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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

若葉台団地の桜

2010年04月06日 | 東京
 懐かしい桜。ここに団地が建てられた時のことをぼんやり記憶している。まだ小学生の頃、小さな自転車でここまでやってくるのは大冒険だった。今思えばたいした距離ではなかったのだけれど、当時は、薄気味悪い深い林をぬけてこなければならなかったのだもの。そんな道が怖くて、必死にぺダルを踏んだ。チェーンが猛速度で回っていた。
 あの頃、きっと植えられた桜。頼りないくらい細い幹だったのだろう。今から40年も昔のこと。あれからぼくは、数え切れないほどこの桜のトンネルを抜けた。歩いて、自転車で、そして250CCの愛車のバイクで。
 桜は4月の花、だから旅立ちの花、なんとなく明るく広がる未来を予見させる花。しかし、この団地に咲く桜だけは、すばらしい過去も悲しい過去も、私に過去をよみがえらせてくれる不思議な花だ。千鳥ヶ淵に咲く桜も、小金井公園に咲く桜も、道端に咲く桜も、それは植物学的に見れば同じソメイヨシノかもしれない。けれど、一人ひとりにとって、それは決して同じ桜ではない。人には、それぞれ違ったソメイヨシノが存在するのだ。

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