「それでは採用で結構ですが、一つだけお話しておきたいことがあります。きみの事業所からウチの法人にいらした職員さんはこれで4人目ですが、はっきり言って非常に物足りない点があります。それは、みなホーム(事業所)への愛情を持ちあわせていないことです。心当たりがありますよね?」
ここで、同席していたぽらん千厩のS主任に、きみはこのホームに愛情を持っているか?と尋ねたところ、もちろんです、と間髪を入れず気色ばんだ様子で答えた。
「ほら、なぜそんなことを聞くのか、と怒っています。彼はウチの主任の中で一番若いけれど、その気持ちは誰にも負けないと自認している。だから、利用者様や管理者、同僚、そして自分の職場というものを含んだホームを、しっかり守ってくれる。それが、なごみの主成分で、他法人と違うところです。
なんでこんなところに勤めなくちゃいけないんだって内心思っている職員がウロウロしているホームに、帰宅願望のある認知症の利用者様が納得していてくださるわけありませんよね。では改めて尋ねます、きみが当法人に来たら、ホームへの愛情を持つ事ができますか?」