世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

風に浮く

2012-05-22 07:17:19 | 歌集・恋のゆくへ


としつきの 風の彼方に 君は見る この仮の世の まことの色を


夢見果て 夢見果てぬる 夢を見て まだ夢を見る まどろみのかほ


さいはひを 花にたとへて 君にそふ まことのむねを 君知らずとも


貝玉を さがしもとめて 砂をゆく 耳に流れる 海のため息


君知るや 赤き衣に 包みては 隠す心の さびしき青を


からからと 鳴る音もなし うつろなる 鈴をかかえて 君はわらひぬ


繚乱の 春には見えて 一枚の 衣を破れば からっぽの雪


道ありと 見ゆる景色の 風に浮く 仮寝の夢と 君はいつ知る


悲しきは 鳥の嘘音を 鳴く君を しじまの壺の 中に見る夢


戸を閉めて 鍵をかけなほ ふたつかけ 見えぬとおもふ ガラスの心


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 須和野チビ猫を描いてみた | トップ | おのがゆく »
最新の画像もっと見る

歌集・恋のゆくへ」カテゴリの最新記事