むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

フランスの歌手カロリーヌ・ルグランって、なんで一発屋で終わったんだろ?

2007-05-11 01:54:31 | 芸術・文化全般
フランス文化の話題を。
たまたま以前飛行機の中で知ったカロリーヌ・ルグラン Caroline Legrand というフランスで80年代の一時期に活躍したヴァリエテ歌手がいるんだが、今回その最大のヒット曲だった J'aurais voulu te dire が入っている懐メロのコンピラシオン・アルバム Le Quart D'Heure American, Vol. 2を買ってきた。これには他にもエマニュエル夫人のテーマ曲、78年から80年代にかけて大ヒットしたミュージカル、Starmaniaスターマニアの中で人気がある曲 Les Uns Contre Les Autres、ジェーン・バーキンのカバーで知った Pull Marine、ノートルダム・ド・パリで有名なトリオ曲 Belleなども入っている、かなり美味しいアルバム。
で、こうやってちゃんと聞くと、J'aurais voulu te direって名曲だし(特にサビの部分ってフランス的だな)、Caroline Legrand 自身も歌は割りとうまいし、声もけっこう好みだし、顔もまあ割りとかわいげな顔なのだが、どうしてほとんどこの曲一発屋で終わって、今ではほとんど落ちぶれてしまったんだろうか?
まあ、この手の実力はあるのに、なぜか一発屋で終わった歌手って日本でもけっこういるんだが(逆にいえば、倉木麻衣って絶対一発屋で終わると思ったんだけどなあ)。
同じ時期にデビューしたパトリシア・カースはいまでもフランス語圏全体でけっこう人気があるし、私も好きではあるが、条件としてはそれほど変わらないのに、この落差は何だろう?カースのほうがハスキーで特徴があるし、実際にコンサートは見たことがないが、わりとカリスマ性がある気もするし、多分運というのが大きかったのかも知れないが、不思議だ。

そういえば、スターマニアの Les Uns Contre Les Autresも、なかなかよろしい。思わず、ようつべでこれも含めて有名曲を見たが、なかなか良いな。さすがフランスでかつて大ヒットし、今でも根強い人気を誇り、あのケベック出身のセリーヌ・ディオンも持ち歌に入れているだけのことはあるな。
ちなみに、セリーヌ・ディオンって、ケベックでデビューしたころって、とてもイモかったんだよね。あれは笑った。

セリーヌ・ディオンといえば、フランスで活躍している歌手とか作詞作曲家ってけっこうケベック出身が多いんだね。ノートルダムに出ていた Garou もそうだし(今は下火だが)、Les Uns Contre Les Autresを歌っている Fabienne Thibeault、作詞ではスターマニアとノートルダムを手がけた Luc Plamondon なんかもそう。
そういえば、世界的に若者に人気のカナダ出身のロック歌手 Avril Lavigneってのがいるよね?彼女も名前からわかるようにフランス系(でもフランス語はできないらしい)。ただ、私は彼女の顔は嫌いじゃないが、歌は嫌いだ。どこがいいのかわからん。つまらんと思う。これは歳のせいなのか?

相次ぐ統一派の失態 三立バッシングは藪蛇に 馬英九は「台湾地区指導者選挙に出馬」?

2007-05-11 01:22:04 | 台湾政治
最近の統一派の大失態二件を取り上げる。

まず、統一派の聯合報が8日付けで、民進党寄りの三立テレビの228事件ドキュメンタリーで放映された画面が「228事件ではなく、上海で国民党軍が共産党員を処刑する場面だった」と指摘、「でっち上げだ」などと大騒ぎし、さらに統一派メディアがそれに便乗した問題では、10日には統一派メディアがこの件にほとんど沈黙するようになった。
というのも、228事件についていくら噛み付いても、ますます国民党や統一派の分が悪くなることに、いまさらながら気づいたようで、沈黙せざるを得なかったようだ。
ただし8日に三立が会見で、責任を映像を提供した228遺族に転嫁したことで、9日には統一派メディアがここぞとばかり騒いだという一幕もあった(この点は三立の失態)。しかし、9日午後には三立が「字幕に誤りがあった」として謝罪し訂正を約束。その足で映像を提供した228遺族阮美[女朱]女史にも会って謝罪した。阮女史謝罪を受け入れ、早速国民党の228に対する責任を指摘し、統一派メディアを批判、また他の228遺族も三立に加勢したこともあって、統一派は分が悪くなる一方だった。

統一派の大失態はもう一つ明るみに出た。というのも、先週、馬英九直系でスポークスマン格の国民党所属立法委員呉育昇が、衛星を通じた中国のテレビ局の取材を受けたが、ここで呉氏は中国が忌避する「中華民国総統」「中華民国立法委員」という名称を使わず、「馬英九氏は来年の台湾地区指導者の選挙に出馬する」と語り、さらに自らの称号は「台湾地区民意代表」となっていたことが大問題となった。
これはどうやら中国のテレビをチェックしている台湾の若者がYoutubeなどに投稿して、それを見てさらにBBSで問題視されたことで明るみになり、緑系の民視と三立が報じて広まったものだ。
騒ぎが広まったことを受けて10日、馬英九が呉育昇に「不快感」を示して「私が出馬するのは中華民国総統であって、台湾地区指導者」ではないと「注意」した、という。
しかしそもそも呉氏は馬英九の側近であり、呉氏の発言は馬英九の事前の同意と許可を受けていないはずがない。馬英九はおそらく台湾の民意や若者の情報収集力を甘く見て「よもや中国のテレビなど誰も見ていないだろう」とタカをくくったのだろうが、台湾の若者はちゃんとチェックしていてそれをこれ見よがしにyoutubeにアップして、さらにBBSで集中砲火を浴びせているのだ。ボーダーレスのネット時代の威力と台湾の今の若者の台湾意識の強さを馬英九が知らなかったとしたら、あまりにも無知である。
この件は台湾で深く記憶されるであろう。そして正式に総統選挙戦が始まるころには再びこの記憶が呼び出され、「馬英九の出馬資格」そのものが問われるだろう。それどころかそれ以前に馬英九の特別費横領事件は一審で有罪判決が下されることはほぼ確定的だ。一審有罪だけなら国民党の内規改悪で何とか出馬資格そのものは維持されるが、ただでさえ急速に下がっている馬英九の支持率は決定的に崩壊し、もし出馬に固執しても惨めな結果になるだろう。

