早朝発の高速バスに乗って、福島県いわき市の、草野心平記念文学館へ有志の会「父と暮せば」公演に来ました。
長い一日でした。 到着してすぐ舞台の仕込にとりかかり、場当たりと転換稽古をしました。 今回、初めて転換中に生演奏をつけてもらえることになり、こちら在住のギタリスト、松崎氏に芝居の世界を引き立てる素敵な演奏をしていただきました。
駅からも遠く、車でしか来られないような山の上の施設でしたが、満席になるくらいたくさんのお客様に観ていただけて嬉しかったです。
この芝居ほど、毎回いろいろな方々のご尽力を得て、各土地での公演ごとに少しずつ違う味わいの芝居になるものはありません。 同じ芝居は二度とないし、毎回新しい発見があります。
今回は、舞台に出た途端、正直すごい怖さを感じました。 井上ひさしさんが、実際に広島の被爆者の方々のお話しをうかがい、数えきれないほど多くの手記を読んで書かれた渾身の台詞の数々。
それは、友人や家族が皆亡くなる中、ひとり生き残ってしまった被爆者の後ろめたさや悲しみを痛いほどに表しています。 今日、身じろぎもせずに観てくださっているお客様の前でその台詞をいうのはきつかったです。
しかし、そんな必死の葛藤があった為か、ラストのシーンでは、今までにない景色を見られた気がします。暖かい光を感じて、解放されたような…。 面白い体験でした!
お客様からも、笑顔と沢山の温かい拍手をいただきました。 本当に上演できてよかった。
ご協力くださった皆様、そして遠いところわざわざいらしてくださったお客様、ふらりと立ち寄って観てくださったお客様たちへの、感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、ひとつの舞台の成功は、また別の舞台の幕を開けることに繋がり少しずつ成長していくのだなあと、幸せな気持ちになった日でした。