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むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

カーナー第二の虐殺、イスラエルはさらに罪を重ねた(写真4枚)

2006-08-01 04:01:44 | 中東
悲しいニュースである。ヒズボッラーによるイスラエル兵士拉致を口実にレバノン侵略・破壊活動を行っているイスラエル空軍がついに30日、レバノン南部の町、カーナーQana(レバノン方言だとアーナーになる、日本の新聞はカナと表記)を空爆、37人の子供を含む57人あまりが死亡した。さらに子供のうち15人が知的・身体的障害者だったという。

カーナーとはレバノン南部の都市スールSour(欧名ティール、ティルス、英Tyre、仏Tyr、ラテンTyrus)から17キロあまり東南方の山側に入った村。一説では新約聖書ヨハネ福音書2章1-11節に出てくるイエス最初の奇蹟の場所カナだとされている(異論のほうが多い)。現在はイスラーム教シーア派が多数を占める村だ。
日本など東アジアでは、今回の戦争と蛮行に対して「遠い国の出来事」として関心が薄い観があるが、戦争とは人類そのものへの挑戦であり、国籍や文化の違いを問わない。特にカーナーに隣接する都市スールも3000年前からフェニキア人の町として発展したところで、旧約聖書エゼキエル記で「ツロ」として言及されている。いわば、カーナーもスールも、人類文明の淵源の地のひとつなのであって、ここに対する破壊行為は、まさに人類全体に対する挑戦だといえる。

当ブログでは今回の戦争開始後当初は、ヒズボッラーの挑発と反撃も一般市民を巻き込んだ破壊行為であると批判してきたが、その後の展開を鑑みると、責任・問題の9割以上はイスラエルに帰すると考えざるを得ない。イスラエルの蛮行を糾弾し、即時停戦とレバノンへの賠償を主張する。
イスラエルは建国以来、数々の蛮行を行ってきたが、人の命と平和への希求がこれまでになく高まっている21世紀になって、こうした蛮行を行い、さらに「隣にあったヒズボッラーのミサイル発射施設と誤っての誤爆」などと白々しい言い訳をしていることを見るにつけ、イスラエルはかつてのナチスによるホロコーストのつけを完全に払い、むしろナチスドイツ以上の凶悪国家となったといっても過言ではない。
イスラエルおよびそれを支援する英米は「ヒズボッラーがレバノン国軍に編入されず独自の民兵をもってイスラエルを脅かしているのが問題。ヒズボッラーが武装解除されない限り、イスラエルの安全はない」として、ヒズボッラーの武装解除を条件として持ち出している。しかし、ヒズボッラー武装解除はレバノンの国内問題であり、イスラエルや米英が容喙すべき話ではない。しかも、こうした蛮行を見るにつけ、まさにイスラエルの存在こそが問題の根源であって、ヒズボッラーではない。イスラエルがこれほどの凶悪国家だからこそ、レバノンはヒズボッラーを必要としているのであり、先に解体されるべきはイスラエルであって、ヒズボッラーの武装解除はイスラエル解体と多宗教・民族共存のパレスチナ国家の建設以降とするべきである。ヒズボッラーにもイスラエル市民を犠牲にしているという罪はあるとしても、根源的にはイスラエルの存在にこそ問題がある。
また、今回の蛮行に対して、中国がイスラエルを非難しているのも白々しい。中国こそが90年後半以降、イスラエルと密接な軍事関係を持ち、レーダーをイスラエルから購入することによってイスラエルの兵器開発に協力してきたという意味で、今回の虐殺行為を間接的に支援した元凶の一つである。しかも東トルキスタンではムスリムをムスリムというだけで大量に殺害している。そんな中国がいまさらながらイスラエルを非難する資格などあるのか?

ところで、カーナーに対するイスラエルの蛮行はこれが初めてではない。レバノンではよく知られているが、10年前の1996年4月18日にも起こっている。
イスラエル国防軍(IDF)が「怒りの葡萄作戦」と称するヒズボッラーとの戦闘を展開中、国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)フィジー部隊駐留施設に砲撃した。施設には住民約800人が避難しており、砲撃によってそのうち106人の避難民が殺害された。殺害された人のほとんどは今回と同じく女性と子供だった。イスラエルはこのときもやはり「ヒズボッラーの基地が隣にあって誤爆した」と主張したが、イスラエルが攻撃した施設には国連旗が翻っており、誤認するはずがなかった。これをカーナー虐殺事件という。今回二度目が起こってしまったので、これを第一虐殺事件と呼ぶことにする。

私自身も昨年9月の一回目のレバノン訪問の際、スールからタクシーをハイヤーして立ち寄り、第一虐殺犠牲者に祈りを捧げた。
私が第一虐殺を知ることになったきっかけは、レバノンを代表する歌手マージダ・ルーミー8番目(1996年リリース)のアルバムRasaa'il(手紙)の中の11番目(最後)の曲Qanaからだった。歌詞は:http://www.majidafans.com/en/lyrics.asp?CDID=12&SID=95曲の視聴は:http://songs1.6arab.com/majda-alroomi..qana.ram
イスラエルの再度の蛮行、また、イスラエルおよびそれと結託してきた米英独中も共犯として糾弾する。
今回の蛮行による罪なき犠牲者に哀悼を捧げるとともに、一日も早くレバノンに平和が訪れることを願ってやまない。

ニュース参考URL:

レバノン議員、「死者のうち15人は障害児」 カナ空爆
2006年07月31日10時00分
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200607310078.html

レバノン、戦闘長期化 避難者らに募る疲労
2006年07月28日21時40分
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200607280642.html

Qana
http://en.wikipedia.org/wiki/Qana

カーナー第一の虐殺:1996年4月18日
http://en.wikipedia.org/wiki/1996_shelling_of_Qana

カーナー第二の虐殺:2006年7月30日
http://en.wikipedia.org/wiki/2006_Qana_airstrike


英国の著名な進歩的ジャーナリスト、フィスク氏による第一の虐殺のルポ
Robert Fisk: QANA Massacre in Sanctuary; Eyewitness
The Independent, 19 April 1996
http://www.bintjbeil.com/E/occupation/robert_fisk_qana.html

レバノンに関するあらゆる情報を集めたサイト「アル・マシュリク」のカーナー
al-mashriq QANA
http://almashriq.hiof.no/lebanon/900/910/919/qana/index.html

カーナー第一の虐殺記念写真
QANA photos
http://members.virtualtourist.com/vt/s/?m=6&l.q=1b7afc

レバノン英字紙デイリー・スター記事(7月31日):
Timeline of the July War 2006
 http://www.dailystar.com.lb/July_War06.asp
The Daily Star - Politics - Qana relives 1996 massacre as air strike kills at least 60 civilians
 http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=74379
The Daily Star - Politics - New massacre at Qana propels region into uncharted diplomatic terrain
 http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=74377
The Daily Star - Politics - Global condemnation for latest Qana massacre
 http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=74369
The Daily Star - Editorial - How can the children of the holocaust mete out the same racist rage
 http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&article_id=74375&categ_id=17

レバノン仏字紙ロリアン&ルジュールの記事:
Cana : l’innommable
 http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=318912
Les mots et les condamnations ne suffisent plus, un cessez-le-feu est indispensable, affirme
 http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=318878
Le Hezbollah promet de ≪ punir ≫ Israel apres Cana
Reactions en serie sur la scene locale : condamnation du ≪ massacre barbare ≫ et soutien au gouvernement
 http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=318879
Bilan provisoire du bombardement : 60 morts au moins dont 15 enfants handicapes
A Cana, des femmes ont enlace leurs enfants pour les proteger de la mort
 http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=318892


アルジャジーラ英語サイト:
Timeline: Crisis in Lebanon
 http://english.aljazeera.net/NR/exeres/35772526-C1A8-4599-868C-E513C4F29C9B.htm

アルジャジーラ、アラビア語記事:
 http://www.aljazeera.net/NR/exeres/AF1CC070-9BC0-4A0B-828D-651737C03B9E.htm
 http://www.aljazeera.net/NR/exeres/CE46DA60-0E61-464C-A64D-BA7CE6B38A1D.htm

レバノン最大日刊紙アンナハールの特集:
mujzarah qaanaa
 http://www.annaharonline.com/HTD/SEYA060731-19.HTM

レバノン、ヒズボラ寄り日刊紙アッサフィール:
 http://www.assafir.com/iso/today/front/3597.html
 http://www.assafir.com/iso/today/local/3504.html

写真は上から
レバノン紙アッサフィール7月31日より、今回の第二虐殺で悲しむ地元の男性http://www.assafir.com/iso/today/local/L_3505b.JPEG(ほかにもたくさん悲惨な写真が載っているhttp://www.assafir.com/iso/today/local/3504.html;3504の部分の末尾を5,6,7,8,9とすると多数の画像が見られる)

