むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

日本は無為無策、戦略不在がゆえに、台湾(+南北朝鮮)を引き受けざるを得なくなる!

2009-03-10 03:09:55 | 台湾その他の話題
ところで、日本に一時帰国した際、保守派に属する人たちにも会い、この状況だと台湾とおそらく韓国も経済的に崩壊、それが政治体制と社会の解体に直結し、日本の管理下に置かれるだろうという見通しを伝えたところ、反応が一様に「日本には戦略がないし、そんな余裕はないだろう」というものだった。

保守派って、われわれ左派を「自虐史観」だとののしっているわりには自らは「現状自虐主義」なんだねw。
まあ、現状というか戦後の平和国家としての歩みに自虐的だから、歴史を美化したがるのだろう。まるで北朝鮮や中国と同じ、というか、民族主義者というか国粋主義者って、視野狭窄で、現在ではなく、過去の歴史に栄光を求めたがる点では、共通しているんだよねw。

そもそも、日本に戦略がないし、余裕がない、だから台湾を引き受けられないというのは、実はまったく逆で、戦略がないから、みすみす台湾の民進党政権がつぶれ、国民党政権が復活し、そして台湾が崩壊していくのを指をくわえて見ていた(いる)のであって、戦略があったら、台湾がつぶれないように、民進党政権が維持するような工作を行っていただろう。
拉致事件だって、事件が起こったときに、すぐに調査して、その後の拉致被害者が出ることがなかったし、今さら北朝鮮のミサイルの脅威を騒ぎ立てる必要もなかっただろう。

台湾と韓国が経済的に崩壊したのも、北朝鮮が軍事的に増大したのも、すべて日本が無策だったからであって、無策であるからこそ、その結果起こる災難を引き受けざるを得なくなってしまうのだ。
つまり、台湾と韓国を引き受けるという、日本国民から見て災難を、である。

賢かったら、台湾と韓国の自立が続くように工作を行えたはずだ。それをしなかったのは、一義的には台湾と韓国の大選挙時期に政権を担当していた福田康夫および自民党の無能、無策にあるが、ひいては日本そのものの無策によるものだ。

そもそも、戦前台湾と朝鮮を植民地にした際も、戦略があったからではなく、むしろ戦略や大局観の不在と無策がたたって、引き受けざるを得ない不幸な状況に追い込まれたからだ。台湾および朝鮮獲得後の日本の統治の方針に一貫性がなく、台湾については直後にフランスへの売却論まで出たことに、日本の植民地獲得が戦略的に行われたのではなく、なりゆきで、不本意に行われたことを証明している。
(これは、植民地獲得を正当化するのではなく、日本の政治が昔から無策だった危険性を指摘するものだ、誤解ないように)

そのように、日本は何事も成り行き、なしくずしで物事を行ってしまう。
日本が無策だからこそ、台湾と韓国は崩壊にまで突き進み、そして崩壊してどうしょうもなくなった最も不幸かつ災難な状況で日本が引き受けざるを得なくなってしまうだろう、ということだ。

そして、私は日本で、自民党職員、議員、官僚、首長などにこの指摘を投げかけて、一様に「日本は無策だからそんなことはない」という思考停止した間抜けな反応を受けたことから、ますます台湾と韓国の崩壊と日本が貧乏くじを引かされて引き受ける可能性について確信した次第だ。

そういう点では、日本人は甘すぎる。アジア情勢をちゃんと見ていない。
アジアは日本の富にたかって、引きずり込みたがっているのだ。それをうまくかわすためには、台湾と韓国のリベラル政権の維持が必要だったのだが、それをみすみす陥落させてしまった。日本はアジアを見ていないため、アジアのいやらしさを知らない。戦略の不在こそが、日本を再び植民地帝国にしてしまうことを、日本人が気づいていないのは、不幸だ。

しかも、「余裕がない」という主張は噴飯ものである。
日本の保守派は、視野狭窄だからか、日本の経済的実力こそが世界で最強で、勝ち組になっていることに気づいていないらしい(これは保守派に限ったことじゃないが)。
というのも、いまだに日本人の「景気判断」の基準は、基準とするには外れているバブル期においており、96年や00年の好景気を直視できない錯乱した状態にあるからだろう。

リーマンを買収したのは日本企業だ。日本円は最近は若干軟調になっているが、それでも世界の通貨に対して独歩高だ。それは日本だけが余裕がある経済金融大国であることを意味している。

今の日本人は内向きになりすぎていて、日本を世界の中で客観視できていない。日本は圧倒的に強いのは事実なのだ。

また、日本における経済関係の討論を見ていると噴飯ものなのは、「日本はセーフティネットがしっかりしていない」というものだ。
おいおい「中国やインドの急成長」をいった後から、「日本はセーフティネットがしっかりしていない」って空いた口がふさがらんね。
だって、中国やインドみたいな後進国は、セーフティネットが「しっかり」どころか、そもそも「まったくない」のであって、日本が社民主義者が「削られるのはけしからん」とぎゃあぎゃあいっているような高齢者医療や退職年金は、中国にははじめから存在しない。
アジアではまだマシなほうの韓国と台湾だって、日本よりもはるかに劣る。いや、韓国も台湾もせっかくリベラル政権がつくろうとしたのに、国民がバカだからリベラル政権をひきずりおろして、ファッショ独裁の末裔ネオリベ政党をえらんだために、つくりかけの福祉体制がほとんど崩壊してしまっているんだよね。
それから、米国だって医療保険はない。だから、米国では貧乏人は病院にいけない。
東京では貧乏人だって慶應大学病院にいけるが、米国では貧乏人は一流の医療どころか、最低限すら受けられない。
それに比べたら日本はぜんぜんしっかりしているほうなんだけど!

セーフティネットの議論で、必ずアジアを無視してしまっていることにみられるように、日本人が余裕がないと錯覚しているのは、要するに、日本がアジアにおいてあまりにも優越しすぎた孤高のトップランナーであり、周りに比べる対象がまったくないだけのことである。
つまり、日本の現状は、保守派どもですら卑下して自虐的になっているような「余裕がない」状態なんじゃなくて、余裕がありすぎる状態なのね。

アジアで比べるべき対象がないものだから、セーフティネットでは念頭に置かれるのは、北欧なんだろうね。もちろん北欧は日本よりもすごい。だが、スウェーデンですら人口は800万人程度の人口小国を1億を超える人口大国と比べてもしょうがない。
日本だって、たとえば民度が高いほうの神奈川県や兵庫県を福祉特区にでもして、国税もすべて財源移譲して、そこだけで経済および福祉大国をつくらせたら、できないことはないだろう。
スウェーデンはたかだかそういうことをやっているに過ぎない。日本と比較できない。
福祉について日本が比較すべきなのは、米国であり、中国であろう。米中はともに福祉貧国だ。人口が億単位の国で日本ほど福祉が充実している国はない。

何度もいうが、私は日本が台湾と韓国を再び引き受けることを喜んでいるのではない。不幸であり、貧乏くじだと思う。しかし、日本の無策と視野狭窄を見ていると、台湾と韓国の破綻は不可避であり、日本が引き受けざるを得ない状況に追い込まれるのも時間の問題だと憂い、危惧するのである。

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