院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

無駄な検査

2007-06-19 13:37:57 | Weblog
 頭痛がするという症状だけで大きな病院に行ってごらんなさい。

 たいていの場合、頭部CTか頭部MRIを撮られるだろう。頭部CTは6600円、MRIは10800円である。そこに初診料やら処方料が付いてくる。かなりの値段になる。

 結果は多くの場合「異常なし」である。そして鎮痛剤が処方されるだけである。

 昔は頭痛程度で大病院には行かなかった。ノーシンかセデスを買ってすませていた。

 医療費が毎年伸びているというけれども、医療費を押し上げているのは老人医療費だけではない。なんでもないのに、最先端の検査をすることも医療費増加の大きな原因である。

 病院は儲けようとして最先端の検査をしているわけではない。儲けても医者の給料は上がらない。(医者の給料はむしろ、私が医者になりたてのころと比べて感覚的に半分に減っている)。

 なぜ病院は検査をするかというと、万に一つでも脳腫瘍や脳血管障害を見落とすと手痛い批判を受けるからである。

 わが国全体がそういうムードになっているから、病院は患者さんが来院した以上、検査をせざるをえないのである。杏林大学でワタアメの棒が喉から脳内に刺さって亡くなった子供がいた。棒が脳内に達しているかもしれないなんて、どこの医者が考えるだろうか?それでも、十分な検査をしなかったと杏林大学は激しい批判を受けた。

 そういうのがイヤだから、病院は最先端の検査をするのだ。そして医療費が増大していく。

 ビートたけしさんの「ほんとは恐い家庭の医学」なんていうバラエティー番組の視聴率が高いなんて、異常な世の中だと思う。あの番組のために、また無駄な検査が大量に行われることだろう。