第一虐殺現場の標識

第一虐殺記念塔

第一虐殺犠牲者の墓


RTI台湾語番組で中東情勢について収録

2006-07-25 04:48:55 | 中東
台湾政府系の対外放送・中央廣播電台(ラジオ・タイワン・インターナショナル、RTI)のビン南語(台湾語)番組「來聽天下事」で中東情勢について話してきた。24日収録で、31日にオンエアされる。
http://www.rti.org.tw/Program/ProgramContent.aspx?ProgId=139&NetId=3&UnitId=0&LangId=2
ちなみに、この番組の主持人(パーソナリティ)の黄亦如さんは、かつて独立派市民運動系のTNT宝島新声にいた。今はTNTも普通の商業系台湾語音楽放送になっているが。

そういえば、RTIは昨年、資金不足のため韓国語とアラビア語放送を廃止したが、これは今から思うと残念だ。どうせ出力が250KWくらいしかなくて(電波が届かない)、しかも短波を聴く人間なんていない欧州向け放送なんてやめて、韓国語とアラビア語を残しておけばよかったのにね。こういうところが台湾政府もちゃんと考えていないところ。

26日には客家テレビでも李喬氏の番組で中東情勢について話してくる(収録)予定。

台風がまた近づいている。いくら台風銀座の台湾とはいえ、10日置きで来るのは珍しいらしい。

危惧されるレバノン・イスラエル戦争の拡大

2006-07-15 16:51:56 | 中東
悲しい事態が発生した。
パレスチナのスンナ派急進ゲリラ組織ハマースと、レバノンのシーア派抵抗組織ヒズボッラー(神の党)が、それぞれイスラエル兵士を拉致してすべてのパレスチナ人捕虜などの釈放を求めたことに端を発して、イスラエルがそれらへの報復としてガザ地域やレバノンに対する空爆を行った。ハマースとヒズボッラーが徹底抗戦を呼びかけたことから、さらにイスラエルによる攻撃はエスカレートし、ほぼ全面戦争の状態に突入している。
私自身1ヶ月前にレバノン訪問から帰ってきたばかりである。空港や主要幹線やシーア派居住地域など至るところがイスラエルによる攻撃を受け、一般市民の犠牲者がどんどん増えている。ヒズボッラーの反撃でもイスラエル市民にも死傷者が出ている。
小泉首相がたまたま中東歴訪の途上でヨルダンにおいて日本も含めた4者協議で停戦を促すことを提案しているという。日本はイスラエル、アラブ双方から信頼されているし、妙な利害関係もない。ほかにもレバノンとイスラエル双方に強いパイプを持つフランスなどとも協議して、一日も早く戦争状態を停止させるべきである。

私が5月23日から6月7日に訪問したばかりだ。かつて内戦で破壊された中心部で復興が進み、しゃれた店が並び、かつての「中東のパリ」さながらの繁栄が復活するかに見えた。また、昨年には民主化運動で懸案だったシリアの駐留軍を追い出し、ようやくレバノンなりの民主主義によって、さまざまな宗派と党派と階層が話しあいをしながら、「自分たちのレバノン」づくりを始めていた矢先だった。

それがぶち壊されてしまった。特に、私は今回の件で、ヒズボッラーには失望させられた。
ヒズボッラーは80年代の起源をさかのぼればテロリスト組織であったが、最近のレバノンを知っていればわかるとおり、ヒズボッラーはイランやシリアとの暗い関係があるとはいえ、南レバノンを占領していたイスラエルを追い出し、さらに国内で貧困層を救援する福祉事業を展開したり、国内政争でも冷静に対応するなどしたりして、レバノン国内では宗派を超えて高い評価を受けていたからである。私もヒズボッラーの支援者も何人か知っているが、その慈善精神、弱者の立場に立つ姿勢に、きわめて好感を抱いてきた。
復興の過程で貧富格差も広がっているので、その点ではヒズボッラーなどの福祉事業はレバノンを良いものとするうえで貢献があったと思う。
ヒズボッラーが現在行うべきことは、戦争や挑発ではなくて、レバノンの復興と民主主義を確実なものとするべく、国内の異なる党派と団結協力することであろう。ナチスによるホロコーストを受けた哀れなユダヤ人の正当性は、イスラエルというシオニスト国家の侵略性と無法によってもはや完全に消滅している。レバノンが豊かで強くなってこそ、イスラエルのおかしさを浮き彫りにして、パレスチナ国家の建設を促進する近道となるはずだからだ。現時点で実力もないのに挑発するのは筋違いもいいところである。
まだまだレバノンの復興と民主主義が脆弱な今この段階で、あわててイスラエルを挑発しても、イスラエルを有利にして、レバノンが荒廃させられるだけである。

ところが、今回のヒズボッラーの行動は、そうしたまともな計算もできずに、彼らが拠って立つ基盤であるはずの貧困層を苦しめるものであり、まったく理解できない。
イスラエル兵士を拉致すれば、狂ったシオニストは絶対に過剰反応でレバノンを爆撃してくるに決まっている。それに対して、アラブが本当に団結してイスラエルを追い詰めることができる確証があるなら、イスラエルを挑発する意味はあっただろう。
ところが、今回ヒズボッラー関係者は「イスラエルがこれほど過剰反応することは予想していなかった」などと驚いているようである。
ということは、甘い見通しのもとに、イスラエルを挑発して、市民を巻き添えにしたことになる。しかも、ここでイスラエル側と駆け引きをするならまだしも、戦争を受けてたつとさらに戦争を煽ろうとしているのは、どうしょうもない。それに、ハイファなどイスラエル北部都市に向けてロケット弾で反撃しているようだが、これは「シオニストを殲滅する。ユダヤ教徒全体が悪いのではない」というヒズボッラーの従来の主張と反する暴挙である。イスラエルといっても、すべてが狂ったシオニストではない。狂ったシオニストが政権を握っているのは事実だし、それに追従する民衆も多いとはいえ、平和主義者もいれば、シオニズム国家を認めない超正統派もいる。そうした無辜のユダヤ人をも犠牲にして、さらに自らのシーア派の貧困層を苦しめる戦争を煽り立てるのは、明らかに間違っている。

ヒズボッラー自身、国内で「民兵組織武装解除と国軍への編入」の声が強まっているから、それに抵抗して、ヒズボッラー民兵組織の必要性を見せ付けるために行ったのかもしれない。それにイランなどから潤沢な資金と武器を供与されているから、自分自身は慈善事業も含めて困らないと思っているのだろう。しかし、それこそが自己中心的であり、傲慢である。いかにヒズボッラーが慈善事業を提供する能力があるからといって、やはりレバノンを戦火に巻きこみ、それを助長する真似は、貧困層を苦しめるだけである。
現に、今回のヒズボッラーの挑発行為に対して、レバノンの反シリア勢力はいっせいにヒズボッラーを批判しているし、アラブ穏健派諸国も名指しを避けながら批判している。
それに、いかにヒズボッラーの資金が潤沢であっても、米国がバックにいて資金援助を続けているイスラエルに現段階でかなうかというとかなわない。このまま持久戦で、レバノンが疲弊すれば、ヒズボッラー自身も疲弊する。ひょっとしたら、南レバノンは再びイスラエルに占領されかねない。

あるいは、ヒズボッラーには独自に決定する権限はもともとないから、おそらくシリアかイランあるいは双方の指示があったのだろう。すでにレバノンでは対イスラエル意識ではかつてのようにキリスト教徒がイスラエル寄りではなく、キリスト教徒も含めてほぼアンチイスラエルがコンセンサスになっているから、ハマースの攻勢と含めて、これを機にイスラエルを挑発して、イスラエルの報復を誘うことで、「イスラエルよりは、シリアやイランのほうがマシ」という世論を作って、シリアが影響力を回復することを狙ったのかもしれない。
イランもハータミー前大統領の時だったら、こんな馬鹿な挑発は指示しなかっただろうが、いまはネジャード大統領(アラブの新聞では普通こう書く)だから、単なる希望的観測と思い込みで作戦を立てたのかもしれない。
しかし、客観的に見れば現在のアラブ・イランにイスラエルを殲滅する力はない。今の時点で挑発すれば、シリアやイランの痛手のほうが大きいことは明らかだ。

いずれにしても、イスラエルもヒズボッラーもシリアもイランも、イスラエルを一方的に擁護する米国も、いずれもレバノン市民がいくら犠牲になっても構わず、自分たちの利益と勢力拡張だけを考えているようだ。
ヨルダン国王は小泉首相に対して、これが第三次大戦の導火線になることを憂慮していると報じられている(読売新聞15日付け社説 [レバノン情勢]「歯止めがかからない中東危機」 参照)。イランかイスラエルがさらに狂って核兵器を使う可能性が憂慮されるからだ。そうなると、歯止めがかからない。

この戦争が始まってから、台湾で普通に見られるメディアとしては、ネットのほか、テレビではCNNが一番詳しいのでつけっぱなしにしているが、米国メディアだからイスラエルに寄っている。まあCNNは務めて公正にしようとしてはいて、その努力は買うが。
それにしても、昨日のCNN報道で、イスラエル政府のスポークスマンだかが「中東から偏った過激な思想を持つものを追放して、健全な民主主義が実現されるべきだ」などと主張したが、自らのシオニズムの偏向ぶりを棚に上げてよく言うよと思った。とにかく、イスラエルのやっていることはひどい。ナチスと同じ。だが、ヒズボッラーとハマースとシリアとイランもおかしい。

