もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記⑫ ・・・ は、つ、ゆ、き

2015-01-01 13:52:59 | E市での記憶
桜とか、イチョウの葉っぱがぜ~んぶ落ちて
風がますます冷たくなって

もう「秋」じゃない・・・って
はっきりわかるようになった頃。

朝目が覚めると、きのうまでとは

「空気が違う!」

顔とか、鼻先とかの「冷たさ」の感じも
もう、全然違ってる。

台所のおばあちゃんか
モリシタさんとかオダさんとかが
「おはよう」って言うまえに教えてくれる。

「雪が降ったよ」

わ、わ、わ~~~きゃ~~

おねえちゃんと競争で着替えて
玄関に飛んでいく。

ふんわりした粉を
うす~く撒いたみたいに
道が白い。

「ほんとだ!!」
 
おねえちゃんの口からも
アタシの口からも
機関車の白い煙みたいに
「息」が見える。

大急ぎで長靴はいて
雪の上、歩いてみる。

古い小さくなった長靴だと
すべって転んだりするから
気をつけてそぉ~っと歩く。

人がまだ踏んでないとこ探して
足跡つける競争。

あっという間に
道路は足跡だらけになっちゃって・・・

「はよ、ご飯食べてしまい~」

で、シブシブ
おねえちゃんもアタシも家に入る。

ちょっと苦いカブラのおつゆも
湯気がなんだか、いつもより一杯。
早く外に出たくって
タマゴかけごはんも一生懸命食べる。

でも・・・

アタシたちが学校行くときはもう
道路の雪は消えちゃってる。

どうしてなんだろ。
早すぎるよね。

でもでも、屋根とかゴミ箱とかの
蔭になってるとこにだけ
くっきり白く残ってたりするから・・・

おねえちゃんと「雪」探ししながら
走って学校行く。

会う子みんなに
「雪ふったね~」って言うんだよ。

なんだかみんなも嬉しそう。



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