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ニーチェの音楽

2004-12-06 02:21:30 | 音楽史
Nietzsche Lieder/Piano Works/Melodrama
baritone & piano:Dietrich Fischer-Dieskau
piano:Aribert Reimann/Elmar Budde

ニーチェの作曲した歌曲やピアノ連弾曲など収録したCD。ニーチェは13歳から作曲をはじめ、20代くらいまではコンスタントに作曲を続けていたようだが、その後はほとんど作曲はせず、38歳くらいのときにルー・ザロメの詩に曲をつけたものが例外のようだ。
「悲劇の誕生」から始まるニーチェの著作に音楽は重要なエレメントだったし、「神の死」を「調性の崩壊」と結びつけて考えることもできるし、ニーチェが後の音楽に与えた思想的影響は大きい。よくは知らないが、ニーチェをノイズ・ミュージックの思想的な源流ととらえ、ニーチェの音楽作品をリミックスしたものもあるらしい。
ニーチェの作品自体は、シューベルトやシューマンの模倣ということでほとんど評価されていない。とはいえ、それら楽曲に魅力がないわけではない。歌うフィッシャー=ディースカウの巨匠性がドイツ・リートの系譜上でのニーチェの位置づけを迫ってくるのが重々しく感じられるのだが、それなりに楽しめる。

ニーチェの音楽思想の源流
リヒャルト・ワーグナー「芸術と革命」(岩波文庫)
アルトゥール・ショーペンハウアー「意志と表象としての世界」(中央公論社「世界の名著」)
渡辺護「音楽は意志の客観化 ショーペンハウアーの音楽美学」(今道友信編「精神と音楽の交響」《音楽之友社》所収)


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