銀の彫り物細工が施されているカミソリのこの輝き!その質感!
観て参りました。昨日、夕方から出かけて、
映画『スウィーニー・トッド』を観てきたばかり。
きっといろいろなブログで映画評は言い尽くされていると思いますので、
以下、個人的な感想に留めますね。
そもそも映画の時代設定となっている
19世紀(1800年代)のロンドンというのが、
個人的に異様に興味のある時代&都市なので、
当時の街並みや街の空気のようなものが再現された映像には
身震いするほどわくわくさせられたわたくし。
その19世紀初頭のロンドンが、
いかにもCGと分かる映像でも、
好きな色合いの映像であれば満足。
本当に身震いするほど好きな色合いの映像でした。
加えて、冒頭からイケテル音楽で、
港に入る船上からロンドンを一望するジョニー・デップの
悲壮な表情と佇まいを金管楽器が大活躍のオーケストラで一気に盛り上げます。
そこで、思わず、う~んと唸らされちゃいました。
この映画、何と言っても映像と音楽、
この見事な両輪がしっかり回っていくことで、
ティム・バートン好みの世界がスピィーディに劇的に展開されていきます。
過日、公式サイトを眺めたとき、
監督のティム・バートンは無論ながら、
美術担当のダンテ・フェレッティ、そして
撮影のダリウス・ウォルスキーの二人の仕事ぶりに
最初からかなり注目して観ることになったのですが、
期待は裏切られなかったなあと。
ジョニー・デップ、予想通り
ミュージカル映画が向いているぞと思えるほどの出来でした。が、
驚いたのは、パイ屋の女主人ミセス・ラベット役の
ヘレナ・ボナム=カーターの歌。
予想以上の歌唱力と言えばいいでしょうか。
二人の二重唱には心打たれました。
悪役の判事役のアラン・リックマンとジョニー・デップの二重唱も、
思いがけない味わいで、凄い緊張感ある二重唱でした。それに、
子役のトビー少年役の男の子が
母を慕うようにミセス・ラベットへの思いを歌うソロの美しさは、
この復讐劇の終わりを予感させ
みぞおち辺りをずっしりと重くしてくれましたし、
スウィーニーを救い彼の娘ジョアナと運命的な出会いをする青年
船乗りアンソニー役の青年のソロも、
彼とジョニー・デップと物乞い女との三重唱も耳に残るものでした。
この映画、徹底的にジョニー・デップの魅力全開の映画です。
なれど、その魅力をしても、個人的に気になった場面がありました。
法廷でのシーンが気になったのです。
あれ、なんだったのかしらと。
いい加減な審議で判事が死刑の判決を下した相手、それが子供。
そのシーンを盛り込むことでスウィニー・トッドこと
ベンジャミン・バーカーに無実の罪で終身刑を下した判事の人間性を
表そうとしたのでしょうが、ちょっと、
繋がりが見えにくい場面だったなあと思われました。
しかも、主人公が無実の罪で終身刑を下されるというシーンが
どこにも出てきません。こうなると、
なくてもいいシーンが挿入されていて、
あった方が良かったシーンがないように思われて、
ちょっと肩透かしを食らった気分だったわたくし。
予告を見ていなければ、そして、ジョニー・デップの、
観客に有無を言わせない迫力がなければ、
なぜ主人公がそこまで復讐の鬼と化し狂人となっていくのか、
説得力にイマイチ欠けるというか、
観客に共感させるのにイマイチ弱いぞと感じました。
狂人と化しているのだから仕方がないけれど、
娘が生きている!、
しかも、にっくき判事に籠の中の鳥のように囚われている!
と知っても、ご近所なのに会いに行こうともしないで
復讐を叫ぶジョニー・デップ。(苦笑)
15年間忘れもしなかった愛娘を想い「ジョアナ~~~」と
歌うジョニー・デップ。
そんなところがちょっとヘンで、こうしたヘンさは、
やっぱりティム・バートン監督ならではの作りかなと。
あくまでも余談ですけれど。
ミセス・ラベットの歌う彼女の夢がマルグリットの絵画のようで、
ホラー映画のセンスがそこで変調し次元が変わります。
夢の終わりで映画の中に「現実」を再生させる手法ですね。
映画の中で次元をワープさせるのにマルグリットの絵画世界をもってくる、
そのヘンさがいかにもティム・バートン監督という感じで魅了されました。
感動のミュージカル映画!でもあり、
これぞ感動のスプラッター系ホラー映画!でもあり、
人間の運命に深く感じ入る古典劇映画!とも言えますが、
ミュージカル仕立てながら無駄のないすっきり感!は、
やはり監督の技あり一本というべきでしょうか。
ティム・バートン監督作品のファンの方、
無論ジョニー・デップファンの皆さん、そして、
ヘレナ・ボナム=カーターのお好きな方、
ミュージカルのお好きな方、
(といっても、
「サウンド・オブ・ミュージック」や「オズの魔法使い」系が
お好きな方にはおススメしません)
そしてまた、人間の愚かさ悲しさが
運命の糸で操られていくかのような古典劇のお好きな方、
「復讐するは我にあり」に関心をお持ちの方、そして、
ホラー映画とスプラッター映画のお好きな皆さんには、
