球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

Keep & Remember your IMPRESSION

2007-04-10 | たぶん難解な話
藪から棒だけど、"意味のわからない名言"という概念がある。

これを使うのが大好きな人がいると思うし、全く使わない人もいる。
("鹿鳴館"エントリで、僕はこの手のことが好きだということを以前示している。)

"意味のわからない名言"というからわかりにくいかもしれないけど、
"心に残った言葉"というのと同じ意味。

まぁ小学校の頃などよく訊かれたものだ、心に残ったことを書きなさいと。
そして"心に残った"というとても直感的で簡素な表現を
僕らは何故か使わない大人に育ったわけだ。
先生と小学生の作文以外で"心に残った"という文字列は、普通めったにお目にかかれない。



今日考える機会があったことだけど、"はっとさせられる"名言というのは、
基本的に"不明さ"を主軸に成立しているように思う。

今日の"意味のわからない名言"は、『素敵な制約』という言い回しだ。
連日TVの話になるが、建築家隈研吾氏の発言の一つだ。

…ここから、僕という人間は、3行ほど揮発性メモリとしてキーボードを叩く。
『…僕は、いま、わかったような気がしました。制約が存在のヒントになるという考え方は…!』
『もし、制約なしで自由にモノを作っていいといわれたらどうしますか?』
『制約がなかったら制約を探しに行くな。』

↑この『』は、番組中のキャスターとゲストの発言内容の大意。

そして、僕には、これらのフレーズが、心に残った。
でもね、彼らが言っていることの意味は、あんまりわからない。
或いは、翻訳できていない。言い回しのかっこよさだけは、語感でわかる。

"創造"という言葉に敏感になっている自分がいて、
"マイナスの美学"という言葉に美しさを感じる自分がいて。
その辺とリンクする部分があり、持っていかれる。

いつも僕が謎で謎でしょうがなかったものを解決してくれるのではないか、とか。
この言葉が僕を前に進ませてくれるかもしれない、とか。

今できることは、まずコイツを"わからないままとっておく"こと。



運良く(正確な表記だ)経験が追いついたとき、
僕もまた他の人をはっとさせるような言葉を、例えば言えるようになる。

運悪く経験が追いつかなかったとき、自分が過去に感銘を受けた言葉は、
ただのお気に入りの言い回しに成り下がるかもしれない。
レンジでチンしたIMPRESSION.

しかし大抵は経験が追いつかないので、一度感銘を受けたことを
ずっと保持していようとするならば、何かに記録でもしないと忘れてしまう。

それを意味もわからず言葉だけ保持しようとして
底の浅さを露呈してしまった事例を、結構たくさん目にしたり、味わったと思う。
感銘にざらついた手を伸ばしてはいけないのだ。

ヤルヴェンパーでの隠遁生活、感銘をひっそりと有史以来の人類のあゆみのように書き連ねていき、
じいちゃんになってから孫に話し続けたら楽しいんだろうな。

"意味のわからない名言"、これからも大事にしたい。


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