西川祐信
ある日伊弉諾と伊弉冉は天の御柱をめぐって出会い、国生みをすることにした。イザナギは左回りに、イザナミは右回りに御柱を回り、出会ったところでまぐわいをした。先にイザナミが「まあ、いい男だこと」と声をかけ、あとでイザナギが、「おお、いい女だなあ」と声をかけて、子供を作ったところ、それは蛭子だった。女が先に声をかけたのがいけなかったのだとわかり、二人はもう一度最初からやり直して、たくさんの国や神を産んだ。
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これは母系社会から父系社会への移行をにおわせる話ですね。実際、大昔は、子供を生む母親が中心として社会ができていました。しかし時代を経ると、男が台頭してきて女性を支配するようになった。それが現れている神話だと言えます。本当の話、別に女性の方から誘っても、おかしなことにはなりませんよ。どちらが偉いなどということはありません。ただ今の時代は、男性が未熟なので、女性に立てて欲しいという気持ちがありますから、よほど環境に恵まれない限り、女性はあまり男性をしのいだりしないほうがいいでしょう。心配しなくとも、必ずいつか男性は目覚めますよ。