坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

日本初回顧展! ジャクソン・ポロック展

2011年08月22日 | 展覧会
戦後アートの舞台は、パリからニューヨークへへと中心が移って行きますが、その先駆者となったのが、ジャクソン・ポロック(1912~1956)です。それまでモダニズムの流れは、ピカソからモンドリアン、カンディンスキーへと絵画は、対象を再現するのではなく、色彩と形態による自律した絵画へとビジョンが確立していきました。
その革新的な定義においてもキャンバスの大きさや二次元的解釈の枠組みのなかでの志向だったのです。
ポロックは、掲載画像のように、床にキャンバスを広げ、塗料を即興的に垂らし、流し込む「ドリッピング」により、それまでの絵画の定義を根底から覆す問題定義を投げかけたのです。
〈これは絵画ですか、それとも物質でしょうか〉という絵画の概念に問いかけたのです。それを起点としてロスコやニューマンへと抽象表現主義の流れが形成されていきます。
本展は、生誕100年を記念して、日本各地にあるポロック全作品、ニューヨーク、ドイツ他世界各地から70点の大作が集結します。2006年には、165億円で作品が落札され話題を呼んだポロック、波乱に満ちた44歳の人生は伝説的なスーパースターへと押し上げていきました。

◆生誕100年 ジャクソン・ポロック展/11月11日~12年1月22日・愛知県美術館
 12年2月10日~5月6日・東京国立近代美術館