いずれにしても、馬英九は来年の総統選挙では惨敗が必至。民進党に深く関わってきたある広告会社の経営者は「一審有罪判決が出ても馬が出馬するなら、謝長廷との差は20-30%、判決がなくても今回の発言で15%以上に広がるのではないか」と指摘している。
さらに今後もし王金平が党を割って独自に出馬したとしても、国民党本土派の票の一部を食うだけで、民進党には影響しないだろう。

日本のメディア、共同通信、週刊金曜日、月刊雑誌・世界、それからそれを盲信した一部の人は、かつて「馬英九で決まり」などとうそぶいていたが、現状を見てどう釈明するのだろうか?特に共同通信は特定の思想をもった政論雑誌ではなく、通信社でありながら、馬英九に肩入れしてきた罪は重い。共同通信は最近優秀な記者が定年退職を迎えたり、若手で優秀な人も辞めていったりで、国民党と同じ泥舟状態なのかも知れないが。

フランス大統領選挙、サルコジも穏健路線に?

2007-05-11 01:21:32 | 世界の政治・社会情勢
フランス大統領選挙で勝利したサルコジは、私はどうしてもあの顔が好きになれないし、見ると一日不快な気分になるほどなので、あまり語りたくないと、前回書いたが、いちおう少しは評価を書いておきたい。
結果発表のあった7日未明、BBCニュースを見ていた。サルコジの勝利演説は英語の同時通訳があったのと、後でRFIのニュースで文字を確認して内容を理解したのだが、勝利演説の内容そのものは悪くなかったと思う。
私が注目したのは、地中海欧州の連帯・連携を強化して連合を結成するという部分と、移民規制はするが同時に移民の元となっているアフリカに対する関心と援助を強化するといった部分だ。

サルコジは地中海連合について具体的にはポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャ、キプロスをあげていたが、将来的には勝利宣言の直後にお忍びで訪れていたマルタ、それからRFIのニュースで描かれていた対岸のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、それからフランスと関係が深いレバノンが含まれるべきだろう。
この点は評価できる。これまで欧州というと、ドイツや英国などの大国、しかも近代以降に発展した北側に偏ってきたが、人類の文明史から見れば長らく地中海が中心だったのであり、地中海に注目してそれを強調した点は評価できる。ただ惜しむらくはマルタとレバノンも言及して欲しかった。

それから第二点、移民は規制する一方で、「友愛」の精神から「アフリカが疫病や飢餓や貧困を克服して平和に暮らせるよう援助する」ことを謳ったことも、高く評価できると思う。というのも、そもそも欧米帝国主義の歴史こそがアフリカの貧困とフランスなどへの移民をもたらした原因なのだから、移民を規制するだけでは本末転倒であって、規制するなら規制するで建設的な代案、抜本的解決案を示さなければならない。以前サルコジは白人貧困層を代弁するかのように、ルペンと軌を一にして移民を「社会のクズ」などと呼び、規制を一方的に声高に叫んだだけだった。しかしこの勝利演説ではどこまで本気かわからないが、ともかくこうした主張をしたことは評価できる。

選挙期間はとかく極右的発言を引きずってきたサルコジだが、決戦投票の結果、国民の残りの半分近くが人権を重視する左派を支持したという現実がある。また第一回目投票では中道のバイルも健闘し、「右翼左翼の二極対立」が伝統だったフランスの政治に「中道」、第三の軸という楔を打ち込んだ。さらにサルコジ当選が確定してから左派を支持した移民系が反発する抗議デモを展開、暴動に近い状態になった。サルコジは石原慎太郎ばりの極右姿勢と弁舌さわやかさ、直言で一部から人気を得たが、一方では国民の半分近くがサルコジを強く拒否しているのである。政治は調整の芸術だとするなら、サルコジは彼を強く拒否した47%の民意を無視できない。
それが勝利演説の内容でも反映されたといえるだろう。

とはいえ、やはりサルコジには、強権体質、不正疑惑が取りざたされるうえ、アラブを重視してきたフランスの中東外交の伝統やサウジはじめ個人的にも密接な関係を築いてきたシラクとは異なって、親イスラエルであるため、アラブからの信頼を失う危険性もあるのが懸念材料だ。その意味では、人権を謳い、アラブとの関係を重視したロワイヤルが敗北したのは残念というしかない。しかし、まだまだ6月には国会議員選挙が控えている。社会党には分裂の可能性も取りざたされているが、サルコジが再び極右シフトさせないという大局にたって、是非ともバイルが狙っている中道勢力新党と左派が大同団結し、議会多数派獲得、首相獲得、コアビアシオンをめざしてほしいと思う。