むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

原発はとりあえずすべて運転停止すべし

2011-03-16 02:27:19 | 世界の政治・社会情勢
私がもともと反原発論者だからというわけではないが、今回福島原発で起こった一連の事故を見て、やはり原発なるものは実用化すべきではない、未完成で誤った技術だという思いを新たにした。
この際、世界中すべての原発を運転停止にして、年数がたったものは廃棄、近年供用開始したものは補強を施し、そして新規建設はすべて停止するべきだろう。
本当は既存のものを全廃といいたいところだが、それはあまりにも理想論すぎる。現実に存在するものをすべて否定することはできない。それで生計している人だっているからだ。ただシュレーダー時代のドイツのように、年限を設定して全廃するべきだろう。

近年世界的に原油高や温暖化論にかこつけて、原発を増設する「原発ルネサンス」の流れができつつあったが、たとえ発電コストが高くなっても、たとえ温暖化になっても、子々孫々まで放射能汚染で苦しむことになる原発よりは、何十倍もマシである。
まして、温暖化論もCO2悪玉論は実は根拠が薄い以上、「運転中はCO2を生まない原発」というのは的外れもいいところである。
大体、原発の悪いところは、東電の対応に見られるように、事実を隠蔽・改竄する不透明性にある。これは原発に本源的にある性質である。いわくテロ攻撃を防ぐため。しかしテロに攻撃されたら危ないものなら、最初から作るなよ!
そして今回のように万が一事故が起こったら取り返しがつかない。原発については「絶対安全」でなければならない。ところが人間が作るものだから、「絶対」はない。
そもそも電気の作り方が、火力と同じように「燃料を加熱する」方式であるところが、技術としてはお粗末である。
さらに、廃棄物や閉鎖した原発を半永久的に封じ込められるかも難題だ。そういう意味で、原発は実用化には程遠い、できそこないで、未完成の代物なのだ。近代文明の発明の中で最大・最悪の失敗作というべきだろう。

今回の事故を受けて中国や台湾や韓国は「うちは大丈夫だ」といっているが、東電も以前および地震発生直後はそういってきたのだ。むしろ原発を「安全で大丈夫だ」などという傲慢と慢心こそが、大きな事故を誘発する原因というべきである。
逆に安全性については日本やそれ以上にある欧州が今回の事故を受けて新規立地を見直しつつあること、アジアでも、タイ、フィリピン、インドネシアといった、民主度がある程度進んでいる国で慎重論が台頭していることは注目すべきだろう。
供給が逼迫するというなら、今回の関東がそうであるように、節電に努めればよい。そもそも「供給逼迫」なるものは、電力会社が原発を作りたいがためにわざと宣伝してでっち上げている疑いもある。

そういえば、日本の電力会社でも、東京電力と中部電力は最悪である。「原発は安全で、事故は絶対に起こらない」などと言いふらし、そして事故が起こるとひた隠しにする。今回東電は醜態をさらした。
ただ、私が記者時代に接触したことがる電力会社でも、四国電力と中国電力はマシだった。四国電力は伊方原発差し止め訴訟を最初に起こされていることもあって、わりと率直で「原発は危ないです。だからこそ、細心の注意と市民からの批判が必要なのです」といっていた。また中国電力も私が記者時代に限れば、原発をあまり作りたくないという立場だった(科技庁が推進政策をとっているから仕方ないという感じだった)。
原発は危ない。しかし国から言われている、あるいは需要逼迫だから必要悪だ。だが危ないから細心の注意が必要で、絶対大丈夫だという慢心は禁物だという四国電力の立場は、まだしも良心的といえる。

それにしても、東電は最低だし、できそこないの原発なるものは全廃の方向を目指すべきである。

拙著もよろしく!

台湾×夜市(ワンテーマ指さし会話)
880円+税、情報センター出版局、127ページ
ISBN 978-4-7958-4303-5


「親日」台湾の幻想 (扶桑社新書)
740円、扶桑社、244ページ
ISBN 978-4-594-06260-6

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