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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

バラタ・ユダ連続上演の大計画

2012年09月05日 | バリ
 昔からやりたいと思っていたバラタ・ユダの連続上演計画の実現に向けて、本格的に取り組み始めています。バラタ・ユダは、マハバラタの中のパンダワ一族とコラワ一族の戦いの部分をジャワで韻律詩の形で表現した古典文学ですが、この中の重要な部分をワヤンの演目にしていく計画です。
 すでにいくつかの演目は上演できますが、最初から始めるとなると、全部で最低でも8演目以上にはなると思います。戦記ものですから、平家物語の一つの戦いを思い浮かべればわかりやすいかもしれません。しかし人間関係が複雑で、しかも戦いの背景(過去の歴史)などにも触れないとそのドラマが正確に伝わりません。だから大河ドラマの視聴率が低いんでしょうね…。
 コンバットを見て育った私は、戦争物が単なる勇ましさや、勝負の結果だけを表現するドラマとは考えません。そこには戦争がいかに馬鹿げた虚しいものかという脚本家の込めた強いメッセージがあり、役者はそれを理解した上で演じていたからこそ、子どもだった私にもそれが痛いほど伝わりました。
 来年から通常のワヤン演目のほかに、この大プロジェクトに挑戦するつもりです(演奏者の皆さんは初耳ですね)。一年に一演目、多くて二演目としても5年以上はかかる計算。やりがいのある大計画です。ちなみに来年の演目「クリシュナ使者となる」はすでにセリフもすべて作り終わり、今回、バリのダランにすべてチェックしてもらいました。
 韻律詩を読み直しながら思うのですが、ドゥルヨダナは本当はそんなに悪い人じゃなかったんだなとつくづく思います。結局のところ、王ではなく、いい家臣をもたなければ国は滅びるんですね。今の日本はどうかしら?