「哀れむべきかな、信念に溢れているが、宗教が存在しないクニ」
ハリール・ジブラーン 預言者の庭 1934年 より

レバノンの英字紙デイリー・スター(反シリア)からヒズボッラー批判の関連見出し:
The Daily Star - Politics - Politicians, religious leaders rally behind call for comprehensive cease-fire
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=73959

The Daily Star - Politics - Normal life screeches to abrupt halt
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=73952

The Daily Star - Opinion Articles - Nasrallah has dismissed international law
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&categ_id=5&article_id=73940

The Daily Star - Politics - Nasrallah: Only exchange will win back troops
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=73929

アルジャジーラ英語 レバノン・イスラエル関係クロノロジー
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/013B1ECF-6E04-401E-A62F-2E70D849E39B.htm
Aljazeera.Net - Timeline: Israel and Lebano

今回のレバノン行きではドルーズ派によく出くわした

2006-06-24 17:00:14 | 中東
前回のレバノン行きでは「そういえばドルーズ派の人って、あまり出会わなかったな」と思った。前回であったドルーズ派はザハレのレストランの給仕だけだった。ところが、今回はやたらとドルーズ派とよく出くわした。実は前回は「ムスリム」といっていただけだったからてっきりスンナ派だと思い込んでいた定宿にしているホテル経営者一家も、ドルーズ派だったことがわかった。しかも、その兄弟の一人の恋人という女性は、ワリード・ジュンブラートの従姉妹だという。
シューフ地域にあるベイトエッディーンに行く途中でも、同地域はドルーズ派が多いから当たり前にしても、バスの隣にいた学生はドルーズだった。さらに、買い込んだ本と雑誌がたくさんになったので、FEDEXで送ろうとしたとき、その事務所にいた女性もドルーズだと言っていた。ジェイタ洞窟に行ったときもベンチで腰掛けていたら話しかけてきた家族もドルーズだった(しかも、米国もよく行っていて、米国など西側が大好きで、シリアとか中国は大嫌いだと言っていた)。
ドルーズ派はイスラーム教の一派とされているが、独自かつ秘儀とされる教義と経典を持った独特の集団。レバノンでは5%を占めるに過ぎないが、レバノンという国の建国にはマロン派とともに中核になり、レバノン意識は強い。同時に欧州との関係も深く文化社会的には開放的な面を持っている。

シーア派って、人によって大きく違うみたい

2006-06-24 16:59:42 | 中東
レバノンのムスリムはシーア派が多いし、今回の旅行ではカタールやレバノンでイラン人もたくさん見かけた。つまり、シーア派との接触が多かった。
シーア派というと、日本では米国メディアの宣伝に洗脳されてか、戒律が厳しく頭が固いというイメージがあるが、実際にはそうでもない。実はきわめて保守的で教義戒律に忠実な人もいれば、それと対極にきわめて開放的で奔放な人もいたりと、実は両極端に分かれているようだ。
これはシーア派そのものが、いろんな宗派に分かれた総称であって、さらに自由意志を強調している宗派が多いということがあるのかも知れない。
前回ヒズボラのショップで会った女性は、ヒジャーブもつけていて、握手を求めると胸に手を当ててちょっとお辞儀して握手を断ったくらい、男女の別に厳格で保守的だった。ただ、礼儀はきわめて正しかった。しかし、今回会ったアマルは、歌手として顔をさらしているわけだし、けっこう露出度が強くてフランス風のスタイルをしている。
レバノンで、イランで作られたというパンク音楽のビデオを見たが、それは宗教指導者の演説会場で、指導者が紙をばらまいたりして、演説会場がわやわやになってしまうというシーンで、なんだかシュールだった。
帰りのドーハ空港で、待ち時間が5時間くらいあったので、床に座っていたら、隣の男4人の集団が酒を勧めてきた。疲れているので飲まないといったら、いきなり「あんた、飲まないってことはムスリムなの?」と聞いてきた。こっちが「そういうあんたらどこよ」と聞いたら、なんとイラン人だった。「いやあ、俺らもムスリムなんだけど、それは神が決めることだし、別に酒は禁止されていないからな。ははは」みたいなテキトーなことを言っていた。
イランは戒律が厳しいとされているけど、本で読んだら一時婚という制度もあるわ、「のぶろぐ」でも紹介(http://blog.livedoor.jp/nobuta04/archives/50683852.html)されているように、ある女優がヒジャーブをつけているのに、胸のあたりのラインがすけすけになっているような服を着ているはで、実はかなり柔軟なんだと思った。
まあ、イランは歴史的に文明文化大国だったからね。外界の文明の時間が浅い日本人や米国人には、よくわからない奥の深さや懐の深さみたいなのがあるのか知れないし、シーア派も一筋縄に「戒律が厳しい、保守的な宗派」といえないということだ。

逆バクシーシ攻勢

2006-06-24 16:58:31 | 中東
シリアでの話。シリア人は親切だが、イスラームのザカート(喜捨)の思想から、金を持っている人間から施しを受けるのが当然だという発想があって、バクシーシを要求してくる人が多いのはちょっと困った。
まあ、物価も安いし、求める金額はせいぜい日本円に直して100円程度なんだが、人数が多いと閉口する。子供も多い。ただし、エジプトなどに比べると(てエジプトはまだ行ったことないが、ものの本によると)シリアはあまりしつこくないから、対策は簡単だ。
あるとき子供が要求してきた。無視しているとおなかを指でつついてくる。それでも無視しつづけるとすぐに諦めて去って行った。
また別のときは、無視する状況でなかったため、逆にこちらが「バクシーシ、バクシーシ」と手を突き出して、「逆バクシーシ攻勢」をかけてみた。
すると、シリアの子供の場合、変な東洋人の大人の予期せぬ反応にびっくりした顔して、逃げていった。けっこう純真なんだな。これも中国あたりとは大違いだ。
この逆バクシーシは、実は「エジプトがすきだから」という本に載っている話。応用したところ効果てきめんだったので、数回使わせてもらった。

印象が良かったシリア

2006-06-24 16:57:59 | 中東
今回中東旅行で回ったシリアは、レバノンから陸路入国して、ビザも国境で金を払って取得した。
レバノンからシリア側にセルビスで入ったときには、道路にアサド父子の写真が並べてあって、「うっわー、さすが独裁国家」と思って緊張した。さらにダマスカスの街に入ったときには、ベイルートと比べたら、雰囲気が暗めで、その印象を強くしたものだ。

ところが、ちょっとダマスカスの街を歩き回ったり、さらにパルミュラ(タドモル)、ホムスも回り、それぞれ一泊した感想を言えば、シリアは人々の親切さに支えられて、社会としては決して悪くない気がした。「社会主義」の建前も機能しているためか、貧富の格差も湾岸やレバノンほどは目立たなかった。社会や経済の平均レベルは、フィリピンより若干上といった程度で、決して豊かな国ではないが、いってみればみんなが平均的に豊かではないといった感じだ。
「国家」としてみても、確かに監視の目は行き届いているという雰囲気はあったし、警官も10メートルおきにいるという警察国家の典型であったが、警官自体はそれほど威圧的なわけでもなく、私がダマスカス中心部の内務省の裏口前通りをぶらついていると、そこを警備していた警官が呼び止めて、職質?と思ったら、「シャーイ、飲む?」といってシャーイを勧めてきた。それから10メートル西側歩いたところ、別の警官が呼び止めて、「あなた、日本人?」といって、私が持っていた「地球の歩き方」を好奇心いっぱいに手にとって眺めていた。そうやって調査しているのかとも思ったが、どうも、そうでもなさそうだ。一方でも、「おいおい、ちゃんと警備しなくていいのか?」とも思った。要するに人懐っこいわけだ。

それに監視社会というが、私は別に当局に申請しなくても、自由にバスで動きまわれたし、街の家々には衛星アンテナが林立しており、海外のテレビもかなり自由にアクセスできるようである。自由で奔放なレバノンの新聞も販売されている。さすがに反シリアの急先鋒のアンナハールとアルムスタクバルは輸入禁止になっているようだが、それよりは穏健だがやはりシリアに批判的なアルリワーなどは公然と売られていた。
また、シリアに存在する反体制派は、存在そのものは許されているようで、政府批判をしたら、逮捕されるのはされるようだが、すぐに抹殺されたり、銃殺されたりする中国や北朝鮮ほどのひどい状況ではないようだ。シリア嫌いのレバノン人に聞いても、「さすがにシリアでは、政府批判したら、すぐに消されるようなことまではない」と言っていたくらいだ。
つまりシリアの「独裁」とは、「国民はそれなりに自由に情報にアクセスして知識を持つことはある程度は許容するが、ただしそれを使って自由に政府批判することは許さない」という「基準」があることがわかる。これは中国などとは質的な違いがある。誉められたものではないが、それなりの「けじめ」があるということである。
まあただ、シリアそのもののメディアはレバノンと比べたら、異常につまらない。アッサウラ、アルバアスなどの新聞はすべて政府やバアス党機関紙だし、印刷も悪く内容も精彩がない。ホテルで見られる有線テレビチャンネルも、100くらいあるレバノンと比べて30くらいしか選択肢がない。

