ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

願い事

2016年07月08日 | 珠玉

 思い立って、あり合わせの千代紙で七夕飾りを作りました。
ふだん作業をする時はほぼ一心不乱で、純粋にいいモノを作りましょう、ということしか頭にないのですが、今日はもう少しリラックスして、願い事など考えながら手を動かしています。
みなさんが、しあわせでありますように。
(出来ばえはこの程度でご勘弁願います。)

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わたしの鎌倉

2016年07月04日 | 日記

 駅前東口の広々としたバス・ロータリーを突っ切り、若宮大路を横切って閑静な住宅地の中の細い道を十数分歩くと、比企一族の菩提寺の妙本寺である。面白いことにここの境内(と言っても正門をくぐってすぐのところだが)には“梅天”という名の天ぷら屋さんがある。都区内から鎌倉を訪ねると、ちょうどこの店で昼食にするのにいい時間になる。
 座敷でゆっくり腹ごしらえをしたあと、うっそうとした緑が美しい参道を登って行く。観光客にはあまり観るべきものがないせいか、本堂の周囲はいつ行っても人影まばらで閑散としている。
 駅前で買った花と線香を持っていそいそと本堂左手の墓へ参る。
「長谷川海太郎(之)墓」。そう、ここは“三つのペンネームを持つ作家”林不忘/谷譲次/牧逸馬の墓なのだ。
 大正末期から昭和初期のたった十年間に林名義で「丹下左膳」を、牧名義で翻訳や海外の実話読物を、そして谷名義でアメリカ放浪中の体験を素材にした「めりけんじゃっぷ」ものをそれぞれ書き散らかし、35才で早逝した異色の作家。
「右手で墓石に触れると筆が早くなるかもよ」
「それはいいわね。」
新聞記者をしている友人と笑い合った。
 若宮大路まで戻り、鶴岡八幡宮へぶらぶら歩いて行く。この日は七五三で、着飾った親子連れで賑わっていた。十数年来初詣に訪れてはいるけれど、全国でも有数の人手を誇る名所だけにいつも三の鳥居あたりから遥拝で済ませるのがほとんど。今回は不精のお詫びも兼ねてきちんとお参りしてきた。
 八幡宮から右手に折れ、金沢街道を二十分ほど歩くと、鎌倉五山の一つ浄妙寺に行き着く。二年ほど前からここの離れでは美しい庭園を眺めながらお茶をいただくことができるようになっている(有料)。粋な企画だと思う。それから内緒だが、このすぐ近くには原節子の住む古い家もある。
 鎌倉宮へ抜けたらバスで駅まで戻る。ここからは気分によって(小津映画にたびたび登場する)北鎌倉駅方面に足を伸ばしたり、徒歩で由比ケ浜へ出たり、江の電に乗って大仏さまを見に行ったり、と色々だ。北鎌倉へ行くなら駅前の“やま本”というおそば屋さんに寄ってみるといい。新し過ぎず古過ぎない和風のインテリアが好感を持てるし、値段も鎌倉にしてはとても良心的だ。大仏のある長谷へなら鎌倉文学館に寄りたい。ここには前述の林不忘の遺品が多数所蔵されている。


 さて、お寺巡りで疲れた足は鎌倉駅前にある(「鳩サブレー」で有名な)“豊島屋”ビル内の喫茶店“扉”で休めよう。店名は久保田万太郎が命名したのだそう。2Fはパーラー、3Fは和風の軽食処(1Fは売店)。どちらのフロアにするかはこれまたその日の気分次第だ。

(1993年12月)





         「麦秋」撮影風景(1951年)
 
 

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奥ゆかしさ

2016年07月01日 | 珠玉

モーガン・アープ さよなら、お嬢さん。どうかお元気で。(馬車馬へ)進め!
(馬を下りるワイアット・アープ)
クレメンタイン・カーター お話したいことはたくさんありますのに、言葉にならなくて。
ワイアット そうですね、わかります。街に残って学校作りを手伝うそうですね。
クレメンタイン そう、私、教師になりますのよ。
ワイアット それはとても素敵ですね。我々は戻って故郷の父にこの出来事を伝えます。
       また牛を追ってこちらへ来たら、寄らせていただきます。
クレメンタイン 学校にも?
ワイアット ええ、きっとです。
       それでは、さようなら。
クレメンタイン さようなら。(握手する二人)
ワイアット (馬に乗り)それにしても、実にいい名前ですね、クレメンタインって。



 運んできた牛を盗まれたうえ末弟を殺されたワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)は無法の街トゥームストーンで再び保安官の職に就いた。
 ある日、街の顔役ドク・ホリディを追って東部からフィアンセのクレメンタイン・カーター嬢がやってくる。重い結核で自らの死期を悟っているドクは彼女をじゃけんに扱うものの、名前は愛称のクレムと呼ぶ。他方、ワイアットはというと、どこまでもカーターさん(ミス・カーター)だ。
 そして映画のラスト、最後の最後にやっとの思いでクレメンタインと口にするが、これは名前を呼んだというよりは、心の声を言葉にした、と言った方がしっくりくる。
この奥ゆかしさに、万感の思いに、観るたび胸打たれずにはいられない。

「荒野の決闘(いとしのクレメンタイン)」(1946年)



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