必見の映画としておススメします。
観て参りました。昨日、夕方から出かけて、
映画『スウィーニー・トッド』を観てきたばかり。
きっといろいろなブログで映画評は言い尽くされていると思いますので、
以下、個人的な感想に留めますね。
そもそも映画の時代設定となっている
19世紀(1800年代)のロンドンというのが、
個人的に異様に興味のある時代&都市なので、
当時の街並みや街の空気のようなものが再現された映像には
身震いするほどわくわくさせられたわたくし。
その19世紀初頭のロンドンが、
いかにもCGと分かる映像でも、
好きな色合いの映像であれば満足。
本当に身震いするほど好きな色合いの映像でした。
加えて、冒頭からイケテル音楽で、
港に入る船上からロンドンを一望するジョニー・デップの
悲壮な表情と佇まいを金管楽器が大活躍のオーケストラで一気に盛り上げます。
そこで、思わず、う~んと唸らされちゃいました。
この映画、何と言っても映像と音楽、
この見事な両輪がしっかり回っていくことで、
ティム・バートン好みの世界がスピィーディに劇的に展開されていきます。
過日、公式サイトを眺めたとき、
監督のティム・バートンは無論ながら、
美術担当のダンテ・フェレッティ、そして
撮影のダリウス・ウォルスキーの二人の仕事ぶりに
最初からかなり注目して観ることになったのですが、
期待は裏切られなかったなあと。
ジョニー・デップ、予想通り
ミュージカル映画が向いているぞと思えるほどの出来でした。が、
驚いたのは、パイ屋の女主人ミセス・ラベット役の
ヘレナ・ボナム=カーターの歌。
予想以上の歌唱力と言えばいいでしょうか。
二人の二重唱には心打たれました。
悪役の判事役のアラン・リックマンとジョニー・デップの二重唱も、
思いがけない味わいで、凄い緊張感ある二重唱でした。それに、
子役のトビー少年役の男の子が
母を慕うようにミセス・ラベットへの思いを歌うソロの美しさは、
この復讐劇の終わりを予感させ
みぞおち辺りをずっしりと重くしてくれましたし、
スウィーニーを救い彼の娘ジョアナと運命的な出会いをする青年
船乗りアンソニー役の青年のソロも、
彼とジョニー・デップと物乞い女との三重唱も耳に残るものでした。
この映画、徹底的にジョニー・デップの魅力全開の映画です。
なれど、その魅力をしても、個人的に気になった場面がありました。
法廷でのシーンが気になったのです。
あれ、なんだったのかしらと。
いい加減な審議で判事が死刑の判決を下した相手、それが子供。
そのシーンを盛り込むことでスウィニー・トッドこと
ベンジャミン・バーカーに無実の罪で終身刑を下した判事の人間性を
表そうとしたのでしょうが、ちょっと、
繋がりが見えにくい場面だったなあと思われました。
しかも、主人公が無実の罪で終身刑を下されるというシーンが
どこにも出てきません。こうなると、
なくてもいいシーンが挿入されていて、
あった方が良かったシーンがないように思われて、
ちょっと肩透かしを食らった気分だったわたくし。
予告を見ていなければ、そして、ジョニー・デップの、
観客に有無を言わせない迫力がなければ、
なぜ主人公がそこまで復讐の鬼と化し狂人となっていくのか、
説得力にイマイチ欠けるというか、
観客に共感させるのにイマイチ弱いぞと感じました。
狂人と化しているのだから仕方がないけれど、
娘が生きている!、
しかも、にっくき判事に籠の中の鳥のように囚われている!
と知っても、ご近所なのに会いに行こうともしないで
復讐を叫ぶジョニー・デップ。(苦笑)
15年間忘れもしなかった愛娘を想い「ジョアナ~~~」と
歌うジョニー・デップ。
そんなところがちょっとヘンで、こうしたヘンさは、
やっぱりティム・バートン監督ならではの作りかなと。
あくまでも余談ですけれど。
ミセス・ラベットの歌う彼女の夢がマルグリットの絵画のようで、
ホラー映画のセンスがそこで変調し次元が変わります。
夢の終わりで映画の中に「現実」を再生させる手法ですね。
映画の中で次元をワープさせるのにマルグリットの絵画世界をもってくる、
そのヘンさがいかにもティム・バートン監督という感じで魅了されました。
感動のミュージカル映画!でもあり、
これぞ感動のスプラッター系ホラー映画!でもあり、
人間の運命に深く感じ入る古典劇映画!とも言えますが、
ミュージカル仕立てながら無駄のないすっきり感!は、
やはり監督の技あり一本というべきでしょうか。
ティム・バートン監督作品のファンの方、
無論ジョニー・デップファンの皆さん、そして、
ヘレナ・ボナム=カーターのお好きな方、
ミュージカルのお好きな方、
(といっても、
「サウンド・オブ・ミュージック」や「オズの魔法使い」系が
お好きな方にはおススメしません)
そしてまた、人間の愚かさ悲しさが
運命の糸で操られていくかのような古典劇のお好きな方、
「復讐するは我にあり」に関心をお持ちの方、そして、
ホラー映画とスプラッター映画のお好きな皆さんには、
必見の映画としておススメします。