少し前の赤日新聞の連載エッセイの中で、三谷幸喜が毎晩10歳の息子に「快盗ルビイ・マーチンスン」を読み聞かせている、と書いていた。
彼らしいチョイスだな、と感心した半面、ヘンリー・スレッサーの小説は自分自身で出会い、紙のページをめくりながら読んだ方がいいのでは、とも思ったけれど、あと10年後に日本人の若者がヘンリー・スレッサーの作品に出会える確率はほぼゼロかもしれない。
今回、円の新札が20年ぶりに発行されたが、次の20年後がデジタル円かもしれないように。
それは冗談として、僕らはテレビで繰り返し放映されていた新旧「ヒッチコック劇場」や「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」のシナリオライターとしてスレッサーを知ったが、もうそんなきっかけもない。
そう考えると、スレッサーやチャールズ・ボーモント、あるいはジョン・オハラのような大衆作家の訳本や原書を処分するのがひどくためらわれてくるのだ。
和田誠による映画化作品(1988年)。主題歌は大瀧詠一作曲。