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この割合は、ビジネスの世界でよく使われている『ハインリッヒの法則』と呼ばれるものである。
ハインリッヒの法則とは、米国のハインリッヒ氏が労働災害の発生確率を分析したもので、保険会社の経営に役立てられています。それによると1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはケガはないがひやっとした300件の体験があるというもの。
同じように、ビジネスにおける失敗発生率としても活用されており、例えば1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗がある。さらにその裏には、300件の社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃しているケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在するといえる。
あるデータでは、不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わず、一般にクレームが1件あると、問題を抱えた顧客が他にも24人存在することになり、そのうち6件は深刻な問題だという。
その他にも、苦情を訴えた顧客は、たとえその問題が十分に解決されなかったとしても、苦情を訴えなかった顧客よりも、その企業と継続的にビジネスをしようとする傾向があり、苦情を訴えた顧客の54~70%は、問題が解決されれば再びその企業とビジネスしようとする。特に問題が速やかに解決されたと顧客が感じるときには、その数字は95%にまで上昇する。
不満をクレームという形で表すことができる顧客が大切なのである。苦情対応の結果次第では、その顧客は他の顧客に対してもよい宣伝効果があることが分かっている。逆の場合もしかりである。
これらのデータがそのまま福祉の世界に当てはまるかは疑問だが、福祉業界でも真剣に考える必要があるだろう。
すでに「ヒヤリハット」や「インシデント」という言葉で、300のヒヤリを現している事業者も多くある。しかし、私たちがよく考えておかなければいけないのは、この法則はサービス供給側からの視点が主であり、利用者視点ではないということ。つまり、供給側から見れば300のヒヤリでも、利用者やその家族から見れば、表面には出ない多くの不満が内在しているのである。
売り手市場の介護サービスにおいては、どれだけ多くの人が不満を飲み込み、耐えているのだろうか。
家族からの不満は、年老いた親への無関心という形で、表に出てきにくい面もあることを忘れてはいけない。
* * * * * * * * *
介護保険が施行され、サービスが契約に基づくものになってから、多くの事業所でもリスクマネジメントが取り組まれている。
それと比例するかのように、介護事故による裁判も各地で起こされている。
・転倒・転落による事故
・誤嚥による事故
・徘徊による事故
・急変を察知できなかったことによる事故 ・・・等
この中で最も多いのが、転倒・転落による事故で、死亡につながる例も少なくない。また、その他の事故で裁判になっているのは、すべて利用者の死亡という悲惨な結末になっている。
訴訟を起こされるということは、苦情対応の仕方を誤ってしまったことにも原因があるだろう。裁判になると大きな労力と費用がかかり、精神的にも辛いものである。それでも利用者や家族が裁判を起こそうと決断だけのやりきれない気持ちと、不十分な対応があったのだろう。
リスクマネジメントは、事故を未然に防ぐだけではなく、事故後の対応まで含めたものでなければならない。
企業や組織の本質は、危機的状況に直面したときに現れるものである。ぜひ、自分たちの働く事業所を見つめ直してもらいたい。そして、自分自身の意識も。
この割合は、ビジネスの世界でよく使われている『ハインリッヒの法則』と呼ばれるものである。
ハインリッヒの法則とは、米国のハインリッヒ氏が労働災害の発生確率を分析したもので、保険会社の経営に役立てられています。それによると1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏にはケガはないがひやっとした300件の体験があるというもの。
同じように、ビジネスにおける失敗発生率としても活用されており、例えば1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗がある。さらにその裏には、300件の社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃しているケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在するといえる。
あるデータでは、不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わず、一般にクレームが1件あると、問題を抱えた顧客が他にも24人存在することになり、そのうち6件は深刻な問題だという。
その他にも、苦情を訴えた顧客は、たとえその問題が十分に解決されなかったとしても、苦情を訴えなかった顧客よりも、その企業と継続的にビジネスをしようとする傾向があり、苦情を訴えた顧客の54~70%は、問題が解決されれば再びその企業とビジネスしようとする。特に問題が速やかに解決されたと顧客が感じるときには、その数字は95%にまで上昇する。
不満をクレームという形で表すことができる顧客が大切なのである。苦情対応の結果次第では、その顧客は他の顧客に対してもよい宣伝効果があることが分かっている。逆の場合もしかりである。
これらのデータがそのまま福祉の世界に当てはまるかは疑問だが、福祉業界でも真剣に考える必要があるだろう。
すでに「ヒヤリハット」や「インシデント」という言葉で、300のヒヤリを現している事業者も多くある。しかし、私たちがよく考えておかなければいけないのは、この法則はサービス供給側からの視点が主であり、利用者視点ではないということ。つまり、供給側から見れば300のヒヤリでも、利用者やその家族から見れば、表面には出ない多くの不満が内在しているのである。
売り手市場の介護サービスにおいては、どれだけ多くの人が不満を飲み込み、耐えているのだろうか。
家族からの不満は、年老いた親への無関心という形で、表に出てきにくい面もあることを忘れてはいけない。
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介護保険が施行され、サービスが契約に基づくものになってから、多くの事業所でもリスクマネジメントが取り組まれている。
それと比例するかのように、介護事故による裁判も各地で起こされている。
・転倒・転落による事故
・誤嚥による事故
・徘徊による事故
・急変を察知できなかったことによる事故 ・・・等
この中で最も多いのが、転倒・転落による事故で、死亡につながる例も少なくない。また、その他の事故で裁判になっているのは、すべて利用者の死亡という悲惨な結末になっている。
訴訟を起こされるということは、苦情対応の仕方を誤ってしまったことにも原因があるだろう。裁判になると大きな労力と費用がかかり、精神的にも辛いものである。それでも利用者や家族が裁判を起こそうと決断だけのやりきれない気持ちと、不十分な対応があったのだろう。
リスクマネジメントは、事故を未然に防ぐだけではなく、事故後の対応まで含めたものでなければならない。
企業や組織の本質は、危機的状況に直面したときに現れるものである。ぜひ、自分たちの働く事業所を見つめ直してもらいたい。そして、自分自身の意識も。