親切といえば、シリアは数年前まで鎖国に近い状態だったこともあって、外国語があまり通じない。これは外国人にはアラビア語よりも英語やフランス語で話しかけたがる「英語話したがりい」が多いレバノンとは大きな違いだ。要するにシリア人はアラビア語しかできない。ただ、アラビア語教育をみっちり仕込まれているために、逆に、レバノン人とは違って、フスハーもこなせるし、アラビア語の運用能力はきわめて高い。
最初はアーンミーヤのシリア方言で話しかけてきて、相手が通じないと、ゆっくりとしたフスハーで言い直してくれる。それでも、こちらは単語は300語程度しか知らないアラビア語入門者なので、言い直した単語が私の射程内にヒットしないことが多い。すると、彼らは同義語を次々と繰り出して、「これならわかる?これなら?」という感じでパラフレーズしてくれて、何とか相手にわからせようと努めてくれる。たいてい5回以内でこちらの知っている表現がでてくるので、それで意思疎通がめでたく成立となる。
これは、アラビア語を学習しようという目的がある外国人にとっては、絶好の環境というべきだろう。なるほど、最近、日本人のアラビア語語学留学先が、かつてのエジプトから、シリアにシフトしつつあるわけである。そういえば、レバノンに語学留学している、という話はあまり聞かない。レバノンはアラビア語学習と練習という意味では、あまり環境はよくないからだろう。物価も高めで、人々は外国語を喜んで話そうとするから。まあ、親切は親切なんだけどね。とはいえ、シリアはメディア環境がつまらなく、レバノンはいろんな情報が溢れていることを考えれば、中級レベル以上になればレバノンのほうがインセンティブは高いといえる。新聞雑誌やテレビをかじりつくだけで上達できそうではある。ただ初級レベルなら新聞も読めないわけだからシリアのほうがいいだろう。

ちなみに、シリア人などの親切さは、田舎の親切さではない。そもそも都市と都市文明の発祥の地は中東にある。ダマスカスやシリアの主要都市は、都市の歴史が2000年以上に上るような世界文明史クラスの都市が多い。歴史的にさまざまな人種や民族が往来してきた文明の交差点である。そういう意味で、彼らの親切というのは、異なる文化や言語を持ったものと接し方に熟達した結果なのだ。そういう意味では、シリア人はアラビア語しかできなくても、真の国際人、国際センスを持っているといえるのである。

また、これはアラブ人あるいはムスリム全体にほぼ共通していることだが、非常に礼儀正しい。他人に対する基本的な尊重というものがある。そして優しさがある。これも、長らく異なる文化の交差で揉まれた結果だろう。
同じく大文明で揉まれてきたはずの中国と比べると、違いの大きさに驚く。中国の場合は、ぎすぎすしていて、人間の相互不信と、他人を蹴落としてでも自分が前に出るという気分が充満している。きわめて感じが悪いのだ。
ところが、シリアや多くのアラブ諸国では、そういう気分があまりない。砂漠性気候を多く抱え、牧畜が主体だった地域で、本来は生存競争が激しく、文明の交差点として戦乱も多かったところだから、下手すれば中国と同じような人間不信と過当競争社会になっていたはずだが、それがまったく違っている。
これを支えたのが、実はイスラームやキリスト教といった信仰体系だったのではないだろうか。戒律が厳しく一神教の信仰体系では、人を超えた存在である絶対的な唯一神に対する畏怖がある。唯一神が命ずる人間として最低限持つべき倫理体系が、一種の歯止めや自己規制として働くことで、中東は現在の中国ほどに劣悪な状態に転落する危険性を回避できたのかもしれない。
だから、とく欧米のメディアに洗脳された人が中東について「中東が戦乱が多いのは、イスラームのせいだ」という感想を持つのは、実は錯覚だといえる。そもそも中東はイスラームばかりでなく、キリスト教徒も多いのだから、「戦乱が多い」のはキリスト教徒のせいにもなるはずだからだ。
それはまったく違う。私が中東の地で彼らと接して思うのは、むしろあの過酷な条件にあってもあの程度の戦乱で済んでいて、社会秩序が保たれていて、治安もいいのは、イスラームやキリスト教という一神教の倫理価値体系の規制が働いているからだと思う。
特に今の中国を観察していると、人間として最低限のモラルとか倫理価値体系というのは、必要なことだと思う。中国の場合は、共産主義イデオロギーがきつく鎖国だったときのほうが、共産主義の建前もあって、最低限のモラルが機能していたと思う。それが下手に改革開放して、中国人の無限の欲望への規制を「解放」してしまったから、人間としての最低限のモラルも失われ、弱肉強食、欲望充満の利己主義社会になってしまったのだろう。

またシリアは物価が安い。台湾と同じくらいの物価水準のレバノン(それでも日本と比べたら半分くらいだが)と比べたら、さらにその2分の1か3分の1くらいだ。アジアではフィリピンと同じくらいか?
ダマスカス中心部のアッサウラ(革命)通りとアッシューハダ通りの交差するあたりに、アラブポップス、アニメ、映画などのCDやビデオCDを売っている屋台や店がいくつか並んでいた。同じものがレバノンでは2000レバノンポンド(140円)に対して、シリアでは25シリアポンド(50円)。思わず30枚くらい買い込んでしまった。それでも日本円で1500円くらいにしかならない。実はまだ見ていないし、不良品もけっこうあるだろうが、これはお徳だ。中東だと正規版だって、不良品が多いのだから(昨年レバノンで買ったカロール・サマーハのCD2枚は正規版なのに2枚とも音とびがして使いものにならなかった)。

シリアに行く前と行った後で、シリアへのイメージがまったく変わり、良い印象を持つようになったのは私だけではない。ボーダーではビザが取りやすい日本人の多くもシリアに好印象をもつ人がほとんどだし、シリアが中国や北朝鮮と友好関係にあるため同国に入国しにくいはずの韓国人や台湾人も、幸運にもボーダーでビザが取れてシリアに入ると、「シリアは良い」という印象を持った人に何人も出くわした。
シリアはいい国だ。これに外野から文句を言う米国がわからない。911以降の米国はやっぱりおかしい。

カタールはそんなに悪くなかった+中東と民主主義

2006-06-24 16:57:13 | 中東
5月21日から6月8日にかけて出国、カタール航空、香港、ドーハ経由で、レバノン(12泊)、シリア(3泊)、カタール(1泊)を回った。
事前に、湾岸はいかんと書いたし、カタール航空のチケットの発行でトラブルがあったものの、実際にカタール航空のフライトに乗ったり、ドーハを歩いたところ、カタールはそんなに悪くないと感じた。
昨年寄ったドバイはやたらと砂上の楼閣、虚栄の市みたいな虚妄を感じて、さらに砂漠性のわりに湿度も高く不快感を募ったが、ドーハはこじんまりとした街で、それほどケバさもなく、地元民ものんびりしていてフレンドリーで、気候もドバイほどは湿度も高くなかったため、それほど不快感は感じなかった。
まあ、トロイのはトロイとは思ったし、それがチケット発給でのとろさだったこともわかって逆に納得できたくらいだった。

人の紹介も受けて、アルジャジーラ本部も訪れた。国際広報とキャスターのうち二人と会った。アルジャジーラはこれまで時々ニュースサイトをチェックしていると、台湾に同情的で中国に批判的な感じがしていて好感が持てたが、実際に人と接触すると、中国の軍拡と宗教弾圧に批判を持っていて、それに威嚇されている小国台湾に同情的なスタンスがあることがわかった。米国と中国という横暴な大国をどちらも批判するというのは、なかなかよろしい。しかもこちらが意地悪い質問、カタール政府に物を言わないのではないかという疑問をぶつけたところ、実はカタールに都合の悪い報道もしているということだった。しかも、その話題を持ち出しても、そんなに緊張したところがなかった。全体の雰囲気も非常に明るくて、自由な感じだった。カタールのような小国でも、こうやって世界を震撼させるメディアを持っているというのはすごいことだと思った。これは、小国の戦略として模範的な成功例だといえるだろう。

もちろん、暑いといえばひどく暑い。私は熱風を呼ぶ男なのか、ドーハも私が行く前日までは日中も30度台だったようだが、私が着いた日は45度と体温をはるかに超える猛暑。しかも日差しも殺人的な強さ。だから、私は一度外を出歩いて、あまりの日差しと暑さに、Yシャツと帽子とタオルを部屋に取りに戻り、Yシャツと帽子をつけて、さらに顔をタオルで覆って、暑さを防いだ(写真参照)。一昔前の過激派の格好みたいで非常に怪しいのだが、そうする以外に方法はなかった。体温よりさらに高い気温というのは、体を覆うほうがはるかに涼しいし、自己防衛にもなることを肌で感じさせられた。
半島・湾岸諸国で、アバーヤみたいな体を覆ったり、女性にいたっては顔でベールで覆うあの服装は、暑いといってもせいぜいが35度くらいの温帯・亜熱帯モンスーン地域の常識では「暑苦しい」と感じさせるものだが、実は、ああいった服装こそが、砂漠性気候で夏場の気温が軽く40度を超えるところでは、皮膚を守り、暑さをしのぐための合理的な服装だということが思い知らされた。

