Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

聖地TOKO BUKU BERATA(ブラタ書店)

2009年01月04日 | バリ
 聖地巡礼なんて言葉があるが、バリで私の聖地の一つは本屋であり、それをまわることがまさに聖地巡礼である。「学者は本当につまらないね、本屋まわって喜んでいるんだから。」なんて思われるかもしれないが、別に学者になる前から本屋好きであり、学者だからではなく、「私」だからである。つまり「あいつは本当につまらないね。本屋まわって喜んでいるんだから。」というなら正解である。
 この本屋、私が留学していた時代は「ベテラン通り」にあったのだが、10数年前にはここに引っ越してずっとそのままである。店屋は薄暗く、店の前の通りはいつも車が激しく往来しているせいで、店頭の本は妙に埃っぽい。表紙を指でなぞるとかなり汚いのがわかる。これこそがブラタ書店であり、こうでなくてはならない。ビニールなんて本にかけるのは邪道である。
 今回も胸をときめかせてブラタ書店にでかける。中国系の店主は私のことを覚えていて、「最近来ないじゃないか」と声をかけてくれる。インドネシアに住んでいるわけではないので簡単に来られるわけはないのだが、きっとこの人、私がここに在住していると勘違いしているのだろう。
 宗教関係の本が多いのがこの本屋の特徴。昼に行くと、儀礼帰りのマンクー(僧)などが宗教書のコーナーで熱心に本を開いているのを見るのも微笑ましい。マンクーの知人が店屋にくると、マンクーもただのオジサンで、厳かなイメージはどこにやら、「いやー今日は儀礼が朝早くてねえ」なんて下世話な話をしている。
 宗教書が満ちた愛すべきブラタ書店。ずっと聖地はこのままであって欲しい。まあ、こういうノスタルジーは身勝手なのかもしれないけれどね。