カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

自由が丘 風月堂のソフトクリーム~シーちゃんのおやつ手帖144

2010年07月23日 | 味わい探訪
自由が丘の隠れた名物、凮月堂のソフトクリーム
は濃厚な美味しさ☆
まるで高原の牧場で食べるソフトクリームのよう
な、ミルキーな味わいです。
店内の喫茶室でも食べられますし、テイクアウト
も可能で、1個399円です。
発売当時のレシピを守り続けている「明治時代
のシュークリーム」も根強い人気があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さすらいー若葉のころ26

2010年07月23日 | 投稿連載
若葉のころ 作者大隅 充
    26
 私が八戸の金田一温泉のペンションにそろそろ到着
しようかという頃、夕食に家族で外食に出かけるとこ
ろという前置きでオマツからメールが届く。
「清き純情の詐欺森トモミ。たぶんすみれに彼女が言
わなかったということはすみれを乙女と憧れ畏れてい
たんだと思う。ただ真実は、高2の時トミーは、弘大
生と行くところまで行ったの。私たちの仲間で一番早
く純情を失ったのは、トミーだったの。だからわたし
なんか、恋愛に関してはトミーはセンセイだったよ。
どうかセンセイが無事帰還しますように。オマツ。」
 すぐに私は返信する。
「早熟なトミー。いつもファッションリーダーだった
姉御肌のトミー。そういわれると納得がいく。トミー
の又一皮剥けて帰ってくることを祈るわ。」
 プチ同窓会のスナックで島津君たちがトミーのこと
をなぜ来ないのかとか今離婚して独身になったんだ、
などといろいろ聞いて来たけどオマツと暗黙の了解で
トミーが行方不明になっていることを私は言わなくて
よかったと思う。タダでさえ島津君は、電話魔だし、
吉村君にいたっては拡声器という別名があるくらいだ
から、あっという間にトミーは若い男と心中したこと
になってしまう。そして何よりも女子には女子の秘密
というものがある。決して男子には伝わらない秘密の
味というものがあるのだ。
   ×       ×       ×
 翌日から夫のカズマは町議会がはじまり、私よりも
早く県庁へ打ち合わせに出かけた。
 私は、盛岡と弘前行きの疲れが出たのか車で八戸道
をマリエントへ出勤するのに一歩づつ出遅れて、20
分遅刻して水産科学館の岬へ着く。途中電話してもう
一日休ませてもらおうかと本気で迷う。
 しかしマリエントの展望食堂の献立メニューを並べ
出すと不思議といつもの調子が出て来てほっとする。
我ながら体を動かして働くの好きなんだなあと思う。
 展望窓から見る太平洋は快晴で雲ひとつない。嵐が
あったことも津波のあったこともウソのようだ。さす
がに心地よく晴れたお蔭で昼のランチは盛況で三時ま
で食事客が絶えない。三時半になって喫茶タイムにな
ってほんの一瞬客足が切れて、私は、美しい水平線を
眺めながら明日以降の献立表をつくるためにB4の週
割り表にすぐに消せる2Bの鉛筆でラフにメニューを
書き込む。うららかな陽射しが大きなガラス窓から私
にふりそそぐ。肩にかけていた緊張のガウンが背中か
ら足元へ鎔けていくのがわかる。
 何分たったのだろう。たぶん二三分だったのだけれ
ど、一時間ぐらい眠った気がする。うとうとと心地よ
い疲労がテーブルの上に広がって組んだ腕を枕に眠っ
てしまった。
「すみれさん。すみれさーんでしょ。」
女の子の呼ぶ声がする。
 私は、目をこすりながらやっとのこと起きる。目の
前に若い女が立っていた。
「すみれさんですね。」
とはっきりとした口調でその子は言う。
「はい。そうですが・・・」
と私は答えかけて、ハッとその若い女に見覚えがある
ことを思い出す。
あの夕方の八戸港の桟橋でひとりで泣いていたきれい
な女の子。そして港の倉庫街で二人の男にレイプされ
そうになった、あの若い子。
「あなた。確か八戸港で暴漢に襲われた人ですね。」
 若い女は、固い表情で「そうです。あなたに助けら
れた輪竹由香です。その時はお世話になりました。」
と全く感情のない声でお礼を棒読みする。
 そして彼女は黙る。長い沈黙が私と彼女の間でいっ
ぱいになる。彼女の目がみるみるカミソリの刃のよう
に鋭く光るので私も次の言葉が出てこない。レジでは
支配人が心配そうにこちらを伺っている。
 次の瞬間。私の視界で電流のような光が走った。気
がつくと私は、床にパイプ椅子こど倒れていた。若い
女は、私を思い切り殴ったのだった。 
「泥棒ネコみたいなことしないで!」
若い女の顔は逆光で暗かったけど蒼白な色をしている。
「お兄ちゃんは、バカが付くくらい純情なのよ。なん
であんたみたいなおばさんと・・・・」
「何言ってるの。私は・・・ただ・・・・」
「あなた、結婚して子供もいるんでしょ。気持ち悪い」
「だから何を・・・」
と私が立ち上がったところでその由香という女は、足
で私の胸を蹴って再び私は転ぶ。
「二度とお兄ちゃんには近づかないで! 私、あんたを
殺すから! 又同じことしたら・・」
支配人が慌ててもう一度私のお腹を蹴りにかかった若
い女を止めに入ったが、輪竹由香はするりと支配人の
腕を抜けて食堂の入り口へ走って逃げた。
そして廊下に出たところで若い女はもう一度甲高い
狂気じみた声で絶叫する。
「泥棒ネコ! お兄ちゃんに二度と近づくんじゃねえぞ!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする