世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

薄紅の翼

2014-03-02 08:34:30 | こものの部屋

しばらく語ってきましたが、もうすぐわたしは語るのをやめます。そろそろ終わらねば、あなたがたも苦しいでしょう。

わたしがやりたかったことは、ただ、かのじょという天使が、どのような人であったかということを、あなたがたにもっと細やかにわかってもらいたかったということです。

かのじょは、女性そのものです。男だということが信じられないほどに、やさしすぎる。柔らかすぎる。そして弱い。

純真に、まっすぐに過ぎるのです。

悪いことなどできないのに、あなたがたは、かのじょをテロリストに等しいとさえ言った。
わたしはそれが、許せないのです。

わたしたちは、あなたがたよりは、はるかに優れた存在です。それは段階という現象上、仕方のない現実です。

事実上、後発の創造は、先発の創造を、追い抜くことはできないのです。

しかし、わたしたちにもそれぞれに限界があり、欠点があり、個性がある。完全なものなどいません。
存在とはそういうものです。

進化すればするほど、優れたものになればなるほど、大きくなっていけばいくほど、欠点も大きくなります。

それゆえにこそ愛しあう。

自分というものを、おそれてはなりません。
今、その自分が、いかに幼く、小さく、愚かに見えようとも、自らそれをかぶり、そのばかばかしいほどに熱い存在を生きていきなさい。

完璧になることなど、永遠にない。

わたしたちは自己存在。この不完全な自己を永遠に生きていく。

熱い火柱です。


                         サビク






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若い女性

2014-03-02 03:56:53 | 虹のコレクション・本館
No,82
ディエゴ・ベラスケス、「若い女性」、17世紀スペイン、バロック。

ベラスケスからはこれを選んでみた。美しい女性の絵を探していたんだが。なかなかにモナリザやフォルナリーナのような女性は見つからないね。

ベラスケスは卓越した画家だったが、宮廷画家として虚栄の世界の中にいたので、その描く世界にはむごい真実が見えている。

実にこの女性はかわいらしいが、にせものの美人の典型だ。
見てみたまえ。かわいいが、目の光が虚ろだろう。顔を見ていると、精神活動がのろいということがわかる。魂は活発に動いてはいない。まだ勉強がすすんでいないのだ。

それなのに、かわいらしい顔をつけて、いっぱしの上流階級の女性になっている。これは他人から顔も人生も盗んでしまったんだよ。
こういうのはいっぱいいるが、ベラスケスはその描写力で、むごいほど真実を描ききってしまっている。

後の人はこれを見ると、人間のあさましさを感じるだろう。

自分は美しいと思って、一流の画家に自分を描いてもらったのだろうが、それが後世に恥を残すことになるとはね。




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