むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

台湾、リビアと関係復活、元首相互訪問へ?

2006-01-19 04:17:28 | 台湾政治
台湾、リビアと関係復活、相互関係強化へ
リビアの最高指導者ムアンマル・ル・カッザーフィー(Muammar Abu Minyar al-Qaddafi、معمر القذافي)(カダフィ)氏の息子、同国ナンバー2の実力者でカッザーフィー財団会長のサイフ・ル・イスラーム・ル・カッザーフィー(Saif al-Islam Qaddafi、سيف الإسلام القذاف)氏が台湾を訪問して18日に陳水扁総統(大統領)と会談した。双方は代表部の相互設置、元首の相互訪問など、台湾との相互関係の回復で合意した。19日付けの聯合晩報は1面(我將與利比亞 互設代表處など)と3面で大きく報じ、台湾総統府も同日のニュースリリース(總統接見利比亞格達費基金會主席賽義夫.格達費)で正式に発表した。

台湾は昨年10月に西アフリカの主要国セネガルと断交するなど、このところ中国の「台頭」に押され気味で、外交的な後退を余儀なくされてきたが、今回のカダフィ・ジュニアの訪問と関係強化の合意は、台湾外交にとって久しぶりにヒットとなった。
台湾にとって、中東諸国との関係はきわめて重要だ。産油国が多いからというエネルギー戦略の側面だけでない。米国の中東戦略が台湾問題への対応にも直結するため、中東との関係を開拓して情報を収集することは必要であり、しかも、中東の庶民レベルでは台湾の境遇に同情的な人々が多いこともあり(アル・ジャジーラや、レバノンのメディアをはじめ、台湾の緑側の運動に好意的な報道が多い)、台湾が中東において外交空間を開拓する余地と意味は大きいといえるだろう。
ところが、これまで台湾の対中東外交は国民党時代の時代錯誤な観念を継承するように、サウジ、UAE、オマーンのような専制君主国(ただし台湾と関係が良好な君主国のヨルダンはまだまともだが)とイスラエルのような覇権主義国家との関係に限定されていて、レバノン、エジプト、チュニジア、シリア、リビア、アルジェリア、イエメンなどの共和制のアラブ諸国とは関係が疎遠だった。
この中では、エジプトとは01年に代表部の相互設置で合意しかけたが、台湾当局の発表がフライイングしたため、エジプト側が激怒、設置に至らなかった(ただ台湾人観光客への着地ビザ発給という優遇だけは獲得している)。
また、レバノンのように、中東アラブの中では最も言論が自由で曲がりなりにも民主主義が機能している国とすら、代表部を置いていないだけでなく、台湾人観光客へのビザすらほとんど出ないような状態になっている。
台湾外交部関係者は、これらの共和制諸国は「社会主義志向で中国との関係が密接すぎて台湾を排除しているからだ」というが、それは単なる逃げ口上だろう。アルジェリアが伝統的に中国べったりである以外は、チュニジア、シリア、レバノン、イエメンは実はそれほど中国べったり、台湾排除とはいえない。シリアにしても北朝鮮との関係は密接ではあっても、中国とはそこそこ。チュニジアとレバノンは伝統的に親西欧だ。要するに、台湾外交部の努力が足りないだけのことだろう。

今回のリビアとの接触について、蒋孝厳氏(90年代に外交部長経験があり、現在国民党籍立法委員)は、「リビアは軍事独裁国家で国際的イメージが悪い、台湾外交にプラスにならない」などと主張しているようだが(台利互設辦事處》蔣孝嚴:對台毫無幫助)、これは噴飯ものだ。
そもそも、外交というのは、相手が独裁かどうかで行うものではない。そんなこと言い出せば、蒋孝厳氏ら国民党政権が一生懸命に外交活動を行っていたアパルトヘイト時代の南アフリカ、中国と国交を持つ前のイスラエル、奴隷制と首切り処刑を実施しているサウジアラビアは、どうなるのだろう。また、蒋孝厳氏が昨年連戦について訪問した中国はどうなるのか?しかもあのとき、彼は喜喜としてチベット人虐殺の下手人と握手したのではなかろうか?
また、25ある台湾の国交国のなかで紛れもなく自由で民主的だといえるのは、ツバル、キリバス、パラオ、ナウル、セントビンセント、セントクリストファー、コスタリカ、ベリーズ、パナマ、サントメプリンシペだけ。今回脚光を浴びているリビアのすぐ南隣にあるチャドは、台湾と国交があるが、あそこはとても民主的とは呼べない国である。
蒋孝厳の主張は言いがかり以外の何者でもない。
それから、蒋氏はリビアがまだ国際的に孤立していると思っているとしたら、外交オンチというべきである。

リビアは03年に大量破壊兵器開発計画を破棄、それに応じて国連から対リビア経済制裁が解除され、続いて04年に米国からも制裁を解除、従来から親密だったフランスをはじめ、西欧、米国などとの関係を改善している。カダフィ・ジュニア自身は昨年4月にも日本を訪問(参照:季刊アラブ2005年夏、113号、p.10、カダフィ・ジュニア日本を駆ける)、韓国外相も昨年リビアを訪問するなど、東アジアの非共産国家との関係も復活させている。
これまで伝えられているところによれば、カダフィ政権はイスラエルの承認も検討し、アラブよりアフリカとしてのアイデンティティを強めるなど、これまでのアラブの暴れん坊、対米強硬派という立場から大きな転身を図っているのが現実だ。
しかも、リビアはフェニキア時代の拠点のひとつで、ローマ帝国時代にキレナイカとして知られ、首都トリポリがギリシャ語の「三つの町」が語源であるなど(同じ名前の都市がレバノンにもあるが)、ギリシャ・ローマ文明の遺跡が残り、同文明とのつながりが深いところでもある。というより、そもそもギリシャ文明とは中東のものなのである。
そういう意味で、リビアをはじめとした地中海沿岸のアラブ諸国と関係を深めることは、中東と欧州の共通基盤を理解することにつながり、欧州外交にも有益なのである。また、リビアは最近アフリカの一国としての位置づけも進めているから、リビアとの関係はアフリカ外交の一助ともなる。
願わくは、レバノンとの関係も深めてほしいのだが。

