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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

何に注目?

2008年02月26日 | バリ
 ここに写っている人々は儀礼の参加者たちである。この「おっさん達」は妙に楽しそうに、何かに注目しているのだ。さて、ここ中の人々のうち青いポロシャツを着ている人々はこの儀礼でガムランを演奏する人々。ちなみに、この時、彼らのすぐ後ろではトペン・ワリとよばれる儀礼のための仮面舞踊が上演されているため、ガムランも演奏されているのだが、この人たちはその演奏をさぼって、ここで楽しげに何かを見つめているのである。白っぽい服をきた他の人たちは皆、儀礼を主催する家族の人々である。
 彼らが注目しているもの、それは闘鶏である。闘鶏といっても、娯楽のための賭け闘鶏は条例で禁止されているのだが、その闘鶏が儀礼のための供儀として行われる場合は許されている。ちなみに最初のうちは、「賭け闘鶏じゃないから」と誰もが言っていたのだが、さて闘鶏の15分前にもなれば、誰かが仕切り屋をかって出て、すぐに「どちらの鶏にかけるか」ということになる。これが始まると、男たちはにわかに忙しくなり、なにげなく胸ポケットから紙幣を出し、どちらかの鶏に賭けるのである。
 男の私としても、やはりこれを傍観しているだけではつまらない。じっと二羽の鶏の「生きの良さ」を確認した後、この「儀礼」に参加することにした。賭けというのは、賭けに参加するか、傍観するかによってその見え方は全く違うものだ。ちなみにこの「おっさん達」はほぼ全員、賭けの参加者たちである。この和やかな表情は、すでに勝負がほぼ決まった時点であり、喜びの笑顔、あきらめの苦笑が混在している。1分前にはこの「おっさん達」の顔は、今にも鶏にとびかかりそうなおっかない形相だったのである。
 さて私の賭けた鶏であるが無事に勝利し、4日分の夕食代をそれでまかなうことができたのであった。


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