った幕明け。そこから、「bara」「Phantom」と緩急と攻撃性を織り交ぜて攻めまくってきました。youziは「福岡ー!会いたかったぜー!!」と叫びながら、ケンジも呼応するように躍動しながら前のめりにベースを奏でていきます。その姿は、2年前にLHSのライブを初めて見た時に感じたあの毒々しさと怖いモノ見たさ、ビリビリするような存在感を放っていました。「トワイライト」や「20000V放電」といった昨今ではラストに演奏されてきたような曲が早い段階で演奏されていく中、「sHELLy」「Monkey」そして前半のハイライトともいえる新曲の「ドッグファイト」「暗室」、中盤「STAND」でじっくりとクールダウンさせた後は、再び「GLAMAROUS」から攻撃再開していく展開。「Traffic」では観客のコーラスに「おお出てる出てる!」と興奮する場面も。これまででは余り見られなかった斬新なセットリストで翻弄していきました。
曲順もそうですが、2人体制になったからといって彼らは全くたじろぐことなく、むしろそれまで以上に攻めまくっていました。田中さんが脱退したことが引き金なのか、それとも2人になったことで、そして自主レーベルという環境下で、背水の陣で明日死んでもいい位の勢いで腹を括ってこのステージに立っているのか、僕には後者に思えました。
そして、ライブが攻撃的になっているのはサポートドラマーの功績も多いと思いました。この日のサポートはSHOZOさん。昨今ではINORANのソロのサポートギターを務めている村田さんのバンドmy way my loveで活躍されている方ですが、彼の、時に椅子から立ち上がってタムを叩くといった、ダイナミックかつ攻撃的な暴れ馬のようなドラミングは、田中さんが持っていたバンドをボトムで支えるようなグループ的なものよりも、より狂暴性を増したモノでした。それがバンドに良い意味で変化をもたらし、その変化がセットリストにも反映されているように思いました。
終盤「Crazy Crazy」の前だったかな?youziが「メンバーが2人になって不安にもなったけど、SHOZOがサポートしますって言ってくれて、本当に良かった。夏のワンマンも本数減らそうか?って話をしたけど、やっぱり、去年やったし、減らしたくなかったから仙台と福岡追加した。で、来てよかったと今は思ってる」みたいなMC。
彼らが攻め続けるのって、ロックが大好きだし、そしてこうやって見てくれてるファンの人たちがいるからなんだろうなと。
終盤に演奏されたミディアムバラードの「ニヤ」はこれまで以上にドラマチックさを伴っていたし、その後の「尖端」はyouziとケンジのソロの掛け合いという所で、やおらケンジが得意ではないだろうMCを無理に頑張っていて観客が笑いが起こる事態もありつつも、一定の高いテンションのまま、ラストの「Power」まで突っ走るようにして終演。
その後も鳴り止まないアンコールに応えて登場した3人。仙台では機材トラブルか何かで1曲しかできなかったという話だったんですが、この日は「Bang Bang Bang」「NO NO NO」と普段イベントライブでは演奏しないようなレア曲で再度会場を揺らして終演。「本当に福岡来てよかった。地方ラストだからするんじゃねーぞ、お前らがよかったからするんだからな!!」とyouzi。
最終的に、彼らの現在のモードは6月に発売された「UCHIIRI EP」の世界に象徴されていると実感したライブでした。
去年のようにリクエストライブでも無ければ、その先に何か告知があった訳でもないけど、バンドのモードそのものが、過去最高に燃え滾っていることがよくわかりました。集客で行けば去年よりも少なかったと思うし、30人位しかいなかったんじゃないかなと思うけど、確かにこの日のライブはコアなファンの熱量も高くて、これまで以上に何かが通じ合っていたライブだったんじゃないかと思います。
終演後はケンジさんが物販に出てきて、「BLEECH」のEPを僕は買いました。求めたわけでもないのに、最後は握手をがっちりと力強くしてくれました。そして会場を後にしました。それがこの日のライブの最期でした。だから、本当に行けて良かった。ありがとう。