大どんでんがえし、だとやや品がないので、驚愕のエンディング、と表しておこうか。
「パワープレイ」(1978年)はクーデターを扱った傑作ポリティカル・フィクション映画だ。
とあるヨーロッパの小国。強権的な軍事政権下でテロが横行し、それを秘密警察が弾圧する。この恐怖の連鎖と閉塞感を打破しようと密かに集まったグループからクーデターを持ちかけられた退役間近の穏健派軍人ナリマン大佐(デヴィッド・ヘミングス)は、極秘裏に陸軍内の同志を集め始める。戦車大隊長のゼラー大佐(ピーター・オトゥール)が加わったことで意を強くしたナリマンたちは、ついにクーデターを決行する―。
著名な戦略家エドワード・ルトワックの奇書「クーデター入門」を原案として、オトゥール、ヘミングス(共同製作も)、ドナルド・プレザンス、バリー・モース(ジェラード警部)と癖の強い男優たちが勢ぞろいしたうえに、戦車も兵士もカナダ軍が全面協力していることで、息詰まるほどの迫真の画面が続く。
名優ピーター・オトゥールのセリフ回しはいつもながら美しい。ゆっくり区切ってあたかも甘美なもののように「クー・デ・ター」(フランス語)と口にする。
クーデターは一度始めたら徹頭徹尾、完遂すること、謀略に惑わされて裏をかかれないこと。この映画が描いている厳しい教訓だ。