一昨年公開された映画なのにこれを超えるアクション映画が、この二年間でどれだけあったのだろう。
スーツに身を包んだ元特殊部隊隊長、いまはプロの運び屋という役柄のジェイソン・ステイサムのアクションがとにかく「かっこいい」のは、一つ一つのアクションの見せ場に、歌舞伎のような≪間(ま)≫があるからだ。
無論、無駄のない脚本の良さということもあるけれど、アクション映画にだって脚本は大事だという証左のような映画だ。 脚本と製作がリュック・ベンソンなので、何となく意味なくフランス映画かなというイメージを持ってしまうけれど、監督は、前作の「トランスポーター」同様、ハリウッドで活躍するルイ・レテリエ監督。
ジェット・リー主演のアクション映画のはずが、モーガン・フリーマンが共演して中途半端なヒューマンアクションになってしまった映画があった。「ダニー・ザ・ドッグ」。その映画を撮っている監督だ。
あの映画、ジェット・リーのアクションを撮った場面は、実に素晴らしかったという思い入れがある。あのセンスの監督が脚本を書くと、こうもかっこいいアクション映画になるということだろうと嬉しくなる。
ルイ・レテリエ監督って、もともとそうしたアクション映画が撮れる監督だということなのだろう。
主演のジェイソン・ステイサム、個人的なイメージではハリウッド臭がないアクションスターというイメージなので、私の中では貴重。
イギリス生まれの1972年生まれというからには、現在36歳。なのに、かなりふけて見えるなあ・・・と。でも、このトランスポーターでの彼のアクションは、切れがちゃんと演出されている。
近作のアクション映画2本、シルベスター・スタローンの「ランボー4」やブルース・ウィルスの「ダイ・ハード4」のような≪老い≫は、このとき30台半ばのジェイソン・ステイサムにあったらおかしいけれど、もたつき感が微塵も感じられなかったから、やはり若いのだろうと納得。
映画「アドレナリン」は、見ていてかなり疲れたけれど、あの役柄のよれよれイメージは、ちょっといただけない。ジェイソン・ステイサムもそんなイメージは外した方がいいと思うが、・・・どうだろう。
スピード感とスタイリッシュなアクションが実によく似合うので、そのラインで新しいアクション映画を切り開いていってもらいたい。そんな俳優の一人というのが私の個人的な感想ですね。