かへりこよ かへりこよとぞ こゑありて 頭骨のうらの そは空耳か
ぬばたまの やみぢに落とす 星の実を ひろひつつ来よ さまよへるもの
てふてふの かげもなき野の やみにおち いづへにかゆく 石の吐息よ
まぼろしの しろきかひなの 天をさし うたへるこゑは われに何問ふ
さむき身の 風のこほれる 野に絶えて なよかへりこよ 星のかよひぢ
冬の森 星をたよりと まきひろひ 母のかまどの 燠火はわらふ
虹をなす 宝の夢の 色さめて 砂漠のそらに ふく風もなく
あさきゆめ みしとうたひて かへりこよ 無き海に浮く 船を待つ岸