気候風土が異なれば、当然、思考や文化パターンも異なる。米国が一律に温帯気候で発達した思想と基準が世界に通用するものと思って、イラクに戦争まで仕掛けて押し付けようとしても無意味だということだ。
民主主義や自由や人権は良いものだ、独裁は悪い。それはそのとおりである。
しかし問題は、どうして中東や中央アジアに独裁国家が集中するのか、どうしてなかなか西欧型の民主主義に向かわないのか、ということである。それは中東などが遅れているからではない。西欧型民主主義が機能しないかもしれない別の理由があるからではないのか。
それに人は、独裁が悪いというとき、意外にマレーシアを忘れていることが多い。マレーシアは、政府批判の自由は認められていないし、マハティールとそれに続くアブドラといった歴史首相の独裁政治だし、華人への差別政策も存在する。しかし、普段、「民主主義が普遍的な価値だ」と強調する人でも、それなりに一定の法治と合議的な政治システムと安定してそこそこ豊かな社会が存在するマレーシアを特別に悪く思っていないだろう。日本だけでなく世界でマレーシアに対する評価を尋ねたら、おそらく上位のほうに来るはずである。
だとしたら、西欧型の自由民主主義が万能ではないということだ。
もちろん、だからといって、中国や北朝鮮のような独裁国家は許容されるべきだというのではない。いずれも軍備を増強し、他国を軍事的に威嚇している以上は、その覇権主義、侵略主義的な性質について、問題にされなければならない。
しかし、対外的、少なくとも日本に対して脅威を与えていないマレーシア、トルクメニスタン、シリア、イラン、リビアなどの「独裁国家」が、内政で「独裁」を行っていることに対しては、もちろん反体制派に対する過度の人権蹂躙の事実があればそれを問題にしていく必要はあるが、言論制限も一定の規範に従って合理的に行われていて、さらに社会的に安定しているならば、それは言ってみればその国の勝手であって、外国がとやかく言う筋合いではない。
つまり問題は軍事的脅威や侵略の意図がその国にあるかどうかであって、独裁か民主主義かではないのだ。そうでなければ、米国はイランだけを問題にするのではなくて、米国の盟友のサウジアラビアも、東南アジアのマレーシアも、一様に問題にしなければならないことになる。ところが、そんなことはどんな「人権派」だってやっていない。私は少なくとも、マレーシアの言論統制を執拗に追及する「民主主義者」を見たことがない。

もちろん、だからといって独裁者や独裁政権が開き直ったり、誉められていいことにはならない。だが、少なくとも、政治体制や社会のあり方は、その地域の風土、気候、歴史的背景、国際関係などの複数の変数によって複雑に規定・影響されているのであって、それを別の歴史や文化体系を背景にしている人が自分の文化や価値観を絶対視して、一方的に異なる他者を糾弾する資格はないということである。

そういう意味では、私は今回、カタールとシリアを初めて訪れてみて、一概にそれらの国を「言論弾圧、不自由、非民主国家」として糾弾することは避けたいと思った。気候風土も思考パターンも日本や西欧とはまったく違っているところである。日本や西欧では当たり前にできることが、45度もの気温の下ではできるわけではない。できるというなら、1週間くらい毎日、45度の炎天下を欧米や日本を歩く感覚で歩いてみたらいい。
そういう点では、差異の権利、異なる文化を尊重する態度というのが必要なのである。

グーグルニュース、アラビア語版も開始

2006-06-22 04:18:54 | 中東
最近気づいたのですが、Googleニュースで、アラビア語版も始まったようですね。
http://news.google.com/news?ned=ar_me
ざっと見た感じでは、ソースはアルアラビーヤ、ロイター、BBC、それからヨルダンの新聞が多いみたいですね。意外にレバノンの新聞が上位に出てこないのは、リベラルで奔放の紙面が、多くのアラブ諸国で忌避されているから、あまり目立たないように設定されているからだろうか?

それから、Googleのアラビア語の検索サーバーは、なぜかチャド、リビア、サウジ、UAEに置いてあるみたいけど、これは、言論統制が最も厳しいところばかり。逆にそうしておけば、無難なんだろうね。これが、レバノンに置いたりすると、各国とも対策に困るかも知れないから。

ちなみに、Google各言語版の一覧は:
http://directory.google.com/Top/World/


これはオモロイ!『エジプトがすきだから』

2006-02-26 16:47:58 | 中東
中東紀行関連でついでにk.m.p.『エジプトがすきだから』(角川文庫、2003年)を読んだ。これがオモロイ!最近読んだ本で、これほど「うんうん、そうだよなあ」と声に出して、笑いこけながら読んでものはない。もとは1996年にJTBから出た単行本だが、安い文庫のほうを買った。ただ字を縮小しているから読みにくいが。
著者は女性漫画家?「なかがわ みどり」と「ムラマツ エリコ」の二人組だ。
エジプトで安宿に泊まり、庶民にもみくちゃにされて、よく怒鳴ったり切れたりしながら、それでもエジプトの面白さと魅力を漫画付きで描いている。
ところで、「そうだよなあ」と書いたが、私自身はまだエジプトに行ったことはない。だが、ここに描かれているエジプトの、日本人から見ての不条理さ、のんびり、むかつく部分は、台湾にも(今はずいぶん少なくなったといえ)、レバノンにも、その他いわゆる「先進国ではないが、飢餓でもない」世界の多くの地域に共通しているものだといえるからである。

たとえば24ページに「人をひきそういになって大爆笑する家族」が漫画とともに描かれている。25ページには「全然知り合いでもなんでもないのに乗ったとたんポケットの豆をあげる。そのあとは、おりるまでずーっと旧知の友のようにおしゃべり」するタクシードライバーと客。26ページ、街を歩く人の服の観察では、「カラフルな人、まっ黒な人、顔隠してる人、キマってる人、やぶけてる人、寝間着みたいな人」。
アザーンではある日、「でも今日のアザーンは、何だか変だ。おじさん、のどの調子が悪いのか、途中で咳き込んではゼーゼーしてる。タンを吐く音がスピーカーを通して町中に響く」(33ページ)。
アレキサンドリアの水族館(52ページ)では4コマ漫画で最初は「水がのごってみえない」、2コマ目「あ、死んでる」。3コマ目に「死んでる。苦しんでる。くさってる」。4コマ目の解説で「どう見ても何もいない水槽。苦しそうにあえぐ魚たち。水流でぐるぐる回りつづける死がい。こんな悲しい気持ちになる水族館ははじめて。魚が苦しんで死んでいく様子を観察するには、オススメの水族館です」。
同じページに道端で野糞する女性が、「あっ、ヤバーニー、ハロー、ハロー」と挨拶してくる場面。
60-61ページで「しつこいこども」に、「子供がまとわりついて、まともに歩けない・・・・ムシすると石投げたり、ずーっとやってる。胸ぐらつかんでブンブンふり回したら逃げていったが、子供にこんなことをしたのは、はじめてだ」とあって、悪がきに切れるのは25ページや112-113ページにも出てくる。確かにあれじゃむかつくだろうな。
63ページでは「両替するだけなのに40分」として、窓口の職員が冗談をいって同僚を笑って仕事を進めない場面。
114ぺージで、いろんなペテン師の話で「登場の基本」として、「日本語で話しかけてくるやつは99%あやしい」として「あやしいもんじゃないよ」とのせりふに「あやしいもんがよく使うセリフ」と突っ込みを入れている。
140ページ。エジプトで「おしん」が人気があったころ、日本人と見ると、みんなで取り囲んで指をさして「おしーん」。「ある日数えてみたら、1日107回」。
ほかにも、「うん、うん、これはあるね」みたいな爆笑話が盛りだくさん。
まあ、日本が特殊というかあまりにも近代化しすぎて、こうした「怒ったり笑ったりが激しくて、今何考えてるのかすぐわかっちゃう、人間臭い人たち」(25ページ)を失っただけなのだろう。それを著者たちも伝えようとしている。

