世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ヨセフとポテパルの妻

2014-03-20 03:31:29 | 虹のコレクション・本館
No,98
オラツィオ・ジェンティレスキ、「ヨセフとポテパルの妻」、17世紀イタリア、バロック。

この画家からはこの絵を選んでみた。
女性の方からせまっていったという、数少ない神話だね。
だがもちろん、こういうケースはまれだよ。女性のほうから男によっていく例もあるにはあるがね、そういう場合、男はたいてい、遠慮なくいただく。
ヨセフのようにあわてて逃げる男はいない。あ、孔子は逃げたがね。

いやほんと。あったんだよ、こういうことが。

実にね、言いたくはないのだが、こういうことになる男は、あれくらいだよ。少なくともわたしは、あれ以外に見たことはない。つまらんことを言うなと言うのではない。それくらい、珍しい事件だったのだ。ある日突然女性に襲われたんだよ。ほんとうだ。猛然と逃げたぞ、あれは。もう二度と女はいやだと思ったそうだ。

女性はふつう、どんないい男にでも、自分からベッドに誘ったりはしないよ。デートに誘うくらいはあるかもしれないが。こういう神話は、ほとんど男の側の都合のいい妄想なんだが。

いい男はいっぱいいるんだが、あそこまでやられるのはあれだけだね。ため息が出るほど、もてとったよ。要するに人間は、ああいうタイプが好きなのだ。真面目一本で超かわいいやつ。

だが、うらやましがるものではないぞ。孔子は何度も、女にひどい仕返しをされていた。なんとなくわかるだろう。ヨセフもひどい目にあったしね。

もて男なんぞ夢見るのではない。もてても、いいことなんか何もないぞ。ろくなことにはならんのだ。この絵をみて、勉強することだ。




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