むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

謝長廷、正式に民進党公認総統候補に決定 夜は支持者への謝恩会を開く

2007-05-30 02:02:35 | 台湾政治




民主進歩党は29日、第12期第10次中央執行委員会を開き、正式に謝長廷氏を2008年総統選挙の公認候補として決定した。謝長廷の個人事務所「長工弁公室」はこれを受けて「感恩音楽会」と題する謝恩音楽会を同日午後7時から台北市議会地下1階ホールで開いた。会場は約500人収容で一杯になって外にも何人もいた。ただし、謝系以外の民進党幹部・議員は姿を見せず、予備選挙のしこりが残っていないところを見せ付けた。
音楽会は、台湾語運動で活躍、今は台湾語チャンネルの司会などをやっている呉国禎ともう一人知らない女性が務め、はじめは台湾語歌謡研究家・歌手の孫徳銘氏の音楽教室の仲間による台湾語の古い歌謡曲が歌われた(焼肉粽、安平追想曲など)。それから現代歌謡の部となり、民進党系の集会ではおなじみの盲人歌手・蕭煌奇、
豬頭皮こと朱約信(とその娘・朱讃美)によるステージとなった。約信とは以前よく会っていたときは、オーローちゃんがまだ赤ちゃんやよちよちのころだったが、ずいぶん見ない間に大きくなったな。日本語では「リンダ、リンダ」も歌われた(これは最近同名日本映画がけっこう話題になったこともある)。
約信のステージの途中、午後8時35分ごろに謝長廷が入場、着席してから朱が何曲か歌ったが、それから謝長廷が舞台に登場。特技のオカリナによる「竹田の子守唄」を披露し、挨拶もした。
「少なくとも25万票差で勝つ。しかし選挙の競争は競争として、それは誰かを貶めるものではないから、勝利の後は馬英九も心配する必要はない。なぜなら中国の脅威と対抗するためには、馬英九とだって友達になってもいいから」といって会場を笑わせた。
また、同日付けの中国時報(最近ガセネタが多い)が「黄慶林・中央常務委員が謝長廷の高雄MRT汚職事件の関連が取りざたされていること(といってもそれも中国時報が勝手にでっち上げているだけなんだが)を嫌って、公認決定を暫定的に引き延ばすよう求めている」とやはりガセネタを書いていることを取り上げて「今日も黄氏は会場に来ているが、今朝確認したところ、そんなことはない、と否定した。それほどかように、党内の仲間を信じるべきであって、メディアを信用してはならない」と指摘。これは言外に、中国時報などが最近やたらと高雄MRT汚職事件との関連性を書き立てて、「起訴されるも間近」などという印象操作を行っていることを牽制する意味が込められている。
そもそも今の中国時報はまったく信用できない。日本では90年代までの堅実、中立的なイメージから中国時報を信用している研究者や記者が多いようだが、中国時報は昨年、王健壮という新新聞上がりの深藍系のキチガイ編集長になってから、完全に深藍のガセネタ新聞に転落している。社説はまだまともな部分もあるが、記事そのものは国民党本土派をたたいたり、民進党の内部分裂を仕組むような情報操作のものが多く、まったく信用できない。

その後は台湾語歌手として有名な蔡振南が2曲歌い、最後に謝長廷ら幹部がステージに上がって、会場全員で「伊是[口自]的寶貝(I si7 lan2--e5 po2-poe3)」を斉唱してお開きとなった。終わったあとは出口外で謝長廷と夫人、葉菊蘭が参加者の見送りをした。会が始まる前から葉菊蘭と李応元がずっといて、さらに謝が来てからもずっと横につきっきりになっていたのは印象的だった。
謝系の中核メンバーはほぼ全員揃っていた。ただ謝系でも立法委員の何人かと外交秘書は姿を見なかったが、別の用事があるのだろう。
謝系以外の顔は少なかったが、それでも謝系とは犬猿の仲の新潮流系も、市議員の李建昌、徐佳青、このほど文化建設委員会主任委員になった翁金珠は、予備選挙のときにももともと謝寄りだったこともあって参加していた。

謝長廷は京大留学経験があることを生かして、立法委員・浪人・高雄市長時代にもたびたび日本を訪れ、日本政界・官界・学界にも人脈を築いてきた。民進党に限らず台湾政界をリードする層の中で唯一の知日派といっていい。それだけでなく、単なるごみごみとした田舎町だった高雄市を見違えるような近代都市にした高雄市長としての実績、2020年台北五輪誘致のアイデアなど、行政手腕と議題設定能力でも現在の台湾政界の中では卓越したものを持っている。馬英九は行政手腕、議題設定、対日関係のいずれをとっても謝長廷の足元にも及ばない。
謝長廷には是非とも25万票差といわず100万票差を目指して欲しい。そうすることによって、「台湾は台湾」という現実を動かしがたい事実として世界に向けて示すことができるだけでなく、台湾と日本との関係強化、対中関係の処理も可能となるのである。

李登輝訪日、キツイ日程でダイジョウブか?

2007-05-30 01:57:33 | 台湾その他の話題
李登輝がいよいよ30日から訪日する。しかしこれは日本の一部では大きな話題になって熱狂的な反応も起きているようだが、台湾ではあいにく2月の対中傾斜発言の余波で李登輝の影響力が大幅に低下したことで、ほとんど話題になっていない。
テレビニュースでも李登輝と仲良しの統一派メディア経営者邱復生が経営する「年代」が昨日中嶋嶺雄への電話インタビューを流していただけだ。台湾派メディアはほとんど無視状態。
しかし年代のインタビューで英語で答えていたナカジマミネオってちょっと間抜けだ。東京外大中国語科教授もやっていたはずなのに、中国語があまりできないのか。しかも以前日本のメディアで「学生諸君、英語をもっとやるべきだ」などと偉そうにいっていたわりには、英語もそれほど流暢ともいえない(私と同じレベルか。まあ英語圏留学経験がないわりにはマシなほうだが、とにかく威張れるようなレベルではないことは確かw)。しかも笑ったのは「はしか」のことを「hashika」などといっていたこと。こういうところは李登輝と似ているのかも知れないがw。

しかし、今回の日程は、ぽしゃった昨年9月の日程とほぼ同じで、ほぼ毎日のように宿泊先を変えて東北を回るというもの。毎日ホテルを変えて移動するなんて、20代の学生だけができること。41歳の私でもこんなの見せられたらしんどいと思うし、ちょっと後に残りそうなのに、80代でしかも心臓に持病がある老人、しかもペアに対して、こんなハードな日程で旅行させるなんて、ナカジマミネオは何を考えているのか。もし日本で緊急入院とか最悪くたばったりしたら、ナカジマ氏はどう責任を取るつもりなんだろう。

それはそれとして、李登輝は日本を訪問してこそ、存在価値がある。その点では、今回の訪日は私としても歓迎し、評価したい。そういう意味でも2月に「孔子の列国周遊の旅」をなぞりたいといって訪中意欲を見せたのはやはり魔がさしたというか、判断の誤りだったとしかいいようがない。李登輝は中国に行ったり、中国寄りになってはならない。あくまでも日本との関係維持に努めるべきなのだから。