中部国際空港はデッキで飛行機を見るのが無料なので、たまに行くことがあるとなかなか沖縄ではお目にかかれない外国のエアーラインの機体を観察する。今日もデルタ航空、ベトナム航空、ルフトハンザ航空などの眺めながら、アメリカ行きたい、ベトナム行きたい、ドイツ行きたい、と見る飛行機ごとにいろいろな妄想にふけっていた。
「お母さん、飛行機が飛んでいくよ」
すぐ近くにいた小学校にあがったばかりに見えるボクが、ちょうど飛び立とうとしている飛行機をまっすぐに手を伸ばして指差している。
「あれはどこの国の飛行機かしら?」
お母さんは子どもに尋ねると、子どもは小さな本を出して、尾翼のマークや色を調べ始めた。
「ボク、あれはね、インドネシアの飛行機会社のガルーダっていうんだよ。」
どうして私は大人げないんだろう。子どもが一生懸命さがしているっていうのに。子ども相手にそんな知識を自慢したってしょうがないじゃない?
「ありがとうございます。」と親には感謝されたけれど、子どもはそれでも必死に探し続けているのだ。
君はすごい。人を信じないところがすごい。自分の目で確認しなければ気がすまないんだね。きっとボクはりっぱな学者になれるよ。そんな探究心を忘れないでがんばりなさい。
ちなみに、ぼくはそんな子どもを相手にしていたので、ガルーダ航空の新型エアバスが飛び立つ機体の写真が撮影できなかったのだった。だからデルダ航空で我慢してね。