ただ、今回の動きで、元首の相互訪問が一挙に進むかどうか、私は懐疑的である。
それは別に中国の圧力云々のせいではない。米国相手に喧嘩してきたカダフィのような人間にとっては、中国の圧力など屁でもないだろう。
問題は台湾側から出てくると思う。というのも、かつて南アフリカが民主化してマンデラ大統領が就任した際、当時国交があった台湾から李登輝総統が就任式典に出席し、台湾独立聯盟の紹介で、パレスチナ解放機構のアラファト議長と会談したことがある。そのとき、李登輝がアラファトの台湾訪問を要請し、アラファトが快諾したが、結果的に実現しなかった。それは中国の圧力によるものとはいえなかった。アラファトは快諾したときに「イスラエルと戦っているわれわれには中国の圧力などどうということはない」といっている。問題は台湾側にあった。それは台湾の官僚どもが米国の顔色をうかがって、アラファトをテロリスト、PLOをテロ団体に指定していて、それをはずそうとしなかったことが原因していたという。
リビアの件についても、蒋孝厳がリビアをけなしているウラには、国民党系が外交官僚の時代錯誤的な観念が反映されているとも考えられる。そうだとすれば、リビアとの関係強化が順調に進むかどうかは、かなり困難となる可能性が高い。
とはいえ、リビアとの関係改善は、喜ばしいニュースである。

参考記事:
http://www.president.gov.tw/php-bin/prez/shownews.php4
總統接見利比亞格達費基金會主席賽義夫.格達費
  陳總統水扁先生今天上午接見利比亞格達費基金會(Qadhafi Foundation)主席賽義夫.格達費(Saif Qadhafi),除對他率團專程來訪,代表我國政府與人民表達誠摯歡迎外,總統與訪賓並就台灣及利比亞未來合作事宜廣泛交換意見。
(中略)
會談時,總統並提及利比亞不僅是非洲的主要國家,該國領袖格達費也是國際間重要的領導人,台灣與利比亞自1959始至1978年有長達20年的邦誼, 兩國間有深厚的情誼,今天他與賽義夫主席晤面,絲毫不感到距離與陌生,而利比亞人民崇尚色,認為色是革命的象徵,也代表吉祥、幸福與勝利,而他所屬的 政黨民進黨也是色的黨,與利比亞人民同樣喜愛色,色讓兩國人民緊密結合在一起,他希望藉由此次賽義夫主席的來訪,為日後雙方的交流奠下良好的基礎。
(後略)


http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3123688.shtml
我將與利比亞 互設代表處
【記者李濠仲/台北報導】
【2006/01/18 聯合晚報】

http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3123722.shtml
台利互設辦事處》賽義夫與扁會面 突提設處
【記者黃國樑/台北報導】
(前略)
他(呂慶龍)表示,我國與利比亞是在1959年建交,1978年8月我與利比亞斷交,到1980年3月,我國在利比亞設立以國號為名的中華民國商務辦事處,但於1997年8月間撤處。
呂慶龍指出,格達費的國際聲譽目前已經好轉,我國與利比亞交往應已較無顧慮,且只要有國際朋友願意尊重台灣,我國當然願意伸出友誼的雙手。
【2006/01/18 聯合晚報】


http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3123725.shtml
台利互設辦事處》蔣孝嚴:對台毫無幫助
記者王正寧/台北報導
前外交部長、立委蔣孝嚴表示,利比亞是軍事獨裁政權,也是區域威脅的國家,在國際上並不受歡迎,加上過去經貿等各方面的合作毫無進展,對台灣毫無幫助,只有浪費資源,因此在他手上決定撤館。
蔣孝嚴表示,在國民黨執政時代,雙方就曾互設代表處,甚至包括軍方都有人 員,但因為利比亞在國際上是一個不受歡迎的國家,且當地幾乎沒有我國僑民,10餘年來也沒有任何合作,反而是利比亞比較需要台灣,經過評估在他手上決定撤 館。他認為,陳水扁去訪問對台灣形象恐怕只有負面影響。
【記者鄭任汶、王正寧/台北報導】
陳水扁總統即將出訪利比亞,我與利比亞也將互設代表處,朝野立委同感訝異, 幾位民進黨立委都表示,毫不知情,不過,熟悉國安事務的親民黨立委張顯耀指出,他一點都不感到驚訝,利國是我在非洲最堅強友邦,甚至在斷交之後,我方外交 與國安單位還以中華民國的名義繼續派駐在當地。
【2006/01/18 聯合晚報】


http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3123728.shtml
台利互設辦事處》利比亞 最愛色
國際新聞組
【2006/01/18 聯合晚報】


http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3123724.shtml
台利互設辦事處》格達費 沙漠之鷹
編譯倪婉君、彭淮棟/綜合報導
【2006/01/18 聯合晚報】


http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3124325.shtml
台利互設辦事處》格達費與台灣關係細說從頭
中央社特拉維夫特稿
【2006/01/18 中央社】


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