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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

アムラプラの風景

2017年09月02日 | バリ

 バリ島東部カランガッスム県の首都アムラプラ。デンパサールから約70キロあり、バイクで飛ばしても1時間半はかかるのだが、最近、この街で楽器の調査を続けている。この街、バリの中では古くからヒンドゥーとイスラムの人々が共生している街としても知られていて、イスラムの集落がたくさん存在している。といっても紛争が起きているという話は全く聞いたことがなく、当たり前のように二つの宗教の人々が暮らしているのである。
 近年では世界各地で宗教紛争が起きて、多くの人々の命が奪われたり、難民として国外に出ざるをえない人々が増加している。そういう状況から見ればバリのこの地は実に平和に見える。もちろんインドネシア政府は国家設立時から、国家五原則(パンチャシラ)の中に宗教の多様性をうたっている。もしも一つの宗教や宗派を国教にしてしまえば、他の宗教はそれに意義申し立てするだろう。多様性を認めるからこそ、さまざまなアイデンティティを持つ人々の集合体、いわゆる「創造の共同体」である国家が成立するのだから。
 この写真、実はアムラプラの街中の交差点の赤信号で撮影した一枚。右手は大きなモスク、そして正面の壁にはヒンドゥーの神々のワヤンのモザイクが描かれている。この風景こそが多様性の象徴である。しかしここの人々にとってはこんな風景は「当たり前」なのである。まさに宗教共存の風景。


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