そういう点で、これは「エジプト」だけを描いたものではない。近代化が進む以前の都市文化、人間関係を普遍的に描いたものだといえる。だからこそ面白いのだ。

香港人ジャーナリストによる中東ルポ 張翠容『中東現場』

2006-02-26 16:47:17 | 中東
レバノン紀行本を書こうと思って、11月以降はレバノンを中心とした中東の歴史・政治・文化の本を読みまくっている。主に日本語の本だが、英語やフランス語のも読む。台湾では中東関係でめぼしい本が出ていないが、最近、張翠容『中東現場』(馬可孛羅)というのが出た。これは割と読むに値する。マルコポーロというのは香港リーカーシングループの城邦出版集団傘下の出版社、奥付には出版は2006年1月16日とあるから、いわば出たばかりだ。
著者は香港人で、英国で高校・大学教育を受け、香港で修士を取り、カナダに移民して、ニューヨークにも住んだ、いかにも香港のインテリ層らしい経歴。
中文は香港人にしては達意で、かなり読みやすい、いい文体だ。
エジプトからはじまって、イスラエル・パレスチナ、レバノン、シリア、イラク、それからアラブ人の文学と政治、米国と中東の関係と描いて、最後に「中東の平和運動」で終わっている。
パレスチナでは存命だったころの晩年期のアラファト議長のほか、ハマスのスポークスマン、ザハル氏、レバノンではヒズボラのベイルート事務所広報部長ハイダル・ドクマ氏など、欧米から「テロリスト」と敵視されている人たちにも会っている。文学の部分ではマハムード・ダーウィシュやアドニスら、米国ではシオニストネオコン系研究者ダニエル・パイプスとそれと反対のサイード講座主任教授ハリーディーらにも会っている。
どれもインタビューでは情報を引き出すというより、人柄に焦点を置き、背景説明も付け加えることで、中東の政治に関係する人々の人となりを描いている。つまり、「新たな情報」はないものの、それはそれで面白い。
またインタビューの姿勢も、英国仕込みなのか、わざと挑発的な質問をして食い下がっている。そのせいで、ハマスのザハル氏は怒らせているが、ヒズボラはそれでも冷静に説明し続けたとしてヒズボラにはかなり好意的な評価を加えている。
こういうインタビューは日本人の記者はあまりやらないが、こうしたほうが確かに相手の人間性が浮き彫りになって面白い。
著者の立場は、基本的にはイラク戦争などの米国の中東戦略には批判的で、中東には親近感を持ちつつ、平和運動に期待するものである。ただ、それに入れ込むこともなく、冷静に突き放して記述している。それは日本で出ているパレスチナ関係についての本で、パレスチナへの思い入れで前につんのめったものが多すぎるのとは対照的ではある。
それは、彼女自身がアラビア語の転写や記述はけっこういい加減であることに見られるように、アラブ文化への入り込み方と理解があまり深くはないためもあるかも知れないが、ジャーナリストというか物書きとしてはこれくらいが適当だろう。
ところで、目を引いたのが、350ページでイラクの「人間の盾」運動にアジアでは日本人の姿が目立つことを「彼らは勇敢にもアンマンからバグダッドにやって来た。それは武士道の何者をも恐れない精神を見せたものとして、人々に強い印象を与えた」と記述しているところ。平和運動における武士道、実は矛盾しているが、的確な指摘かもしれない。「日本人の武士道」をこういう形で肯定的に描くのも香港人(というか南方中国から東南アジアに共通)ならではのことだろう。そういえば、著者は中東では行く先々で「日本人か」と聞かれているが、あまり否定していない。かとって中国人であることも肯定している。

ハリーリー暗殺1周年記念集会メディア記事リンク

2006-02-15 23:22:02 | 中東
2月14日ベイルートであったハリーリー暗殺1周年記念集会を伝えるレバノンを中心とする各メディアの記事リンク。

Daily Star

Demonstrators go distance to pay tribute
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=22218

Demonstrators throng Beirut, calling for Lahoud's resignation
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22220

A year on: U.S. focused on Syria, Hizbullah and bringing Hariri's killers to justice
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22222

Nazek Hariri delivers emotional speech pledging to fulfil her husband's dream
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22216

Religious leaders unite in praise of slain former premier
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22219

Security in full force in Martyrs' Square
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22217

Aridi: Majority in Martyrs' Square 'is not imaginary'
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22213

Hizbullah, FPM organize separate commemorations
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22212

Speakers unite in calling for Lahoud to go
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22211

The leaders of Lebanon's March 14 Forces have a second chance to deliver
Wednesday, February 15, 2006
Editorial
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&article_id=22208&categ_id=17

Carrying the torch of Hariri's legacy into the future
Tuesday, February 14, 2006
Editorial
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&categ_id=17&article_id=22173



L'Orient le Jour

Lahoud et Bachar voues aux gemonies
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=306019

En harmonie avec un peuple prodige, la majorite livre enfin un retentissant programme macropolitique
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305987

Des centaines de milliers de personnes place des Martyrs pour reediter le 14 Mars
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305998

Saad Hariri : Nous les invitons a retirer de Baabda le residu de leur tutelle
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305988

Joumblatt : Tyran de Damas, tu es l’esclave et nous sommes des hommes libres
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305989

L'editorial de Issa GORAIEB
L’affaire des vivants
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=1000060215



Annahar
http://www.annaharonline.com/htd/OLA060215-1.HTM

http://www.annaharonline.com/htd/GASSAN060215.HTM



Almustaqbal
http://www.almustaqbal.com/stories.aspx?StoryID=164578



Assafir
http://www.assafir.com/iso/today/front/389.html

http://www.assafir.com/iso/today/front/390.html

http://www.assafir.com/iso/today/front/391.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/344.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/345.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/347.html
all speakers

http://www.assafir.com/iso/today/local/370.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/371.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/373.html

http://www.assafir.com/iso/today/local/349.html
LF

http://www.assafir.com/iso/today/local/350.html


Alhayat

http://www.daralhayat.com/arab_news/levant_news/02-2006/
Item-20060214-6a5c38ea-c0a8-10ed-0118-a770788b8c1a/story.html

ほか13本


Gulf News
Main events since Hariri assassination
Reuters
http://www.gulfnews.com/region/Lebanon/10018960.html


Aljazeera
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/BF82C2DA-20BB-4C7E-9ACE-824A50239E17.htm


ハリーリー暗殺1周年

2006-02-15 00:09:24 | 中東
14日は、レバノンの元首相ラフィーク・アル・ハリーリーが、シリア情報機関が仕掛けたとみられる爆弾によってベイルート市内で非業の死を遂げてからちょうど1周年。
ベイルートではほとんどの商店が休業し、故人に対して敬意を表し、中心部の殉教者広場では大規模な追悼集会が行われたようだ。

ハリーリー爆死事件で、レバノンの民主化勢力は、それまでたまっていたシリアに対する不満を爆発させ、爆死から1ヶ月以上にわたって、連日数万人から数十万人の反シリアデモを展開。フランスや米国などの後押しもあって、シリアは軍隊撤退を余儀なくされた。
シリアの重しがとれたレバノンは、かつての自由を回復、市民運動が活発に展開されている。依然としてシリアの情報機関と影響力は残っているし、レバノン人にも大シリア主義や親シリア感情を持っている人は少なからずいることもあって、情勢は混沌としている。

実際、レバノン人の対シリア感情は、単なる親と反だけではとらえらないし、それを超えたところにあるように見える。ここ一年の経過を見ると、ややリスキーだとはいえ、最悪の事態(宗派対立)は何とか回避されているようにも見える。かつては犬猿の仲だったヒズボラとLF(レバノン軍団)、アウン将軍グループも対話を重ねている。
とにかく思想や主張の自由競争が回復されたことで、異なる主張をもった勢力が平和的で理性的な話し合いを通じて、自由で民主的なシステムとルールを創出していくことを願ってやまない。それは権威主義体制が多いアラブにとっても刺激になるだろう。

きょうのレバノン・アラブ各メディアの記事インデックスをまとめてみた。
レバノンのキリスト教寄り英字紙デイリースター、スタンス不明のフランス語紙ロリアン・ル・ジュール、キリスト教系反シリアのアンナハール、キリスト教系中立?のアルアンワール、ハリーリー家所有のアルムスタクバル、左派系アッサフィール、ヒズボラ系TV局のアルマナール、それから有名なアルジャジーラ(アラビア語と英語)、ロンドンにあるレバノン・サウジ系紙アルハヤー(アラビア語と英語)を掲載した。

これまで反シリア系デモには冷淡だった観があるヒズボラ系が積極的に取り上げているのが目に付くところ。

The Daily Star
Religious, political figures pay tribute to Hariri
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=22178

March 14 Forces urge big February 14 turnout
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=22155

Hariri message informs Sfeir rally will unite Lebanese in defense of freedom
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22184

Demands for an international tribunal into the assassination of Hariri persist
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=22186

Valentine's Day loses its luster as Lebanese remember Hariri
feb 11
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=22121


L'Orient le Jour
Hariri an I : la memoire et l’espoir au rendez-vous, place de la Liberte
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305909

Lahoud : Nous sommes determines a connaitre la verite sur ≪ le seisme ≫ du 14 fevrier
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305890

L’important, c’est la rose
L'article de Ziyad MAKHOUL
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305891

Un an apres sa disparition, les Libanais se mobilisent pour rendre hommage a Rafic Hariri
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305892

Saad Hariri : ≪ Mon pere est mort pour l’unite du Liban et des Libanais ≫
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305897

Marwan Hamade : ≪ Nous livrerons notre bataille au nom de Rafic Hariri ≫
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305901

Democratie (re)naissante
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=305904


an-nahar
http://www.annahar.com/Default.aspx?Srv=http://www.annahar.com/
Annahar&Data=/Data/2006/2/14/Art_218178.XML&Out=/Common/Annahar/
Article.xsl&LastUpdate=3:5:51


as-safir
http://www.assafir.com/iso/today/front/200.html

http://www.assafir.com/iso/today/front/202.html

http://www.assafir.com/iso/today/front/203.html


al-mustaqbal
http://www.almustaqbal.com/stories.aspx?StoryID=164459

http://www.almustaqbal.com/stories.aspx?StoryID=164460

http://www.almustaqbal.com/stories.aspx?StoryID=164461


al-anwar
http://www.alanwar.com/ar/article.php?id=16651


al-manar
http://www.almanar.com.lb/story.aspx?Language=ar&DSNO=644900


al-jazeera
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/
42FEB7F5-E898-457B-BA8C-ABA1CE3BC59D.htm

