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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

偶数の羽⑦

2018-02-27 04:12:43 | 風紋


だれだ、と言おうとしたが声が出なかった。それはカシワナ族の女ではなかったからだ。

「気をつけて。ゴリンゴは要求してくる」

なぜアロンダがここにいるのか。考えている間に、女は消えた。アシメックは思わず女がいたところに登ったが、そこには人の気配などどこにもなかった。

どこからかかん高い鳥の声が聞こえた。これは何だろう。おれの目がどうかしているのか。

ヤルスベ族の美女アロンダが病気で死んだということを、アシメックが漁師から聞いて知ったのは、それから一月も後のことだった。




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