世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

白い飴

2013-05-22 05:16:59 | 詩集・貝の琴

人間と 人間ではない人間が
混在している 人間社会
その実像を知っているのは
たぶん 天使だけだ
岩戸の中で 心閉じている
わたしにも 風の冷たさとして
それが伝わってくる
すべてをわかってしまうことが
苦しいので
わたしはすべてを
わからないようにしてはいるが
どうしても 感じてしまうことはある

未来が どのように塗られているのか
わたしには見えない いや
見えないようにしている
実像をすべて見ている彼は
何を考えているだろう
彼はわたしには何も言わない

ここのところ あまり表にも出てこない
たぶん わたしの感じることのできないところに
隠れていて わたしの様子を見つつ
何かほかのことをしているのだろう

実際に 存在してはならないはずの人間が
存在している
その意味を 理解できる人間はいまい
ふしぎなことは起こるが
それがどういう意味であるかということを
わたしは語るべきだろうか
知らない方がいいか

ともかく

未曽有の危機にあるということは
書いておこう
しかしそれは乗り越えられる
もちろん 高い試練がやってくるが
運命は受け入れねばならない
人々よ
あなたがたにとって
真実の運命があなたを訪れるとき
あなたがたは驚きを超えて 否と叫ぶだろう
だが 
できるなら それを静かに受け入れてほしい
でなければ あまりにも苦しい

苦しいことは 終われば
苦しくはない
すべてを耐えて 飛び込んでゆく
それが美しいことなのだと
わかってほしい が

あなたがたは わからないかもしれない
だが わたしは言う
最も悲しい運命を なめなければならないかもしれない
そんなことがありうるのかということを
見なければならないかもしれない
本当に つらい
だが 

あなたがたは 耐えねばならない
その苦しみを 受け入れねばならない
なぜならばそれは あなたがたが見捨てた
愛からの呼び声だからだ
もはや 逃れることはできない

愛していると言うことを
わたしは止められているので
あなた方にその言葉を言うことができない
今は だが
どうしても ことばがわたしの中であばれる
言わない だが 
わたしは わたしというものとして
ここにいる

小さな白い飴をつくりながら
待っている




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1 コメント

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絵の解説 (てんこ)
2013-05-22 05:19:06
イーヴリン・ド・モーガン、「Luna」、19世紀イギリス、ラファエル前派。
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