脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

鴎外試論(9)

2007年10月26日 13時26分35秒 | 読書・鑑賞雑感
高瀬舟は、京都の高瀬川を上下する小舟であり、 徳川時代、遠島される罪人を運び、大阪に廻したそうである。 夏の暮れ方、夜舟は、静かな川面の水を掻き分けひっそり進む。 小舟に揺られているのは、町奉行同心・羽田庄兵衛と 住所不定で三十歳になる、蒼白く痩せた罪人の喜助である。 庄兵衛は、大勢の罪人の護送役を務めてきた役人である。 喜助が弟殺しの科にある罪人であることは知っていたが、 黙って月を仰いでい . . . 本文を読む