Lebanon remembers al-Hariri
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/
C32CF3A7-3134-4556-9E12-F067E9564AEF.htm

Timeline: Events since al-Hariri's death
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/7F65FF6D-6047-4F3D-A54F-235BB2AE861D.htm

Timeline: UN al-Hariri inquiry
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/
5FD4092F-259C-4884-806E-AA7F83BB2397.htm


al-hayat
http://www.daralhayat.com/special/02-2006/
Item-20060213-65289f64-c0a8-10ed-0118-a7708fe0ef2b/story.html

Rafik Hariri: "Assassinating me is improbable; it is a big decision, one that is dangerous and costly. They want to keep the country sick. No one has an interest in killing a sick person . . . and they reject curing him."
http://english.daralhayat.com/Spec/02-2006/
Article-20060213-63f9bb88-c0a8-10ed-0118-a770f0af0ce3/story.html

Lebanon Before February 14
http://english.daralhayat.com/opinion/OPED/02-2006/
Article-20060214-690b24dd-c0a8-10ed-0118-a7706f5d2aa2/story.html


ムハンマド戯画はオリエンタリズムの典型、ムスリムの怒りは当然だ

2006-02-08 22:43:17 | 中東
デンマークの新聞がムハンマドと見られる人物をテロリストに擬した諷刺漫画を掲載、ムスリムの抗議に対して西欧各紙が過剰反応して次々に漫画を転載したことから、ムスリムの怒りがどんどん広がっている。最近ではベイルートとダマスカスのデンマークなどの公館が焼き討ちにあった(下記レバノンのデイリースター記事を参照)。
ベイルートの公館焼き討ちの際に、デンマーク大使館が位置する、アシュラフィエにあるマロン派の聖マロン教会にも累が及び、被害にあったという。これは、やりすぎだ。マロン派はカトリックに属しており、十字軍のときに手引きをしたりした過去はあるとはいえ、あくまでも中東伝来の典礼を持つ、中東土着のキリスト教の宗派である。典礼の仕方は西欧キリスト教会とは大きく異なり、むしろイスラームとの親和性が高い。今回の問題を「西欧帝国主義のオリエンタリズム」ととらえずに、「イスラーム対キリスト教」の対立図式に描かれやすい点は、宗派対立で内戦も行ったこともあるレバノンに典型的にみられる多宗派混交地域の危うさであるとはいえ、しかし、これは明らかに逸脱であり、愚かな行動というしかない。
ただ、しかし、暴力はいけないという一般論では、この件に対してどうしてムスリムがあれほどまでに怒るのかの本質と背景を見誤ることになる。逆にいえば、公館を焼き討ちにしてまで抗議する理由と道理がムスリムの側にあるということである。

 西欧のメディアは「表現の自由」を前面に掲げる(産経新聞2月4日「イスラム諷刺漫画 各紙転載 欧州全土、騒動飛び火」参照)。不思議なことに今回、フランスのル・モンドやリベラシオン、スペインのエル・パイスのような左寄り新聞が率先して転載して回ったことである。これで、西欧の左派の多文化主義・寛容・博愛・平等の精神が実は底が浅かったことが浮き彫りになったともいえる。
 憲法学の常識に照らせば、この場合「表現の自由」を主張することはナンセンスである。
 そもそも表現の自由その他の自由権は、「他者の権利を侵害しない」ことが大前提になっている。ここで他者の権利とは、他者があるもの(信仰でも財物でもいい)を大切にする権利が当然含まれる。たとえば、「自由」だからといって、他人が所有している器物や他人の身体や生命を奪ったり、損傷させてはならない。もし、他者の権利を侵害してまでも自由が認められるというなら、簡単にいえば、テロや殺人にも自由があることになってしまう。
 また、「表現であれば直接的には他者の財産や生命に危害を加えることはない」という反論も成り立たない。傷害罪という罪には、身体的な傷害だけではなく、精神的に障害を与えることが含まれる。自由権における自由とは、傷害罪に抵触しない自由である。
 そう考えれば、まさに自由権を法思想として確立したはずの西欧のしかも左翼ともあろうものが、「自由」の前提条件を忘れて自由を振り回しているとすれば、末期症状というか、逆に狂っているとしか言いようがない。

 イスラーム教においては、ムハンマドは神ではなく人間ではあるが、最後にして最大の預言者とされ、人間の中では特別で至高な存在と認識されている。しかも偶像崇拝禁止の戒律があるから(実はキリスト教やユダヤ教も聖書では偶像崇拝が禁止されている)、神はもちろんムハンマドをはじめとした預言者を絵に描くことはあってはならない。
 そういう信仰や文化体系は、尊重されるべきであっても、その信仰や文化体系とはまったく異なる西欧キリスト教の人々が「西欧ではイエスの冒涜も許されるから」といって、ろくに知りもしないイスラームという他者の信仰体系にずかずかと入り込んで、他者の信仰を侵害し冒涜するとしたら、それは傷害罪に該当する明らかな刑事犯罪というべきものである。
 西欧の人たちが「イエスを冒涜することは自由だ」というなら、イエスでやればよい。何も他者の信仰体系をネタに利用する必要はない。
 ところが、最初にこの戯画を掲載したデンマークの右派大衆紙ユランズ・ポステンはイエスの諷刺画は掲載を拒否したという(Reuters, Wed Feb 8, 12:08 PM ET: Danish paper refused "offensive" Jesus cartoons)。何たる身勝手!

 いわば「自分の妻をいかに愚妻といっても、他人にいわれるとむかつく」心理である。自分のものはいくらでも揶揄できるが、他者のものについては慎重になるべきなのである。
 実際、ムスリム自身が神を茶化すことは皆無ではない。サウジのような原理主義がちがちの地域ならともかく、比較的リベラルで開放的なレバノン、トルコ、エジプトのムスリムなら神を茶化すことはある。レバノンで何度かそういう発言を耳にした。しかし、注意すべきなのは、たとえムスリムが茶化していたとしても、異教徒であるわれわれが与してはならないということだ。私は彼らが神を茶化したときに決して一緒に加わったりしなかった。もちろん、キリスト者の私にとって同じ神だからよさそうなものだが、契約概念が違うので、下手に雷同するわけにはいかない。

 まして、中東のイスラームの人々にとってみれば、西欧キリスト教徒は、十字軍と帝国主義と二度にわたって自らを蹂躙してきた不義の侵略者なのである。
 パレスチナのキリスト教家庭出身のエドワード・サイードが喝破したように、西欧が作り出してきた「支配されるべき野蛮人」のイメージとは、まさに西欧の中東観を原型にしているのであって、西欧と中東の憎悪関係はまさに積年のものである。
 中東の人々の西欧に関する怨恨が解消され、怒りが解けていないにもかかわらず、加害者である西欧人が、中東のムスリムが至高のものだとして大切にしている対象を戯画によって茶化す。
 これが、もし、中東を侵略したことがない台湾人あたりがやったことなら、ムスリムは怒っただろうが、ここまでの怒りにならなかっただろうし、またもしここまで怒ったとすれば台湾人側が「ムスリムも異文化である台湾人を理解すべきだ」ということは可能だっただろう。
 しかし、よりによって、西欧人が「自由」を悪用して、再びムスリムを傷つける横暴を働いたのである。ムスリムが怒って当然であろう。

 そういえば、湾岸UAEのアル・ハリージュ紙が「欧州にはホロコースト(ユダヤ人虐殺)の否定を禁じる法律がある。ならば、他宗教の侮辱を禁止する法律もつくるべきだ」と提案しているらしい(朝日新聞2月5日「デンマーク大使館放火、諷刺漫画にイスラム圏の抗議激化」参照)。
そのとおりである。
もしそれができないなら、西欧はユダヤ人に一方的に肩入れして、ムスリムをいくらでも侮辱してもいいと思っているだけだということになる。

 しかも今回私が驚いたのは、西欧でこれまで移民、多文化主義、差異への権利といった問題については、寛容でリベラルな態度をとっていたはずの左派系メディアまでもが、戯画転載と「自由」の悪用の列に加わったことである。これにはあきれた。逆に、イラク戦争によって中東を武力で踏みにじってきた英米政府とその多くのメディアが逆に自制的で、戯画転載の暴挙を批判しているところが意味深長である。もちろん、米国にはこれ以上ムスリムを敵に回したくないという計算も働いたのだろうが、それ以上にイラク戦争の泥沼化から、何がしかの教訓を得たということもあるだろう。英国については、昨年のテロ事件が教訓となったと伝えられている(毎日新聞2月4日「英紙は不掲載 「責任が伴う」と社説で」;読売新聞2月4日「ムハンマド戯画問題、英外相が欧州各紙の転載を批判」;共同通信2月4日「預言者諷刺漫画「侮辱的」 米、冷静な対応呼び掛け」)。

