世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ハウ・トゥ・ラヴ

2016-01-21 05:23:44 | 月夜の考古学・本館

まず
あたまの蓋をぱかりとあけて
脳みそをとりだします
こわしたら 後でこまるので
細心の注意をもってやりましょう
とりだした脳みそは
特別の容器に入れて
コレハぷりんニアラズ
とでも書いておいて
冷蔵庫に入れておきます

そしてからっぽの頭のまま
裏庭に咲いた
小さな白バラに愛にいきます
日陰に置かれた小さな鉢に
植えられた細いバラの木
去年は花をつけなかったけれど
今年は小さいけれど美しい花を
一つだけ咲かせたんですよ

白バラの前に立ったら
ドキドキする心を落ち着けて
からっぽの頭の中を
(あなたが好き)
という気持ちで
いっぱいにしましょう
濃いミルクのような光が
頭にも胸にもおなかにも満ち満ちて
ほほ笑みが 熟した種のように
ぱちぱち弾けるような
幸せな気持ち そのものに
なっていくのです

そうして
しずかに 歌うのです
大きな声でなくてもいいの
ただ
真実以外の なにものも
ことばには 混じらないように

 うつくしい方 うつくしい方
 ちいさな白いバラよ
 かみさまが あなたに
 あなたの ものがたりに
 たくさんの おめぐみを
 そそいでくれますように

そうすると……

ホラ!!

風だと思う?
風のせいだと思う?

ちがう ちがうよ
バラは
うれしかったんだ
うれしかったんだよ……



(2002年ごろ、種野思束詩集「種まく人」より)




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