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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

新しいワヤン人形

2009年07月30日 | 家・わたくしごと
 注文していた新しいワヤン人形を、たまたまバリから戻ったガムランのメンバーが持って帰ってきてくれた。ご覧になってわかるように、長い竜の人形で、十センチ程度の長さの皮を繋ぎあわせているのでその形が自由に変わり、とぐろを巻いて、時には敵を雁字搦めにしてしまったり、森の中を自由自在に飛び回ったりする観客にはとても面白い人形である。
 この人形、実はある人形遣いが1980年代に創作した新しいワヤンの一つで、伝統的なつくりのワヤン人形ではない。伝統的なものは、竜の人形のパーツは個々には動かず、その影の操りかたで、いかにも動いているように見せるものだったし、現在でも多くのダランがその竜を使っているはずだ。私も20年前はそうした伝統的な手法を身につけた。
 最初にこの竜の人形を見たのはワヤンをバリで勉強していた頃で、これを目にしたときは驚きで愕然とした記憶がどこかに残っている。パンダワ一族とラクササ(魔物)の戦いの一場面で、ラクササの放った矢が大きな竜に姿を変え、勇者ビマに襲い掛かり、ビマに巻きつくのであるが、そこにビマの弟アルジュナがあらわれ、竜に向かって矢を放ちビマを救出する。
 ビマに竜が巻きつくなんて私が学んでいた村のワヤンではありえず、当時、筋金入りの伝統主義者だった私は「これは伝統的なワヤンの冒涜ではないか」と思う一方、「でも、あの人形が使ってみたいなあ」という気持ちが心のどこかに芽生えたことは否定できない。
 あれから20年、とうとう私もその竜の人形を手にしたのだ。嬉しさのあまり、まるで子どもがおもちゃと戯れるように時々、家で動かしていたのだが、ふと人形遊びをしながら思い出したものがある。あのウルトラセブンに出てくる金色をした宇宙竜ナースのことだ。ワイルド星人に操られた宇宙竜ナースはなかなか手ごわい竜で、ウルトラセブンに巻きつき雁字搦めにしてしまった光景が、ふと頭をよぎったのである。そうだ、ぼくがあれほどこの人形が欲しかったのは、ウルトラセブンの影響なんだ。ということは、ここで人形をもっているぼくはワイルド星人じゃないか!


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