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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

放っておいても・・・

2008年04月13日 | 家・わたくしごと
 今年もわが家の蘭が咲いた。実は毎年、水をやり、陽にあてているだけなのだが、不思議と花を咲かせるのである。花が咲くと、やはり誰かに見てもらいたいという欲求から、玄関に鉢を移動する。といっても最上階の端に位置するわが家の玄関にやってくるのは、朝夕の新聞屋さんと、たまにやってくる宅配便のお兄さんくらいだが。
 30年近く前だろうか、今はもう亡くなった祖父が、一生懸命、蘭の花を栽培していたのを記憶している。その頃、蘭の花は高級な花で、今のようにどこかしこで見られるような花ではなかった。それがバイオテクノロジーの発展もあいまって、今では蘭は、珍しい高級花ではなくなった。
 しかし蘭の花を見ると、私はいつもやさしかった祖父の笑顔が蘇る。家庭用の温室の中に小さな苗を数十鉢並べて、「この株からあと5,6年したら花が咲くのだ」といっていた祖父の根気のよさを思い出す。演奏でも長くて1年、普段は1ヶ月、2週間といった締め切りを追っかけながら生活している私には、祖父のような植物学者の「根気のよさ」には脱帽である。残念ながら私には植物学者の能力は備わっていなかったとみえる。