自由広場

穿った独楽は廻る
遠心力は 今日も誰かを惹きこむ

奥田英朗著「ララピポ」

2008-11-03 18:15:28 | きままに一冊。
いやー、この人の作品はマジで外さないわ。前回紹介した「空中ブランコ」に続き、この「ララピポ」も相当面白かった。最初から最後まで止まることなく読むことが気できます。この持続する面白さはすごい。

前知識もなく読むと、最初は「単なる短編集か」と思わされるのですが、2話目の主人公を見て「おやっ」と興味をそそられます。ゲームで例えるところの「街」のような、時間を並行して登場人物を描いていく技巧に感服。内容が重複してしまうおそれすら顧みず思うがままに書かれています。

なぜにここまでこの人の小説は面白いんだろう。それは恐らく、登場人物の姿や心情が僕ら現代人にとても近いものだからだと思います。だから無理なく読み進めることが出来る。変に勘ぐったり深読みする必要なんて一つもありません。これが現代小説なのか、と激しく唸ってしまいます。


さてこの「ララピポ」、調べてみるとどうやら来春に映画で公開のようです。この手法をどう映画に活かすのか非常に興味深いところですが、映画を観る習慣というのがイマイチ自分にはなく、増して外すやもしれないものを自主的に観にいく勇気が自分にありません。よって本だけに留まっておくとします。


奥田さんの小説は本当に面白い。今まで手に取っていなかったのは後悔の極み。次はどれに手を出してみようかとワクワクな気分です。