もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記⑬ ・・・ すいせん・シシマイ・お正月  

2015-01-04 16:03:28 | E市での記憶
お正月の朝起きたら
スイセンの花のにおいがした。

どこからするのかなあ・・・って
家のなか探してみたら
洗面所の鏡の前に
牛乳ビンに2本入ってた。

こんな少しで
こんなに甘~い香り?

なんか、おかあちゃんの香水みたいだけど
ほんとかなあ・・・って思ってたら
「お座敷と玄関に、奥さんがいけてたよ」って 
オダさんが教えてくれた。

奥さんっていうのは
おかあちゃんのこと。

「でも少し残ってたから、もらって
あたしが牛乳瓶にいれておいたんよ」だって。

オダさんは、なぜかわからないけど
ちょっとハズカシソウだった。


お正月の、特に最初の日は
おじいちゃんやおばあちゃんにいろいろ言われる。

お正月は朝寝坊しちゃいけない。
「元旦から朝寝してると、一年中寝坊する」から。

お正月は、なるべく新しいキレイな服を着る。
「そうじゃないと、一年中キタナイ格好になる」から。

アタシは、おねえちゃんとお揃いの
新しい編み込みのセーター着てる。
「雪の結晶の模様だね」って
おねえちゃんが言ってた。

お正月はお餅ついて食べる。
「昔はお米はなかなか食べられんかった」から
・・・みたい。

お正月はイロイロ食べる。
「マメに働けるように黒豆」
「昆布はよろこんぶ言うて、おめでたい」
「数の子は子どもがたくさん」

意味のワカルのもワカラナイのもあるけど
アタシは、甘いおしょうゆつけたお餅と
あとは玉子焼きだけでいいんだけどな~。


お正月は、雪が降ってるのと
降ってないのとで、全然違う。

降ってるときは、コタツに入って
みんなでゲームをしたりする。
普段はあんまり一緒にいないおとうちゃんや
たま~には、おかあちゃんも
一緒に遊んでくれたりする。

なんかすごーく特別な感じ。

いつもは「子どもは風の子。
外出て遊びなさい」って言われるのに
お正月はあんまり言われない。

キレイな格好してないといけないから
外に出て遊んでベタベタになったら
ダメなのかもしれないけど。


雪が降ってないお正月だと
シシマイが来る。

アタシはほんと言うと
シシマイって、ちょっと怖い。

いつだったかヒロちゃんが
「シシマイって、子どものアタマ食べるんだって」
「どんどん家の中、入ってきたりするんだって」
なんて言ってたから。

ほんとかなあ・・・

足は人間の足(たぶん)だけど
顔は違うから・・・

ときどき尺八吹きながら
玄関に来る虚無僧も怖いけど
アレは人間だってことはわかってるから
まだマシだと思う。

アタシはシシマイが一軒一軒廻ってるときは
あんまり近寄らないようにしてる。

でも、一回くらい
う~んと近くから見てみたい気もする。

おばあちゃんは
「昔は正月はマンザイが来て
そりゃあニギヤカやった」って言う。

面白いの?って聞いたら
「もお、オモシレエったらなかった」って。

TVで日曜日にカドザのチュウケイしてて
漫才もよく見るけど「あんなの?」って聞いたら
おばあちゃんは、ちょっと顔をしかめて
「アレたぁちごうて、もっとずっとええ」。

「マンザイ」にもイロイロあるらしかった。




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