ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

トゥルー・グリット(ほんものの勇気)

2016年10月14日 | ハリウッド

 ラッキー・ネッド・ペパーと三人の悪党どもが木蔭から草地へと姿を現わした。そこで四人は馬に乗り、あたしたちから遠去かって西の方へ向った。
その連中が出発するかしないかという時に、一人の馬に乗った男が野原の西の端の藪から出て来た。馬はゆっくりと歩いて、乗り手は馬を開けた場所の中央まで進め、四人の命知らずの悪漢どもの進路をはばむようにして止った。
そう、それはルースター・コグバーンだった! 悪党どもは馬の手綱を控えて、七、八十ヤードの距離でルースターと向い合った。ルースターはその海軍拳銃の中の一挺を左手に持ち、右手では手綱を握っていた。
ルースターは言った、「あの娘はどこにいるんだ、ネッド?」
ラッキー・ネッド・ペパーが言った、「おれが最後に見た時には、すばらしく元気だったぜ! 今はどうか答えられんな!」
「今、あの娘のことを答えるんだ!」と、ルースターが言った。「どこにいるんだ!」
(中略)
ラッキー・ネッド・ペパーが言った、「ところで、ルースター。道を開けてくれんかね。 おれたちにはよそで仕事があるんだ!」
ルースターが言った、「ハロルド、お前とお前の弟はさっさと立ち去れ! 今日のところお前たちに興味はない! 今すぐ立ち去れば、怪我をせんですむぞ!」
ハロルド・パーマリーの答えは雄鶏のような鳴き声だった。そしてその「コケコッコー」という声に、兄のファレルは腹をかかえて笑った。
ラッキー・ネッド・ペパーが言った。「どういうつもりなんだ? あんたは四人に一人でおれたちを抑えられると思ってるのか?」
ルースターは言った、「おれはきさまを、ものの一分もたたんうちに殺してやるというんだよ、ネッド。さもなくば、パーカー判事のお気に召すまま、フォート・スミスで縛り首になるのを見物しょうって寸法だ! どっちがいいかね?」
ラッキー・ネッド・ペパーは答えて言った、「そのずうずうしい駄ぼらは、片眼のでぶっちょにくれてやるぜ―」
ルースターが言った、「武器をとれ、こん畜生め!」
そして、手綱を口にくわえると、鞍につけたもう一つの牟銃を引き抜き、たけだけしい乗馬ボオの腹に拍車をかけて、まっしぐらに悪党一味めがけて突撃した。
 それは一見に値する光景だった。ルースターは両手の拳銃を突進する馬の頭の両側に広く構えていた。四人の悪党は挑戦を受けて立ち、同じように銃を引き抜いてポニーを突進させた。

「勇気ある追跡」(昭和44年早川書房刊)より



「トゥルー・グリット」(2010年)




「勇気ある追跡」(1969年)





ネッドと3人の悪党ども(「トゥルー・グリット」)



同上(「勇気ある追跡」)


ラッキー・ネッド・ペパー(「トゥルー・グリット」)


同上(「勇気ある追跡」)
※トム・ヘイゲン(「ゴッドファーザー」)、キルゴア大佐(「地獄の黙示録」)、そしてブー・ラッドレー(「アラバマ物語」)の、ロバート・デュバル!




<ルースターは両手の拳銃を突進する馬の頭の両側に広く構えていた(「トゥルー・グリット」)


同上(「勇気ある追跡」)


14歳の主人公マティ・ロス(「トゥルー・グリット」)



同上(「勇気ある追跡」)

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