辰野登恵子さん(1950年~)は、1980年代に起こった日本のニューペインティングを代表する画家です。禁欲的なミニマリズムの絵画が盛んだった70年代中頃に画家として出発した辰野さんは、絵画の二次元的な面と色彩の構造への論理的展開の行き詰まりを模索していきます。このようなニューペインティングの流れは、絵画の復権としてシュナーベルら欧米でも大きな流れを生みだしました。
50年代に起こったアンフォルメル以後、美術の動向はモダニズムの問題提起への知的探求へと進んでいました。
日本のニューペインティングの画家たちは、その〈絵画は物質である〉という側面を原点として、形態と色彩の構造を探究していきます。
辰野さんの80年代の作品では、ぶどうの房のような丸い粒の集積、胞子状のかたち、四角形、十字形などのさまざまな形が現れてきます。その伸びやかなかたちが配されることで、色彩のイリュージョンによって奥行きが生じ画面が息づいていきます。その脈動はどこからくるのか、辰野さんは一つ一つの形状を丹念に掘り起こしていきます。
・掲載作品は、「水位」2005年。今年2月にトーキョーワンダーサイトに出品した作品です。
今回の資生堂ギャラリーでの個展では、リトグラフ(石版)の新作が並びます。今年の2月から1カ月パリの版画工房に滞在し、現在では稀少となった本格的な大理石の版を使っての制作。これまで手掛けた版画は、シルクスクリーン、木版、エッチングなど多岐にわたりますが、石版をつかってのリトグラフは初の挑戦となりました。
新作石版画約10点と、500号の新作油彩画が展示されます。抽象表現の新たな展開が期待されます。
◆辰野登恵子 抽象ー明日への問いかけ/8月23日~10月16日/資生堂ギャラリー(銀座8丁目)
50年代に起こったアンフォルメル以後、美術の動向はモダニズムの問題提起への知的探求へと進んでいました。
日本のニューペインティングの画家たちは、その〈絵画は物質である〉という側面を原点として、形態と色彩の構造を探究していきます。
辰野さんの80年代の作品では、ぶどうの房のような丸い粒の集積、胞子状のかたち、四角形、十字形などのさまざまな形が現れてきます。その伸びやかなかたちが配されることで、色彩のイリュージョンによって奥行きが生じ画面が息づいていきます。その脈動はどこからくるのか、辰野さんは一つ一つの形状を丹念に掘り起こしていきます。
・掲載作品は、「水位」2005年。今年2月にトーキョーワンダーサイトに出品した作品です。
今回の資生堂ギャラリーでの個展では、リトグラフ(石版)の新作が並びます。今年の2月から1カ月パリの版画工房に滞在し、現在では稀少となった本格的な大理石の版を使っての制作。これまで手掛けた版画は、シルクスクリーン、木版、エッチングなど多岐にわたりますが、石版をつかってのリトグラフは初の挑戦となりました。
新作石版画約10点と、500号の新作油彩画が展示されます。抽象表現の新たな展開が期待されます。
◆辰野登恵子 抽象ー明日への問いかけ/8月23日~10月16日/資生堂ギャラリー(銀座8丁目)