 願わくは、西欧のメディアや左派が、この問題を契機に、この問題を教訓として、異文化への尊重と理解を深めんことを。

 問題の戯画については、 http://www.brusselsjournal.com/node/698 を参照。実際、これを見ると、異教徒である私も胸糞が悪くなった。西欧人の偏見と横暴とデリカシーのなさにはほんとうにむかつく。こんなものは諷刺とか揶揄に値しない。単なる異文化蔑視と破壊である。

 それから、日本の報道で気になるのは、中東で問題の戯画は、ヨルダンで転載された以外はいっさい転載されていないようなことが書かれているが、私自身はレバノンのイスラーム系がやっているとみられる芸能ブログWALEGに1つだけ言及、紹介されているのを見た。「中東では紹介もタブー」式の報道も、実は「イスラームは偏狭」という偏見と思い込みで決め付けているようにしか思えない。

【ムハンマド諷刺画をめぐる主な動き】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060203-00000138-mai-int
毎日新聞 <ムハンマド諷刺画>「文明の衝突」の様相 背景に国際化 より(台湾蘋果日報2月6日付けで補足))
05年9月30日 デンマーク紙ユランズ・ポステンが12編の諷刺画を掲載
  10月上旬 デンマークのイスラム教徒団体が抗議声明
06年1月5日 デンマークのムラー外相とムーサ・アラブ同盟事務局長が電話協議
  1月10日 ノルウェーのキリスト教系誌マガジネットが諷刺画を掲載
    26日 サウジアラビアが駐デンマーク大使を召還
    29日 リビアが在デンマーク大使館を閉鎖
    30日 パレスチナ自治区ガザで武装グループが欧州連合(EU)事務所を包囲、謝罪要求
    31日 ユランズ・ポステン紙が釈明
  2月1日 諷刺画転載の仏紙フランス・ソワールが編集局長を更迭
    2日 パレスチナ武装勢力がドイツ人1名を拉致、のちに釈放;ノルウェーがヨルダン川西岸の代表部を閉鎖
   ~3日 ドイツ、フランスなど7カ国紙が諷刺画を掲載
    3日 インドネシアのイスラーム過激派勢力がデンマーク大使館敷地に侵入し抗議活動;ラスムセン・デンマーク首相がイスラム教国11カ国の駐コペンハーゲン大使と会合
    4日 シリア・ダマスカスでデンマークとノルウェー大使館前で抗議活動と放火
  5日 レバノン・ベイルートのデンマーク大使館周辺で抗議活動と放火


参照記事(直リンクにしなかったのは、ヤフーのページは後日に消えるはずだし、デイリースターはURLが長く画面表示に問題が起こるため):

朝日新聞 2月3日 諷刺漫画掲載への同調広がる フランス
http://www.asahi.com/international/update/0203/004.html
 一方、カトリック教会のリヨン大司教は2日、AFP通信に「イスラム教徒が受けた傷は理解できる」と発言。フランスの司教協議会も「表現の自由には個人の信仰への敬意が伴うべきだ」と表明した。

産経新聞 2月4日 イスラム諷刺漫画 各紙転載 欧州全土、騒動飛び火
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060204-00000009-san-int
欧州でドイツとフランス、イタリア、スペインに続き、オランダ、スイス、チェコの有力紙が転載。
 仏紙ルモンドは社説で「民主主義では言論を取り締まることはできない」と訴え、イスラム教徒はムハンマドの漫画に衝撃を受けても致し方ないとの主張を展開した。
 フランスのサルコジ内相は二日、テレビ番組で、検閲よりも諷刺の行き過ぎの方が許容できるとの見解を示し、仏紙の報道を支持した。ただ、仏紙フランス・ソワールでは騒動に火を注ぐ形となったことに内部で批判も起こり、編集長が一日、更迭された。
 一方、独紙ウェルトは漫画に合わせて「欧米社会には冒涜(ぼうとく)する権利もある。イスラム教の世界には諷刺を理解する力はないのか。イスラム教徒の抗議は偽善だ」と主張、独政府は同紙の報道に「政府が介入すれば、言論の自由を阻害する」と、事態を静観する構えだ。

共同通信 2月4日 「謝罪あり得ない」 デンマーク首相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060204-00000001-kyodo-int
 欧州では「表現の自由」を掲げ、新聞が諷刺画を載せる動きが拡大、3日もフランスのリベラシオン紙やスペインのパイス紙が掲載した。

毎日新聞 2月4日 <ムハンマド諷刺画>英紙は不掲載 「責任が伴う」と社説で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060204-00000022-mai-int

読売新聞 2月4日 ムハンマド戯画問題、英外相が欧州各紙の転載を批判
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060204-00000202-yom-int

共同通信 2月4日預言者諷刺漫画「侮辱的」 米、冷静な対応呼び掛け
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060204-00000046-kyodo-int

http://www.asahi.com/international/update/0205/001.html
朝日新聞 2月5日 デンマーク大使館放火、諷刺漫画にイスラム圏の抗議激化
 中東のメディアは批判一色だ。アラブ首長国連邦紙ハリージュは3日付で「欧州にはホロコースト(ユダヤ人虐殺)の否定を禁じる法律がある。ならば、他宗教の侮辱を禁止する法律もつくるべきだ」と論じた。
 一方、中東のキリスト教徒の間では、この問題が宗教間の争いに発展することを懸念する声も出ている。イラク北部キルクークにあるキリスト教会の大司教は、1月29日に地元の教会を狙って起きた連続爆弾テロの引き金も諷刺漫画問題だったとの見方を示した。ロイター通信に対し「我々は欧州で出版された漫画に何の責任もないはずだ」と嘆いた。

英左派系ガーディンの分析記事と関連リンク
The Guardian, Feb 6,2006, Comment, Cartoon conflicts
http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,,1703368,00.html

ユランズ・ポステンはイエスの諷刺漫画は掲載拒否
Danish paper refused "offensive" Jesus cartoons
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=2630&ncid=2630&e=13&u=/nm/20060208/wl_nm/religion_cartoons_denmark_jesus_dc_1

 ベイルート公館焼き討ちについては、残念ながら当日記事収集を怠ったので、レバノン英字紙デイリースターしかURLを挙げられない。主な記事だけ。
The Daily Star, Feb 6- Politics - Violence plagues protest against cartoons of Prophet Mohammad(Rym Ghazal執筆の記事、リムちゃんは典型的なレバノン美人で愛想もよかった)
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=21994

Daily Star, Feb 6- Politics - Violent protests draw ire of Achrafieh residents
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=21993The

The Daily Star, Feb 6- Editorial - Failure to take precautions is a sign of serious incompetence
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&categ_id=17&article_id=21983

The Daily Star, Feb 7- Editorial - Action is urgently required if stability is to prevail in Lebanon
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&article_id=22005&categ_id=17

トウェイニー氏葬儀

2005-12-16 02:52:59 | 中東
 レバノンで12日朝爆殺された反シリア新聞社長で国会議員のジブラーン・トウェイニー氏の葬儀が14日ベイルートであった。
 それを伝えるレバノンの英語、フランス語、アラビア語の各新聞・雑誌、湾岸の有名なアルジャジーラ、レバノン系サウジ資本のアルハヤー。


The Daily Star
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=20776
Grieving nation mourns as Tueni laid to rest


L'Orient le Jour

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=301559
L’adieu a Gebran ressuscite le 14 mars

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=301562
A la cathedrale Saint-Georges, l’emotion est a son comble

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=301535
Ghassan Tueni : ≪ Je voudrais que les haines ainsi que les mots qui divisent soient enterres ≫

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=301566
Le Liban rend un dernier hommage au ≪ symbole de la parole libre ≫

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=301550
L’hommage de la foule anonyme a Gebran Tueni devant le siege d’≪ an-Nahar ≫


Al-Mustaqbal
http://www.almustaqbal.com/stories.aspx?StoryID=155509


Al-Anwar
http://www.alanwar.com/ar/article.php?id=11252


An-Nahar
http://www.annaharonline.com/htd/MAHLY051215.HTM

http://www.annahar.com/Default.aspx?Srv=http://www.annahar.com/Annahar&Data
=/Data/2005/12/15/Section_0.xml&Out=/Common/Annahar/Homepage.xsl&LastUpdate=3:21:4

http://www.annahar.com/Default.aspx?Srv=http://www.annahar.com/Annahar&Data
=/Data/2005/12/15/Art_205653.XML&Out=/Common/Annahar/Article.xsl&LastUpdate=3:21:4

http://www.annahar.com/Default.aspx?Srv=http://www.annahar.com/Annahar&Data
=/Data/2005/12/15/Art_205857.XML&Out=/Common/Annahar/Article.xsl&LastUpdate=3:21:4

Al-Jazeera
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/58EE204A-5452-4514-B1BF-CBC444CFEC50.htm

Al-Jazeera english
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/188FF2C6-6BAC-490C-A0FD-678A1067E873.htm
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/C4B9989D-C04A-41FF-A2A6-9A555B77AA31.htm


Al-Hayat
http://www.daralhayat.com/arab_news/levant_news/12-2005/Item-20051214-2b0e3b26-c0a8-10ed-0041-2f4b3ce56326/story.html


レバノンのアラビア語ニュース週刊誌
Ousbou Al-Arabi
http://www.arabweek.com.lb/2410/couv.pdf