脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

鴎外試論(10)

2007年10月28日 12時50分14秒 | 読書・鑑賞雑感
大正五年(1916)四月、五十四歳になる鴎外は、 陸軍軍医総監、陸軍省医務局長等の官職を退いている。 同年は、十二月に漱石が没する年でもあるが、 以後鴎外は、『高瀬舟』や『寒山拾得』他、 『渋江抽斎』や『伊沢蘭軒』という史伝の執筆に専念する。 この時期、退職後の心境を語ったとされる書き物に、 『空車』(むなぐるま)という短い随筆がある。 空車とは、馬に引かせて街中を往く大きな荷車であるが、 文字 . . . 本文を読む