同僚が父親とバージンロードを歩いて行くのを見ながら久しぶりに湧き上がってきた感情を、式のあと同じテーブルの上司へ打ち明けた時のことです。
「私は母ひとり娘ひとりなので、子供のころからこういった式は挙げられないだろうなって思っていました。」
上司は驚いたように一瞬私の顔をのぞき込むと、視線をあさっての方向へ移して言いました。
「そういう時は僕を呼んでくれればいい。花嫁の父親役でも、場合によっては花婿の父親役でも、喜んで務めるので。」
今度は私が顔をのぞき込む番でした。
ジュースを吹き出しそうになりながら、とても救われた気持ちになりました。