月天の丘の下を
馬鹿が転がっていく
ついに得た神の苦い御しるしを
なめながら 転がってゆく
あーいーを 馬鹿なものといった
馬鹿は 真実の苦みに
凍りつくほど震えながら
へらへらと笑い
いーやーだー という
つうらあい つうらあい
つうらあい
いーたーまーしーい いーたーまーしーい
積み重なった時の塩に
どっぷりと漬かって
あまい あまい あまいものに
おれはなりたいという
神よ
全世界の神よ
ゆうるうしいたあまあええええ
ゆうるうしいたあまあええええ
わるかった
わるかった
わるかった
ゆうるうしいたあまあええええ
ゆうるうしいたあまあええええ
つらい つらい つらい
つらい つらい つらい
ゆうるうしいたあまあええええ
銀の鈴を鳴らしながら
月下の砂丘に降りて来るものがいる
それがだれか
今は知りたくない
なんとなくわかっているが
決して知りたくはない
痛い馬鹿は鈴の音に背を向け
経のようにただくりかえす
ゆうるうしいたあまあえええええ
ゆうるうしいたあまあえええええ
どこにいけばいい
なんといえばいい
すべてを暗闇に塗りつぶして
なかったことにしたいことを
なかったことにしたい
だのに
月だけはそれを明々と照らしだす
(わるかった)
ことばにならぬことばを
肺の中にためこみ
鈴の音の去っていく気配を耳が探る
神の苦い飴をなめながら振り向く
月光の下に誰かがいたその輪郭が
かすかな匂いとなって残っている
おれは
ぜんぶ 馬鹿だ