ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

もみの木

2015年12月18日 | 日記
 20年ほど前、宅地造成中の雑種地内で見つけた高さ120センチほどのもみの木を自力で掘り出し、軽トラックに積んできて自宅に植えた。
雑木に囲まれていたため幹は光の方向へZ型に大きく曲がり、北側は枝葉もほとんどない裸のような状態だった。
そんなみすぼらしいものを一体どうするの、ホームセンターで買った方がずっとマシだよ、と土工たちは笑った。
そんなあざけりには耳を貸さず、居間の前に据えると、次はその木をからめてウッドデッキを自作した。
 それから5年間、もみの木は10センチも成長しなかった。
さすがに不安になってきた6年目の初夏、思い立って自己流で枝を大胆に剪定してみた。
するとどうだろう、その夏はぐんぐんと背が伸び、2メートルを超した。
味をしめた僕は、毎年時季が来るとさらに大胆に枝葉を落として行った。
その結果、10年目には二階の屋根高を上回る、5メートル超の大木に育っていた。
その後、庭師のアドバイスに従い先端をつめて伸びを止めたところ、今度は枝を横に張り始め、ひねこびた幹は丸々となって以前の不格好さが失せ、親の欲目?か、現在は風格すら感じられる木になっている。
 ペット一匹、草花一本育てたことがなかった僕が、この木を通じて学んだことは本当にたくさんある。けれども、それをここに書くと教訓じみてきそうなので、やめておこう。
来年もまた、時季が来たらきれいな円錐形に黙々と刈りそろえるだけだ。



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