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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

バンビキャラメル~シーちゃんのおやつ手帖番外編

2010年07月02日 | 味わい探訪
レトロなパッケージが可愛い北海道銘菓・
バンビキャラメルは、いちごミルク味(150円)
の他にチョコレート味や白プリン味、さくら
風味などもあります☆
どれも素朴で懐かしい味です。
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さすらいー若葉のころ23

2010年07月02日 | 投稿連載
若葉のころ 作者大隅 充
       23
私の心の中で小さな渦が巻いている。その不穏な動き
をどうしても止めることができない。午後のリアス式
海岸はその切り立った岩肌をギラギラとした海に突き
出して人どころか道さえ寄せ付けない。太陽は斜めか
ら顔を覗かせている。私は、アクセルをどんどん踏ん
で気がついたら、前を走るトラックのお尻に追突しそ
うになっている。その廃棄物処理業者の大型トラック
は、驚いて路肩へ車を避けて私のアコードを先に行か
せようとクラクションを鳴らす。
 私は、我に帰ってブレーキを踏むと車を久慈へ行く
分かれ道で停車させる。廃棄物処理業者のトラックは
逃げるようにみるみる遠ざかって行く。
 そして私は、手帳をカバンから取り出し盛岡のトミ
ーの住所を書いたページを開く。
その住所番地をカーナビに正確に入力する。
それからケイタイでオマツへ連絡を入れる。
「ああ。わたし。すみれ。今日そっちへ行けなくなっ
たの。」
「なんで?みんなスナックに予約入れて今夜来るのに。
プチ同窓会・・」
「ごめん。明日は必ず行くから。」
「どうしても・・・」
と掃除をしているのか掃除機の音をオマツは止めてた
め息混じりにがっかりとして念押しをする。
私は、悪いと思いながらもトミーのことが気になって
それどころじゃない。
「さっきトミーのことで変な情報を聞いた。トミーの
貯金が一千万円下ろされているって。トミーのおばち
ゃんが言うの。」
「なんで・・・」
「わからない。もう一つオマツには黙っていたけどト
ミーが今付き合っている男の人がいたの。レストラン
の経営者の若いイケメン。その人の店が今日行ってみ
たら閉鎖されて、本人も借金を残していなくなってる
の。」
「まさか・・・」
オマツの声が沈む。
「近くのガソリンスタンドの人に聞いたの。ついさっき」
オマツは、鼻息荒く空気を吸い込むと隣の部屋で騒い
でいる子供に静かにと叱る。
「それって事件ってこと?」
私は、事件という言葉が思いつかなかった。
そうか、もしかしたら何か事件に巻き込まれたのかも
しれないのか。
「嵐の中心中したとか・・・」
オマツの心中と言ったときの発音が余りにもクリアな
イントネーションだったので舞台のセリフのように聞
こえる。
「え、ええ?トミーってそんなバカじゃない。」
「そうだよね。あの子が一番頭良かったんだものね。」
「・・・・とにかく盛岡のトミーのおばちゃんに会っ
てみる。だから明日そっちに行くから・・・」
「うーん。わかった。何かわかったらすぐに電話ちょ
うだい。今日はスナックキャンセルして家にいるから」
「わかった。」
電話を切ったとき私は、もう車を盛岡へ走らせていた。
 盛岡のトミーのマンションは繁華街の中にあった。
しばらく待ってみたがトミーのおばちゃんは夕方にな
っても帰って来ない。
 ちょうど一階ホールの管理人室から日勤の管理人の
白髪の老人が背広姿で出てきたのでトミーの同級生で
ここに母親と住んでいるけどどこに行かれたかわから
ないでしょうかと丁寧に聞いてみる。
 すると管理人は、トミーが行方不明者のリストに載
っていることもよく知っていて、話好きなのかお嬢さ
んは盆暮れに必ず商品券をくれるし、美人で気立てが
よくこのマンションでも評判の人でしたと聞いてもい
ないことをぺらぺらしゃべると、お母様だったら、年
金病院に今日から過労で入院されましたと答える。
 私は、病院の大体の場所を管理人から聞いて車を飛
ばすと、あっさりトミーのおばちゃんの入院している
年金病院に七時前に到着することができて、比較的思
ったより元気なおばちゃんに会えた。
 ちょうど夕食が終わったところで私の顔を見るなり、
急に嬉しそうな、淋しそうな目の色になって私の手を
ベッドの上で握り締める。
「よくここがわかったね。すみれちゃん。」
「管理人さんに聞きました。」
「ああ。おのおしゃべりな管理人もこういうときは役
に立つことがあるのね。」
私は四人部屋の仕切りのカーテンが看護補助士によっ
て完全に締められるのを待って会話をつづける。
「トミーのこと心配で・・・」
「あの子は、いつも親の言うことなんか聞きやしない。
なんでも自分で決めて失敗するとママって帰って来て
又勝手に男をつくって・・どこかあの髭の男と逃げた
んだと思うの。すみれちゃん。」
「その髭の人に私会ってるんです。一度。」
[白井海岸で店やってるイカサマな野郎でしょ。」
「今日昼行ってみたら店を閉めて夜逃げしたらしいん
です。張り紙があって・・・」
「またあの子は親を心配させて・・」
「大丈夫かしら・・・」
「大丈夫でしょ。又一ヶ月もしたらひょっこり帰って
来て今度も男を捨てたって啖呵きるでしょ。たぶん。
三つ子の魂なんとやらで・・本当に親として情けない。
見た目は一応女だけどあの子は中身は男なのよ。」
タシカニと私は心の中で少し軽い気持ちになって呟い
たら、やっとおばちゃんは私の手を離す。
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